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異世界から帰還したら地球もかなりファンタジーでした。あと、負けヒロインどもこっち見んな。  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
3章

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エピローグ「変な夢じゃね?」






「ねえねえ、なっちゃん! なっちゃんと私は結婚するんだからね、約束だよ!」


 どこかで聞いたことのある懐かしい声が、俺を呼んでいるのだとわかった。

 しゃがんでいた俺は顔をあげるが、太陽の日射しのせいで彼女の顔は見えなかった。


 ――ああ、夢か。


「なっちゃんさ、あの子とあまり関わらない方がいいよ。あの子は絶対になっちゃんのことを嫌な思いにさせるから」

「うん」


 少女は、麦わら帽子を被った水色のワンピースを着ていた。

 どれだけ集中しても、少女の顔は見えない。


「なっちゃんのいいところは私だけが知ってればいいの。あんな子たちに、なっちゃんが無理して優しくする必要ないんだからね」

「うん。大丈夫」

「もうなっちゃんはお人好しだからなぁ。この間も、あの子に悪口言われているのにへらへらしてさ。あとで私がぶっ飛ばしておいてあげたけど、ああいう子は自分がしていることの自覚がないもんね」


 やはり少女の顔は見えない。

 だけど、彼女の声を聞いているだけで、涙が出そうになるほど懐かしい気持ちが胸に溢れてくる。

 だというのに、俺はこの子の名前も顔も思い出せない。


「なっちゃんのことは私が幸せにしてあげるからね」

「うん」

「もうっ、さっきからうんうんばっかり! ちゃんとなっちゃんも言葉にしてよ」


 過去の俺は彼女にそう言われて、恥ずかしそうにもじもじしながら嘘偽りのない気持ちを述べた。



「――ちゃん、大好きだよ」

「うん! 私もだよ、なっちゃん!」



 ジリジリと暑い夏の日。

 蝉の喧騒と、太陽から注ぐ燦々とした日の光を鮮明に覚えているのに、どうしても彼女のことを思い出せなかった。


 そのことが悲しくて、申し訳なくて、泣きそうになる。


 そして、世界は暗転する。

 夢から覚めるのだと理解した。

















「大丈夫。必ず迎えに行くからね」

















 ベッドの上で目を覚ました夏樹は、うっすらと寝汗をかいていることに気づき、不快感を覚えて起き上がる。

 できれば二度寝をしていたかったが、はっきりと目が覚めてしまったのでやめておくことにした。


「ふわ。変な夢を見た気がするんだけど、思い出せない」


 夢の内容を思い出せないことはよくあることだ。

 しかし、夏樹は胸に切なさを覚えていた。


「……なんだろ、この気持ち。まあ、いっか」


 窓を開けて空気を部屋に入れると、うーん、と伸びをする。


「今日は学校行こう。月読先生にもくるように言われてたし。よく考えたら、異世界から帰還してから学校まともに行ってないじゃん」


 あまり授業をサボると成績に関わってきてしまう。

 仮にも夏樹は受験生である。

 ファンタジー相手に戦っている場合ではないのだ。


 部屋を出て茶の間に向かうと、すでに住人たちが集まっていた。

 昨日、三原家に泊まった母の姿はまだない。


「おはようっす、夏樹くん」

「頭ぼっさぼっさじゃぞ。洗面所でしゃきっとしてこんかい」

「おはよう、夏樹。今日もいい朝だな」

「おはようございます、夏樹くん」

「おはようさん。朝ごはんできてるぜ、ぬらぬら」

「うん、みんなおはよーございます」


 家族に挨拶をして、洗面所で身だしなみを整えさっぱりする。

 丸テーブルに六人で座り、美味しい朝食を摂った。


「今日は学校に行こうかなぁ」






 異世界から帰還して十一日目が始まる!

 四章もお付き合いよろしくお願いいたします!

 ちょっと間話挟むんじゃよ。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] あれ?ひょんひょんは、おぢさんかしら?
[一言] スキルを発揮してさり気なく紛れ込んでる 日本妖怪の総大将(笑)
[一言] ぬらぬらが本領発揮してる…。 まあ『妖怪の総大将』なんて近年後付けされた謎設定よりよっぽど“らしい”けどね。
感想一覧
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