間話「三人揃っちゃったんじゃね?」
――青森某所。
「――私は激おこだ」
サマエルことさまたんは静かに怒っていた。
「……まもん」
「……あもん」
サマエルと丸テーブルを挟んで正座をしているのは、魔族のマモンとアモンだ。
上位の魔族であるが、今の二人は親に叱られる子のようだった。
「先日、SNSでまもんとあもんのどっちがいいのかとかいうふざけたことをした時に、私怒ったよな? それで、どうしてまだやんちゃんするの?」
「さまたん様、誤解でまもんまもん!」
「ほう、言い訳をするのか? ちなみに、言い訳がふざけた内容だったら、数世紀ぶりの全力でぶん殴る」
「……このマモン! まもんまもんと反省し、罰を受けたい所存でまもんまもん!」
「よろしい。では、お前はしばし亜子ちゃんと会うの禁止だ」
「まもーん!?」
「サマエル様、さすがにそれはマモンが可哀想ではないかと思います! 我々は切磋琢磨するライバルではありますが、不幸を望んでいるわけではないのです!」
「いい子だな、アモンくん。それで、君の語尾はどこにいった?」
「………………あもんあもん」
「だからね、無理しなくていいからね!」
さまたんは瓶ビールを冷蔵庫から取り出すと、グラスに注ぐのではなくラッパ飲みを始めた。
「私もさ、仕事終わりの夜にぐちぐち文句を言いたくないんだよ。だけどさ、言うしかないじゃん! こんなことされたら文句言うしかないじゃん!」
サマエルは、マモンとアモンに続き、正座をしている女性を指差した。
「どこから連れてきたの、この人!?」
「――八咫多聞と申したもんたもん」
「ほら、これ! まもんまもんとあもんあもんに続いてたもんたもんまで来ちゃったよ! どうするんだよ、まだ増えていくのか!? じもんじもんとか、かもんかもんとか、なんか増えるのか!?」
「さまたん様、まもんまもんに荒ぶりますと血圧が……。病院の先生も次に引っ掛かったらまもんまもんとお薬を飲むようになると言っていたではありまもんまもん」
「お前たちが来るまで血圧で引っかかったことなんてねえよ!」
ぜい、はぁ、と荒い呼吸をするさまたんは二本目の瓶を取り出し、手刀で瓶を断ち切ると一気飲みをする。
「――それで、だ。どこのどなたでなんで連れてきたのか、はい、説明!」
「では、このアモンが説明いたしましょう。実は、さまたんファミリーに加わったので、向島市の由良夏樹くんと奇怪な仲間たちにご挨拶をしようと向かったところ、なんと我々に続くたもんたもんを語尾とする八咫多聞殿と出会い、これは運命だと思い、こちらにきていただきました」
「説明を聞いても意味わかんない!」
「私、八咫多聞は……一仕事終えていっぱい引っ掛けようとしていたところ、たもんたもんなアモン殿と出会い、せっかくなのでご一緒しようという話になりたもんたもん」
「いっぱいひっかけるのはここか! うちは店じゃねえよ!」
「まもんまもん」
「あもんあもん」
「たもんたもん」
「まあまあ、みたいに言うんじゃねえよ! うぜぇええええええええええええええ!」
と、叫ぶさまたんであったが、せっかくはるばる青森まで来てくれた多聞を無碍にできず、一緒にお酒を飲むのだった。
――今宵も青森は平和だった。




