69「千手さんにコンタクトじゃね?」②
「まあまあ、落ち着いてください。私たちに会えるのってすごいことなんですよ! 本当の意味で自然から生まれた神ですから」
「ふざけるな! 神はジャック・ランドック・ジャスパー・ウィリアムソン・チェインバー・花巻様とナンシー・ピーティー・ロットロット・ナイジェルマリー・赤星様だ!」
「えー、なにそれー。うちゅうじ……おっと、今の人類にはまだ早い情報でしたね」
「おい、待て! 俺の神の何を知っているって言うんだ!?」
「この人、急に怖いです! めっちゃ力入れているのに振り向きそう!」
「そもそも、私たちと会えることってすごいことなんですよ、って言いながら顔すら見せてねえじゃねえか!」
「……言葉を交わせることがすごいことなんですよ」
「言いなおすんじゃねえよ!」
「あの、そんなに大きな声出して喉痛くなりません?」
「痛いよ! 耳鼻咽喉科通ってるよ! 俺だって好きで叫んでるわけじゃねえんだよ!」
ぜー、はー、と千手が肩で息をする。
「マジで頼むよ。俺、最近、睡眠だけが楽しみなんだから。寝ている時にはイベントが起きないはずなのに、どうしてこんなことに!」
「ドンマイ!」
「お前のせいだよぉおおおおおおおおおおおおおおおお!」
千手は気を抜くと涙が出てきそうだった。
毎日イベント、イベントの日々。
夏樹たちは若いから元気いっぱいだが、こちとら十代の元気はもうないのだ。若くはあるが、それでも十代のように無茶はできない。
「もう、仕方がないですねぇ。お詫びをかねて、千手さんにほんのちょっとだけ力を上げますね。ツッコミの神様……がいるかどうかは知りませんけど、怒られちゃうので先っぽだけですよ?」
「――いらない」
「………………は?」
ぐいんっ、と千手の首が強引に後ろを向かされた。
「痛いっ!」
「いやいやいやいやいやいやいやいやいや! 風の神の力を、神さえ欲したこの私の力をいらないとか、正気ですか!?」
目の前にいたのは、亜麻色の髪をセミロングにした可愛らしい小柄な少女だった。
「正気、いらない」
「言葉短っ! あれだけ喋っていたのに、急に言葉短っ!」
「いらない」
「あのですねぇ、私、風そのものと言っても過言じゃないんですよ。最初の風なんです。わかります?」
「しーらーなーいー」
「わかりました。じゃあ、全部力を上げましょう。七森千手さん、あなたは今日からツッコミの勇者を卒業して、風の勇者です!」
「嫌だ!」
「どうして!? え、ちょっと待って、昔の話ですけど、私の力を手にいれる手に入れないで血で血を洗うような争いが起きましてね。それくらい私の力って貴重なんですけど、それでも」
「いらない」
「かっちーん!」
風の神から今まであった余裕が消えた。
「あのですねぇ。風の勇者にしてあげるって言っているんですよ! それともツッコミの勇者なんてふざけた勇者でいいんですか!?」
「まず、俺はツッコミの勇者じゃねえ! 次に、あんたの力を手に入れた日には新たなイベントに巻き込まれる予感しかしねえ。今以上にイベントが増えるか巻き込まれるかして心労で死ぬ!」
「……いいでしょう。私、ここまでしてあげるって言ったのも初めてなのに、ここまで拒否されたのも初めてです。こうなったら、絶対あなたを風の勇者にしてみます!」
予言大好き先輩「って、出会いでおじいちゃんとふたりめのおばあちゃんは結婚したんだよねぇ」
シリアス先輩「私知ってる! これ、今までチヤホヤされていた人がそっけなくされて、おもしれー奴って気になっちゃう系のやつだ!」
ノンシリアス先輩「つまり合体?」
――千手さんに新たな力が!?
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