24「ありすさんは絶対に仲間にしなきゃじゃね!?」①
「よしっ!」
やり切った夏樹が満足そうに頷く。
「神だなんだといいながら大したことはなかったわねぇ。用意された敵もみんな雑魚ばかりだったし」
星槍の姿から人の姿に戻った星子はつまらなそうに鼻を鳴らした。
門の神がどこの世界から集めた傑物か知らないが、誰も夏樹と星子に傷を与えることさえできなかったのだ。
これには正直、肩透かしだった。
「新たな神々も夏樹が全盛期だったらみんな相手じゃないわね!」
「それはどうかなぁ」
星子は意気揚々とそんなことを言うが、夏樹としては肯定できない。
アマイモンが強かったように、まだまだ強い神や魔族はいる。
新たな神々にも強い存在がいないとは言い切れない。
――無論、敵対するのであれば全力を持って殺しに行くが。
「ようやった、夏樹、星子。門の神が死んだせいか、奴が呼んだ戦士たちは消えたんじゃ」
「戦士たち強かった?」
「いやぁ、雑魚じゃな!」
「雑魚よね!」
小梅と花子は雑魚と言い切ったが、千手たちは「そんなことねえよ」と疲れた顔していた。
「俺からすれば強すぎだ。もう二度と戦いたくねぇ」
「千手さんに同感かな。何かあったと思って駆けつけたけど、敵が多くてびっくりだったよ!」
「人外娘さんがいないことに大きな不満があるんですけどぉ!」
千手と一登はさておき、祐介だけがブレずに不満を申していた。
「あたいはダーリンがいれば無敵だぜ!」
「パパは息子と息子の嫁がいれば無敵だよ!」
虎童子と七森康弘が肩を組んでいる。
そんなふたりを見て、千手が大きくため息をついていた。
「よしよし、これで今日のイベントは終了ってことで! 帰ったら晩御飯まで寝るんだ!」
「――申し訳ありませんが、もうしばしお時間をください、夏樹くん。みなさん」
門の神の襲撃の最中、姿を消していた月読と素盞嗚が現れ声をかけてきた。
「うっす、月読先生、すさすさ!」
「お疲れ様でした」
「いえーい、なっちゃん!」
会釈する月読と、大きく手を振る素盞嗚。
夏樹たちもふたりにそれぞれ挨拶をする。
「門の神との戦いに加われず申し訳ありませんでした。我々が戦ってしまうと面倒なことになってしまいますので」
「いえいえ、雑魚だったんで問題ないでーす!」
「……雑魚じゃなかったんだけどなぁ。さすが、マイフレンド!」
夏樹は雑魚だというが、門の神の実力は上から数えた方が早いだろう。
何よりも面倒なのが、各世界を散歩するように転々と移動することができることだ。
夏樹が門の神を倒すことができたのは、封印から出てきたと同時に、即座に門の神に攻撃したことだろう。逃すことなく、殺した夏樹の判断は最良だった。
「さて、死の神。先日は電話で会話をしましたが、こうして会うのは初めてですね」
「――ああ」
戦いが終わり、静かに立っていた死の神は月読と素盞嗚から逃げることなくまっすぐ視線を合わせている。
「あなたには聞きたいことが山のようにあります」
「だろうな」
「あなたの目的を邪魔をするつもりは毛頭ありませんので、ぜひ協力的にお願いします」
「……ああ。構わない。俺に仲間もなにもいない。奴らがどうなろうと知ったことではない」
「そうですか。――百合園ありすさん」
「は、はい!」
月読に名を呼ばれたありすが背筋を正して大きな返事をする。
「ありすさんにはご迷惑をおかけします。我々には医療の伝手はなく、お恥ずかしながらお金もありません」
「そんな。微力ながらわたくしにできることならば精一杯させていただきます!」
ありすの嘘偽りない言葉に、月読は微笑んだ。




