23「神々も苦労しそうじゃね?」
「えぇぇぇぇぇぇ」
「さすがにこれは」
素盞嗚尊と月読命は口をあんぐり開けて呆然としていた。
門の神が介入してきたところから、気配を消していた。
死の神だけならまだしも、門の神とまで戦ってしまえば、お互いの陣営が本格的に戦う羽目になってしまう。
「……俺さ、一応なっちゃんが苦戦したら手助けしようと思っていたんだよね」
「奇遇ですね、私もです」
「でもさ、門の神に封じられたと思ったらすぐに封印の内側から爆発と共に現れてそのまま門の神を殺しちゃったんですけどぉ」
「そうですね。一部始終見ていたのですが、自分の目で見たものが信じられません。いえ、そうではなく、それ以上に――神殺しをまたしてしまいましたね」
夏樹は、異世界から帰還するにあたり「魔神」を殺している。
そして、この世界でも神々と戦いながら、先代門の神を殺し、そして今代も門の神をも殺した。
夏樹だけの話ではない。
七森千手も、神奈征四郎も神殺しをしている。
現代において、神殺しを成し遂げる者などまずいないというのに、だ。
「もう絶対的に新たな神々は夏樹くんたちを敵として認識するでしょう」
「何度かスカウトがあったみたいだけど、もうねえだろうなぁ」
「「帝国」といい、新たな神々といい、いったい何が起きているのやら」
「兄ちゃんは「不死の神」を探し出すことが目的なのに大変だな。くけけけ」
「笑い事ではありません。もうすでに私の計画は全部駄目になってしまいましたからね。これからは行き当たりばったりでやるしかありませんね! あはははははは!」
「……兄ちゃん」
もう笑うしかないという月読に、素盞嗚尊は泣いた。
神々が人間に振り回されているのも、それはそれで面白いのだが、きっと口にしたら引っ叩かれるだろうと思い、余計なことは言わなかった。
「はぁ。まずは目の前のことから片付けていきましょう。まずは、死の神から情報を引き出したいのですが、察するに一匹狼だったのでどれだけ情報をもっているのやら」
「大変だなぁ、にいちゃんは」
「ええ、とても。たまに私もあなたのように自由気ままに生きたくなりますよ」
月読が肩を竦めて嘆息した。
そんな兄の背中を素盞嗚尊が軽く叩く。
「ま、俺にもできることがあったら言ってくれよ。なっちゃんは俺の前世から来世の親友だからね! なっちゃんの敵は俺の敵だぜ!」
「戦闘面で助けてもらう必要はないと思いますが、一緒に苦労してください」
「はははは。やっぱり、今の話はなかったことに」
「逃しませんから!」
兄弟は戦いが終わった夏樹たちに声をかけるべく、足を進めた。




