101「死の神も介入じゃね?」②
守谷盛夫ががくん、と倒れた。
まるで糸が切られた人形のようだった。
地面にうつ伏せに倒れ、ぴくりともしない。
呼吸をして胸が上下することもない。
――死んでいた。
あまりにも容易く盛夫は死んだ。
それだけではない。
盛夫が操った「帝国」の人間もすべて死んでいる。
生き残った「帝国」の人間は、ありす、キリエ、滝の三人だった。
「てめえ、いきなり現れて大量殺人とか頭おかしいだろ!」
「人の身でありながら、死に立てついた代償を支払わせただけに過ぎない。もっとも、その男が操っていた人間まで殺すつもりはなかったのだが、瑣末な問題だ」
「……命をなんだと思っていやがる!」
死の神から発せられる圧迫感で動けない千手だが、「どの口が、いい、やがるっ」とツッコミを入れている。
小梅と花子も「夏樹がいうの!?」と驚愕に包まれていた。
「由良夏樹、まさかお前に命のどうこうを言われるとは思いもしなかった。私は死の神だ。お前が今まで多くの命を奪っていることは見て取れる」
「あ、そ! だからなんだっていうんだ? 俺は確かに命を奪ってきた。だけど、すべて正々堂々戦い、負けたら死んでしまう状況下で戦い殺した。お前のように戯れで命を奪ったことなどないんだよ!」
「よくわからないことを言うな……命を奪うことに、理由など関係ない。死は、死だ。なによりも、殺された者からすればお前の理由など知ったことではないだろう」
「言ってくれるじゃん」
「私は死だ。命を奪うことに文句を言っているわけではない。生命はいずれ死を迎えるだけのこと。私も例外ではない。遅いか早いかの問題だ」
「――で?」
夏樹は死の神に再び肉薄する。
これでもかというくらい顔を近づけると、全力で「ガン」をつけた。
「てめえは自分が強いですよと主張しながら現れて、力を自慢するように見せつけて、何をしにきたっていうんですかー?」
「無論、由良夏樹――お前を殺すために」
「じゃあ俺だけを狙ってこいよ。つまんねえことしやがって」
「なるほど。参考にしよう。無論、お前に次はないがな」
「それはこっちの台詞だ。自分から殺してくださいと懇願するまで痛めつけてやるよ」
夏樹は拳を振り上げた。
死の神は、表情を動かすことなく淡々と告げた。
「――死ね」
「死なねえよ!」
死の言葉を受けながら、夏樹は気にもせず全力で死の神の頬に拳を叩き込んだ。




