間話「まんまもんなSNSじゃね?」③
――青森某所。
「マモンの野郎……許せねえ」
さまたんは怒りに震えていた。
まさか幼馴染みにして腹心が、まだ自分も行ったことのない浅草観光をしているだけならいざ知らず、婚約者と落ち合ってデートをしているとは万死に値する。
挙げ句の果てには、SNSで「誰かと一緒にいる」と匂わせている写真を投稿するのも苛立ってしまう。
――こんなに怒りを覚えたのは、先日マモンにかずたんとのメッセージを音読された時以来だ。
ちなみに、さまたんはかずたんこと一登と頻繁にメールしているが、年上の女性としてではなく同世代の少女のようなメッセージを送っている。
これは意図しているわけではなく、「つい」そう送ってしまうのだ。
さまたん自身も「どうしてメッセージだと若々しくなってしまうんだろう。――っ、そうか、まだ私は若いんだ!」という結論に至っていたのだが、マモンに「さまたんいい歳なんですから、もっとまもんまもんと落ち着いた文章を送ることができないのでまもんまもん?」と言われ「四六時中まもんまもん言っているお前にだけには言われたくねえよ! あとかずたんとのやりとりを盗み見るんじゃねえよぉおおおおおおおお!」と大喧嘩になり、本気で怒ったさまたんはマモンを畑に埋めた。
首だけ出してやったのは、さまたんの慈悲だった。
「まあいいじゃない。どうせマモンもいつまでも東京観光してられないんでしょう? 亜子ちゃんだっていずれ青森に帰ってくるんだから、ちょっとくらい休暇だと思ってね? ほら、なんだかんだと言ってマモンのおかげで動画も順調だし、取引先だって増えたでしょう? ご褒美だと思っていいじゃないの」
「…………はぁ、ふう」
さまたんは大きく深呼吸した。
「愛ちゃんがそこまで言うのなら、そういうことにしておいてやるか」
「さすがさまたん! 話がわかるわ!」
「ふっ、私はできる上司だからなっ! たまにはまもんまもんうるさい奴がいない日もいいものだ。ゆっくりと畑と向かい合おうじゃないか」
「――頼もう!」
「――あん?」
「なによ?」
さまたんと愛ちゃんが声の方に顔を向けた。
そこには、三十歳ほどの、ぴしっ、とスーツを着こなした、背の高い男性だった。
「我が名はアモン! マモン不在を知り、雇っていただきたく馳せ参じた! おっと、この場合は、こう言うのが礼儀だったな! ――あもんあもん!」
「帰れぇええええええええええええええ! まもんままもんだけでも面倒臭えのに派生がくんなぁあああああああああああああああ!」




