81「結局、力を持ったら自由に使いたいんじゃね?」②
ピアスを開けた茶髪の少女――篠原キリエが感情に任せて叫び続けた。
「私はっ、この力で好きに生きたいんだよ! だけど、どいつもこいつも一般人に手を出すなとか、今はその時期じゃないとか日和ったこと言いやがって! 私はっ、今っ、この力でやりたい放題したいんだよ! 私を馬鹿にした奴を殺したいんだよ!」
「……キリエさん」
もしかしたら彼女の本心を初めて聞いたのかもしれない。
ありすは悲しげに、目を伏せた。
「ありすさん……あんたみたいに金持ちの家に生まれて、何不自由なく生きてきた人にはわからないかもしれないけど、私は親ガチャに外れて、学校でも居場所がないんだよ。どいつもこいつも私のことを馬鹿にしやがって! 異世界に召喚されたときはふざけんなって思ったけど、めちゃくちゃ最高の世界だった! なのにっ、帰りたくなかったのに、帰ってきちゃったんだ!」
ありすは反論しようとした。
確かに、裕福な家に生まれたことは否定しないが、何不自由なく生きてきたわけではない。
苦労せずに、したいことをしたいように生きてきたことなどない。
ありすの祖父は百合園女学園の理事長だ。
父親は会社勤めだが重役で、母親は教師だ。
そんな家庭環境ゆえ、ありすは優秀であることを義務付けられた。
虐待されたわけではない、勉強を科せられたこともない、だが、家の中の空気がそう言っているのだ。
家族に愛されていたいから、望まれたようにいたいから、熱を出そうと勉強を続けていた。
学校でも優等生として振る舞った。
そんなありすだからこそ、キリエの言い分に怒りを覚えてしまう。
「――わたくしだって」
「あんたの話なんてどうだっていいの! 今は、私が話しているじゃない! いい? ありすさんだろうと、他の奴らだろうと、私は力を使いたいの! その邪魔をしないでほしい、それだけなの! 勇者だからとか、力を持っているからだとか、そんなつまらない理由で私の行動を制限しないで! 帝国や神だとかわけわからないことに巻き込んだのは、あんたたちじゃん! なら、責任を持って私に償いなさいよ!」
「言っていることがめちゃくちゃですわ!」
「知らないわよ! あんた、自分に任せろって言って、偉そうなこと言っておきながらさ! 自分だけ誰かに助けてもらって、私たちは知らないっていうわけ? なら、もう勝手にやったっていいでしょう!」
キリエが叫ぶ。
「なにをしようと言うのです! 誰かを傷つけるようなことは駄目だと何度も話し合ったではありませんか!」
「はぁ。嫌いな奴らを殺すくらいいじゃない」
「――な」
「別に、私がクラスメイトを殺したって、ありすさんに何か問題が起きるわけじゃないでしょう? 仮に、私が誰かに捕まったって、ありすさんの名前なんて出さないし、迷惑かけるつもりはないんだよ。だからさ、あんたがもうリーダーとして何もできないなら、こんなおままごとに付き合う理由もないでしょって言ってるの! 私は」
「――そういうのはええんじゃけど!」
「たびぶっ!?」
話を聞いていた小梅だったが、もう限界だったのかキリエの顔面に拳を叩き込んだ。
顔を押さえて冷たい床でキリエがのたうち回る。
「いやー、なんじゃ。聞いておったんじゃが、怒っているせいか、感情を持て余しているせいか、ようわからん! ようわからんが、おどれが何かしらの力を持って悪さをしたいっちゅーことはわかったんじゃ」
小梅はキリエの胸ぐらを掴み持ち上げた。
その細い腕のどこにそんな力があるのかと、ありすとキリエはもちろん、様子を伺っていた少年少女もぎょっとする。
「別に俺様は、自分の力なんぞ好きに使えと思っとる。俺様もそうしておる。じゃがのう、それなら「帝国」なんぞに所属せず、初めから一匹狼をきどればよかろう! どうせ勧誘されて跳ね除ける気もなく、甘い汁を吸おうと企んだようじゃが、思ったようにならんから癇癪起こしとるだけじゃろう! まあ、見た目通りの子供じゃろうな」
「お前にっ、何がわかる!」
「何もわかるわけないじゃろう! 俺様にわかって欲しいんじゃったら、原稿用紙五枚以内で簡潔にまとめて提出せいっ!」
篠原キリエさん15歳。JK。茶髪のショートカット、ピアスをたくさん開けた子。
能力やどんな世界にいたのかはまた後日に。
ありすに対し、マイナスな感情を持っています。
彼女は今、冷静ではないので感情のまま言葉を吐き出しているので若干支離滅裂になっておりますが、ちゃんと後でまとめますのでご理解ください!
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