間話「まもんまもんなSNSじゃね?」②
さまたんはマモンが浅草観光していることに怒りを覚え、ついスマホを握り砕きそうになった。
「――――ふう」
「あ、耐えた」
「耐えるさ。昨今のスマホの値段を考えたら、耐えられるさ」
「……かつてサタンと魔界の覇権を賭けて戦った魔族の言葉だと思うと悲しくなるわね。アホみたいな資産くらいあるでしょうに」
「私はあくまでもこの身ひとつでやっていくと決めたから、過去の資産には手をつけないんだよ!」
「え? でも、その資産だってさまたんがちゃんと稼いだものでしょう?」
「そだね」
「じゃあ正々堂々使いなさいよ!」
「嫌だっ! 私の資産知らないだろ! 私はあくまでも農業系動画配信者さまたんとして稼いだ金で頑張るんだ!」
「……あんた、この間まで動画配信はついでだって言っていたのに、もう自分で農業系動画配信者って」
「――あ」
マモンが動画配信者として勢いに乗っていく一方で、さまたんはあくまでも農家であり続けると公言していたが、ここしばらく動画配信者としても評価されてきたせいもあったのだろう。
つい、ぽろっと自らのことを農業系動画配信者と言ってしまったのだ。
「…………」
「…………」
なんとも言えない沈黙が走る。
「こほんっ。――おのれマモンめ! 青森から出るなと言われているのに勝手に出るし、浅草観光しやがって! ゆるさん!」
「――いや、無理があるでしょう」
「私だって浅草行きたいのに!」
「あ、このまま続けるんだ。というか、浅草行ったことないの?」
「ないよ! だって、浅草人がたくさんじゃん! 日本人以外の海外の方が多いし、万が一だけど私の正体がバレたら大パニックだよ! 誰も彼も日本人みたいに魔族にゆるっと優しいわけじゃないんだよ!」
「……そりゃ、日本はゆるいでしょうけれど」
愛ちゃんをはじめ、新たな神々も日本に集まっている。
さまたんやサタンをはじめとした魔族や、ポセイさんのような神も日本にいる。
その理由は、日本が住みやすく心地良いからだ。
さまたんのことだって、近所の人たちはなんとなく人間ではないと察している。
それでも、孫娘のように可愛がってくれているのだ。
「度量が深いというか、懐が広いというか、良い国よねぇ」
「私はそんな日本の皆様に迷惑をかけないように観光地には極力足を運ばないようにしているのに! ――おのれ、マモン!」
「そういう怒りなのね。……ってことは、気づいていないのね?」
「何が?」
愛ちゃんの言葉の意味を、さまたんは理解できずに首を傾げた。
「きっと理解したら理解したで激おこ案件なんでしょうけど、何も気づかないというのもアレだし、一応ね」
そう言って、愛ちゃんは雷門の前にいるマモンの写真を拡大した。
「誰かと手を握っている、だと?」
「それで、こっちを見てね」
「……亜子ちゃんのSNS? ――あ、これって…………そういうことかぁああああああああああああああああああああああああああああ!?」
隠されていた真実に気づき、さまたんは叫んだ。
マモンの婚約者である真門亜子も雷門にいる写真を投稿していた。
そして、誰かと手を繋いでいた。
その「誰か」は映っていない。
だが、マモンの写真といる場所が同じであり、亜子も現在青森を出ていることから察することは簡単だった。
「あいつら東京デートしているじゃねえかぁああああああああああああああああ!?」




