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聖女様はド変態でした。  作者: 不束 モノ
3/3

お騒がせ痴女を探し出せ!3

諸事情によりサボりました。

「ま、また来るぞ!」

「もぅ、いやああ……!」

「ひぇっ」


 ただいま、僕らは地獄に直面している。

 僕らが入り込んだのは、長く暗い迷路のような地下通路。

 そこで僕らは見つけてしまったのだ、ヤツらを……。


「「シュゲエエエェエ」」


 その奇っ怪で悲鳴にも似た叫び声は、我々ではない第三者のもの。

 皆の嫌われ者G、その方のものである。


「Gなのはいいけど……デカすぎやしませんかぁああああああ!」


 僕の絶叫を合図に踵を返すと、僕らは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。


 右へ左へ、薄暗がりの地面を蹴り一目散に駆け出し、咄嗟に見つけた荒削りの階段の下へと転がり落ちるように飛び込む。


「はー……はーっ……皆、大丈夫?って……あれ?」


 息を切らしながら話しかけるが返事はなく、見渡してもクルトたちの姿はない。


 こ、これはもしかして、もしかしてはぐれた?!


「お、落ち着け落ち着くんだ僕……いや、落ち着いていられるのか!?僕は前衛職でもないし、モンスターと鉢合わせたら終わりじゃないか!あーっと……えっと……どうしよう!?」


 この状況を理解するのと同時に、はぐれた2人のことが頭によぎる。



―――ゴキブリから追いかけられている途中に一人だけ別方向へと走り出すハインを視界の端に捉え、咄嗟に声を掛けるも、焦ったハインは気づかず走り去ってしまった。


「クルト!戻るわよ!」


 それにアイリスも気づいたのか必死の形相で体を回転させ、バックステップで武器である拳を上段に構えた。


 この場は状況的不利がすぎる。勝てる状況ではない。


 俺はアイリスの首根っこを掴み、今まで以上にスピードを上げ逃げに徹する。


「どういう事よクルト!このままじゃハインが死ぬかもしれないのよ!」


「うるさい……まずは自分の命が優先だ、頭ごなしに突っ込むんじゃなくて何か打開策を考えるべきだ」


「でも……」


 しょげるアイリスを他所に僕は頭をフル回転させて打開策を講じる。


 入口に向かって走ってはいるが、、入口は閉まっており、このまま逃げ続けてもジリ貧になる事は明白だ。


「アイリス、俺が囮になるその間にこの先へ進んで出口を探してくれ」


「はぁ!?それだけはダメ!まだ他に何かないの?!」


「これが最適解だ!信じてさっさと行けぇー!」


 俺はそう叫ぶと同時にアイリスをゴキブリの頭上に弧を描く様に投げ飛ばした


 投げ飛ばされたアイリスは見事G軍団の頭上をすり抜け背後へ回ることに成功した。


「クルト!今そっちにい……」


「先へ進めと言っただろ!俺も俺なりにやる事はやる、でも早めに帰ってきてくれよ、虫は……苦手だ!」


 冗談交じりに強がってはみるが状況は悪化していく。


 遺書とか書いときゃよかったかな……。

 後悔先に立たず、後悔しても仕方ない覚悟を決めろ俺!


「し、死んだら殺す!」


 状況を察してかアイリスは身を翻し来た道を全力で走り出した、数秒もすれば姿は見えなくなるだろう。


「さぁ、お前らの相手は俺だ、かかってこい【金剛】」


 武器を擦り合わせ不協和音を奏で、アイリスに注目してしまったG共をこちらへ振り向かせる。


―――


 結論から話すと戻れなくなった。

 先程転げ落ちた階段は謎の結界により僕の退行を妨げた。


 多分、最初に入ってきた扉と同じ魔法じゃないかと思う、何をしようとしても全く反応がない。


 二人を待つか、先へ進むか。普段なら前者を選ぶとろなのだが、今回は状況が違った。


「お、女の子……?」


 見たところ十代後半だろうか、仄かに輝く炎に照らされ、腰あたりまで伸びたブロンドの髪が地下には無いはずの風になびいている。


 いや、そこには風がある、この凄まじい轟音と共に頬を撫でる風は本物だ。


 女の子と他になにか居る。


 僕の足はその光景を目にした瞬間勝手に動き出していた。


「さ、下がって!」


 先程の風により巻き上げられた砂埃がその先にいる何かを隠す様に浮いている。


 僕は、女の子の壁になるように立ち塞がり武器を構える。


 睨み合いの状況も束の間、それは砂埃が裂けることによって破られた。


「……っかは!」


 視界の端に黒い影を捉えたかと思えば、一瞬にして壁際まで飛ばされ、視界が反転してしまっていた。


 お腹に穴が空いたように息ができない。息が苦しい。壁への衝突と同時に駆け抜ける痛みは今まで味わったことの無いような痛みで、そのまま意識を手放してしまいそうになる。


 しかし、このまま眠ってしまう訳にはいかず朦朧とする意識を繋ぎ止め、壁に埋まってしまった無理やり起こす。


 腕を抜くと刺さった壁の破片がポロポロと落下していく。その度に激痛が走る。


 傍から見ればその攻撃の威力は一目瞭然、壁一面にヒビが入り天井にまで広がってしまっている。


「に……にげて……」


 もう一度武器を構え、応戦の体制をとる。一瞬足りとも気を抜けない状況、正直にいえば逃げてしまいたいが、女の子を置いて行くなんて僕には出来ない。


後ろの階段はもう結界が発動して逃げられないだろう。まさに背水の陣という訳だ。


「カメ型のモンスター『ガメィル』その攻撃力は凄まじく、特に顎の噛み砕く力は固有スキル【万物粉砕】により万物をも砕く恐ろしい力を発揮する、魅力的なのはその顎だわ試してみたいわね」


 淡々とした声音がこの薄暗い地下に響く。


 その声の主は今まで守ろうとしていたはず少女、冷静にそれでいて淡々と話す彼女は品定めをするようにガメィルと呼ばれたモンスターを眺める。


 だが、モンスターはそんな事をしている間、何もしないわけがなく、間髪無しに攻撃を放ってくる。


 今度は砂埃が晴れ姿が見える。4メートルほどの巨体はこの小さな地下室には似合わず、天井を破壊しながら迫り来る。


そしてガメィルはその異常なまでに発達した顎を開いた。


 刹那、少女を目掛けて何かが伸びる。


最後まで読んでもらえて嬉しスギィ!自分感謝いいっすか!?

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