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水の精霊にTS転生!   作者: アリエパ
19/74

閑話 忌子の

今までスマホから投稿していたので、段落始めに空白を打てませんでしたが、それを直しました。内容は変はっていません。

「そうやって飲むの?」


 まさか手からとは。


「体中どこからでも出来る。飲むというより、吸収だな。」


「ねっ、ねえ、もしかしてだけど、あれだけあっても水は足りないの?」


 少なくない量の水がなくなった。いつでも川とか水辺が近くにあるとは限らないし。


「これは一度吸収した水だ、また吸収しても足しにはならん。半日で、、、水なら半日で、大人が一日で飲む量の10倍以上。血なら、そうだなウサギ2,3羽だな。」


 なるほど。それぐらいならなんとかなるかな。それに、血の方が燃費がいいなら、いざとなればこっそり混ぜちゃおう。


「言っておくが、私は血ではなく、水が飲めると聞いてお前についていくのだからな。」


 む、なかなか鋭いわね。


「心配しないでいいよ。この近くに小川があるから、そこに行けば好きなだけ飲めるよ。」


 今はね。


「ならば早く行こう。水が私を呼んでいる。ああ、これ服と武器だ。さあ準備は整った、いざ行かん。」


 まったく、慌てん坊なんだから。


「その前にいくつか確認しない?お互いの能力とか、何が出来るのかとか。」


 自分の力を把握しないと、出来ることも出来ない。


「ならん。先ずは水だ。水を飲まないとおちおち考え事もできん。」


「はいはい。じゃあ付いてきて、こっちだよ。」


 もー、仕方のない子。


 泉に来る時に見つけた小川に案内する。ユニエは私の周りを、漂うようにフヨフヨ浮かんでついてくる。森の中だから、木が生い茂っているのに、枝葉を器用に避けている。

 時々聞こえる鳥の囀り、木のざわめきが心地よく、木漏れ日がさし、程よい気温で過ごしやすい。今までは森に入る時は、一人で狩りに行くだけだったから楽しむ余裕もなかったけど、大切な人と時間を共有出来るだけで、こんなにもちがうんだ。


 川に着いた。その途端


「水だー!!」


 無邪気に歓声を上げて、ユニエが川へ飛び出した。そして川の中ではしゃぎまわっている。普段は面倒見が良くて、大人っぽい所があるけど、こういう所はまるっきり子供ね。

 ユニエを眺めていたら、急に顔を引き締めて一言。


「、、、なんだ。」


「別に〜。可愛いなって思っていただけだから。」


 はしゃいでる所を見られて、恥ずかしかったのね。


「水が美味かっただけだ。」


「ふふ、わかってるよ。」


 必死にごまかしてる感じが、とても微笑ましい。

 ニコニコしながら見ていたら、ユニエが何か思いついたような顔で聞いてきた。


「リーシャ、今年で幾つになる。」


「?10歳だけど。」


 いきなり何かな?


「リーシャ、よく聞け。私の方が年上だ。お前よりお姉さんなんだぞ。」


 すごいどや顔。本当にそうなの?怪しいわね。と言うか、そんなことで勝ち誇ってるようじゃ、まだまだ子供じゃないの。


「クスッ、そういう事にしといてあげる。」


 大人の余裕で答える。本当に可愛いなあ。

 にこやかに微笑みかける。そしたらユニエは、川に顔を突っ込んで静かになった。

 あらら、拗ねちゃったみたい。子供っぽい人。

 しばらくじっとしていたら、


「よし満足だ。」


「もういいの?まだそんなに飲んでないんじゃない。」


 大人の10倍って聞いてたけど?


「いいんだ。もう、いいんだ。」


 なんだかやけにほろ苦い表情で、しみじみと言うね。


「ふーん。私も喉が渇いてきたし、飲もうかな。」


「待て!早まるな!」


 はい?


「これを飲め。」


 ユニエが水球を差し出してきた。


「なんで?」


「悪い事は言わない。こっちを飲んだ方がいいぞ。」


「ん?わかったよ。」


 彼女は水の精霊。私にわからない事がわかるんだろうな。


「あっ、雨だ。」


 水を飲み終わった途端、ポツリと来た。幸いにも、川の上まで木々が覆っているから、傘がわりになってあまり濡れないけど。

 その時、ユニエが叫んだ。


「雨だ、、、雨を降らせればいいんだ!」


 えっ?えっ?


「リーシャ、私は決めたぞ。天気を、私は天気を操れるようになってみせる!」


「えっ、そう。頑張ってね。」


 なんなの急に?


「お前に夢はあるか!!」


 本当になんなだろう。

 夢?


「今は、、、ユニエと一緒に居られれば、それでいいかな。」


 それで充分幸せで、楽しい。


「もっと大きな夢はないのか!」


 ユニエを守れるくらい強くなるとか?いや、彼女が求めている答えは、もっと明確で大きな夢の事だよね。例えば、、、例えばなんだろう。今まで集落では一人ぼっちだったし、生きるのに精一杯だったから、考えたこともなかったな。夢、なんだろう。


「、、、ないよ。そんなのないよ。」


 わからない。私は何を目標に生きていけばいいんだろう。ユニエ以外に、私には何もないのかな。


「ならば私がお前の夢を探す事を手伝ってやる。だからお前も私に協力しろ、リーシャ!!」


 そのセリフは、【リーシャ】が言ったセリフと似ていた。


「握手だ。これから共に歩んでいこうではないか。」


 共に歩んでいこう。共に生きていこう。まさにそれは、私が望んでいた言葉だった。

 愛おしさと喜びが溢れてきて、思わず彼女を抱きしめた。


「わふ。」


「ありがとうユニエ、ありがとう。

 ずっと、ずっと一緒に居ようね。私から、離れないでね。」


 私はユニエより年上で、しっかりしてると思っていたけど、案外彼女のお姉さん発言は、嘘じゃないかもしれないな。彼女は私の前に出て、導いてくれた。

 私はリーシャで、この子は守るべきユニエ。そう考えていたけど、違った。「白竜と少女」の彼らの関係は対等だった。

 お互いに足りない所を補って、歩んでいく。寄り添いあって、支え合って生きていく。母娘でも、姉妹でも、友人でもない。夫婦。女の子同士だとか、まだ子供だなんて、関係ない。私とユニエの関係は、夫婦と呼ぶのがふさわしいんだ


「ああ、ずっと一緒だ。」


 死が二人を分かつまで。

 抱きしめ返されて、体に回された腕から温もりを感じながら、心の中で誓いの言葉を呟いた。

~~~~~~~~~

「先ずは街に行ってみよう。情報収集だ。」


 ユニエが目標を決めた。


「そうだね、じゃあ、お互いに出来る事とか確認しようよ。今度こそ。」


 今の私には、この子を支えることしか出来ない。でもいつか、いつかきっと、私も夢を見つけて、ユニエに支えてもらうんだ。

 夫婦って、そう言うものでしょ?


~~~~~~~~~~~

〈エルフの集落〉


「族長、よろしかったのですか。」


「忌子のことか?」


「はい。あれは代償魔法を使えます。いくら子供とはいえ、逃亡に成功する可能性もあります。」


「問題なし。忘れたか?この森は主様の眠る地。だがその御力の届かぬ外周部には、豊富な森の動物を喰らおうと、魔獣がウロウロおるは。さらにはそれを捕食しに来た悪魔までいるとなっては、もはや誰にも、少なくとも単独では不可能。」


「そうでありましたな。いや、これはうっかり。申し訳ございません。」




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