噴水イベント
日に日にミレイユといると視線が多くなるのを感じる。
この世界にやって来て、半月が過ぎた頃だった。相変わらずミレイユとは顔を合わせれば話す中で、セレナとは相変わらずの関係性が続いていたが、あの図書室の件から
「おはよう」
「おはようございます」
挨拶をすると、挨拶を返してくれるようになった。心なしか、少しだけ距離が縮まった気がしていた。
そんなある日の休み時間にバシャン!大きな水音がする中庭に目をやると、四人の女子生徒がいた。うち一人はミレイユで、3人は確か隣のクラスの女子生徒だった。
見ただけでどう言う状況か分かるくらいな光景だった。噴水には一つの鞄が投げ出されていて、開いてしまったのだろう、何枚かのプリント水を吸って漂っていた。
ミレイユはどうしてこんな状況になっているのか分からないようであたふたとしている。
バッグを投げ入れたであろう女子生徒達は、なぜか分からないが、誇らしげな表情で、嘲笑うようにミレイユを見ている。
ミレイユは女子生徒達に怒るでもなく、噴水へと手を伸ばし、濡れた鞄を拾い上げた。だが、プリントが届かない位置まで流れて行ってしまい、ミレイユは精一杯手を伸ばしたが、プリントはどんどん遠くへと流れてしまって行った。
俺はただそのシーンを教室から見下ろしていた。
「仲がいいと思っていたのだけれど」
驚いて横を見るといつの間にか、隣から俺と同様見つめるセレナがいた。
「助けには行かないのね」
淡々と告げたセレナは俺にそう言うと、興味がなくなったのか自分の席へ戻って行った。いつも挨拶する時だって俺から話しかけていたのに、初めてセレナから声をかけて来て更に驚いた。
確かに、このシーンはヒロインとジェイクの初対面の重要な描写だ。ゲーム内で重要視されなかったから映らなかっただけだななって考えながらまた、噴水へと視線を向ける。
ミレイユはまだ、必死に手を伸ばしてプリントに手を伸ばしていた。もう少ししたらきっとジェイクが颯爽とこの噴水に入りミレイユを救う。
女子生徒達はそんな姿を見て変わらず笑う姿は結末を知っているとしても、気持ちいいものではなかった。
笑い声や、中庭に野次馬が多くなり始めるが、ミレイユに手を差し伸べる人は誰もいなかった。
そして、女子生徒達はあろう事かミレイユを噴水へと突き飛ばしたのだった。は?え?こんなシーンあったか?
頭の中がごちゃごちゃと感覚にフリーズしてしまう。
でも、それは一瞬だった。俺はすぐさま教室を後にすると中庭へと走り出した。
おかしい。なんでジェイクが来ないんだ!?颯爽と階段を駆け下りているが、内心はパニックになっている。
中庭に着き、呼吸を整えながら噴水へと視線を向けると、
「は?」
そこにはジェイクではなく何故かレオンがミレイユを庇うように、女子生徒達の前に立ち塞がっていた。




