幕間3
回さんは、アタシが病気だという宣告をすると、本当にただの気まぐれだったのか、それ以上何も言葉を続けなかった。
アタシの立場としては、そこまで言ったのならもう少し詳しく説明してもらいたいところだ。病気かどうかはともかくとして、心が動かなくなるということに関しては、心当たりがある。
常にアタシが探すことにしている、アタシの心を感動させるものを見つけるための手がかりになる話が聞けると思ったのだけど。
話は終わった、という雰囲気の回さんにもう一度質問する。
「ねえ、回さん。早く治さなくてもいいって言ったけど、治す方法とかはないの」
回さんはティーカップをテーブルに置きながらアタシの方を向くと、「なんの話をしているの」と疑問符を浮かべるような感じで首をかしげた。
アタシとの会話は本当にもう過去のものになってしまっているらしい。この人の気まぐれこそ、病気なのではないかと思う。
しかし、一瞬して、それが先程までアタシと話していた会話についてだと思いだしてくれたらしい。自分の中で納得したように少しだけうなずいて。
「さあ」
と言った。
やはりそこも、医者ではないから、ということだろうか。
これ以上この気まぐれを気にしても仕方ないのかもしれない。
そう諦めをつけようとした時、不意を突くように一言だけ、アタシの方ではなく、また気まぐれにどこかを向いて回さんが呟いた。
「病気を持っていたって、懸命に生きているヒトはたくさんいるわ」
どんな意味を込めてそういったのかがわからなくて、真意を図るように無言のまま回さんを数秒見つめて考える。
けれどその答えは、雲に隠された空の星のように、とても見つけられそうになくて、ひとまず諦める。
「ま、治す方法が見つかるまで、立ち止まって考えてみるよ」
「立ち止まって、ね……」
アタシの言葉の後になにか回さんが言った気がしたが、あまり気にせず、リビングを立ち去った。




