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44歳おっさん、若返って異世界で秘密結社始めました 〜特撮オタでヒーローが好きなのにいつの間にか恐ろしい首領に見られてた〜  作者: 田島久護


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第一話 魔王を倒したのに異形だと言う理由で追放されました

「コージ・イチハラ。よくぞ我らを苦しめた魔王ヴァルドを倒してくれた。礼を言うぞ」


 金碧輝煌な聖都の王の間。玉座に深く腰掛けたセットー王は、悪魔のような薄汚い笑みを浮かべていた。


「今日をもってお前の聖騎士の資格を剥奪し、聖都への出入りを禁ずる」

「……は?」


 世界を救う過酷な旅を終え、国へ帰還した直後の仕打ちがこれだった。


「お前のような醜い異形の化け物を、勇者として置いておくわけにはいかんでな」


 横を見ればかつて永遠の愛を誓った婚約者である姫のリースが、小馬鹿にしたように口元を隠して笑っている。


「ごめんなさいね、コージ。用済みの化け物と結婚なんて、先祖たちに申し訳が立たないわ」


 旅の最中、彼女が同じパーティの神官セウトと夜な夜なテントで密会していたのは知っている。


周囲の仲間たちも、誰一人としてこちらに視線を合わせようとはしない。


前世は四十四歳のスーパー店員。


理不尽なクレーマーの顔色を窺い続けた前の人生なら、ここで絶望していただろう。


だが、今の心境は、これ以上ないほどに歓喜へと跳ね上がっていた。


(やった……! やっと、あのブラックな重労働から解放される……!)


 魔族に拉致されて肉体を改造されたときは驚いたが、この白銀のスマートなボディ、竜を象ったヘルメット風の頭部は、前世で愛した特撮ヒーローそのものだった。


これからは、誰の目も気にせず特撮オタ活を満喫できる。


「わかりました。では、これにて失礼します」


 両腕を立て、胸の前でビシッと交差させる。


「抑圧解除(サプレス・リリース)!」


眩い白銀の光を全身から放ちながら、堂々と王の間を後にした。陰口を叩く兵士たちを無視し、聖都の城門を悠然とくぐる。


「やっぱり、ヒーローの退場はお約束(オツヤク)の変身解除に限るな」


 夕焼け空の下、変身前と逆のポーズを取り、体内の魔力出力を一気にゼロへと引き下げた。


直後。


――パリィイイイイイン!!!


 聖都の天を覆う空間全体から、凄まじい硝子の割れる音が響き渡った。


「ん? 随分と派手な解除演出だな」


 背後でドゴォオオと爆音が響き、大地が激しく揺れる。振り返れば、聖都のあちこちから煙が立ち上っていたが、気のせいだろうと森の奥へと歩き出した。


◇


一方その頃、聖都の王の間は、かつてない阿鼻叫喚に包まれていた。


「お、王様ァーーッ! 大変です! コージが魔力を解いた瞬間、国を護っていた神レベルの結界が、木っ端微塵に粉砕されました!」

「な、何だと……!?」


 セットー王が玉座から転げ落ちる。


「報告! 結界の消失を察知した魔族の残党数万が、一斉に城門へ突撃してきております! 北門は既に突破されました!」

「いやぁあああ! 誰か、誰かアイツを連れ戻してよぉおおお!」


 王と姫の絶叫が響き渡る中、聖都は追放からわずか数分で、文字通り崩壊へのカウントダウンを始めたのだった。



第一話をお読みいただきありがとうございます。

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