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第2話 白猫と商人のおはなし

 学校を終えたエルシィはいつものように砂浜へやってきました。エルシィは人間のお友達もいますが普通の子たちよりも好奇心が強いエルシィは妖精さんとかに興味があります。


 エルシィはいつも、猫の妖精のクレールと一緒にいます。今日もクレールに冒険のお話を聞かせてもらっていました。


「ねえ、クレール。今日はどんなお話を聞かせてくれるの?」


 猫の姿になっているクレールはエルシィの膝の上に乗ってお話をはじめました。


「そうだにゃあ……じゃあ、今日はある街に行った時に出会った商人のお話でもしようかにゃ」


◇◇◇


 そう言うとクレールはこの王国からとても離れた街のお話をはじめました。クレールはその街に着くと、猫の妖精のお仕事の一つである困っている人を助けるために街の見回りをはじめました。


 すると、クレールはある商人の男の人と出会いました。彼は毎日、一生懸命に働いている家族思いの優しい人で時々、貧しい人たちに食事を食べさせてあげたりしていました。


 ある時、そんな心優しい商人の人は馬車が壊れてしまいました。修理するにもお金が必要なのですがその時は冬の寒さが厳しくて薪を買うお金の無い人のためにたくさんの薪を買って配っていたのでお金がありませんでした。


 しかし、そうは言っても商人にとって馬車はお金を産む大切なものです。どうにかして修理をしないと自分と家族が食べていけません。


 そんな時、クレールが馬車が壊れた所に出くわしたのでどうしたのか商人の人に尋ねるとこう言いました。


「ありゃ~、車輪が割れて大変にゃ。どうするのかにゃ?」


「ああ、妖精さん。どうすればいいんだろう。私はもうこの馬車を直すお金がないんだ」


 お話をしている時に商人の記憶も覗いて見ていたクレールはこんな良い人なら助けてあげないとと思いました。


 すると、新品の馬車を運んでいるとても大きな馬車がやってきました。その馬車はこの商人の男の人の知り合いの人でした。


「どうかされましたか? ああ、これは大変だ。馬車の車輪が壊れてしまっている。これでは走らせる事はできませんな」


「そうなのですが、もう私にはこの馬車を直すお金がありません」


 この馬車を運んでいる人は馬車を作っている工場の社長さんでした。社長さんはこの商人の男の人はいつも困っている人のために自分のお金を出し惜しみせずに使っている事を知っていました。


「……貧しい人を助けるのはとても良い事ですし、その気持ちは何よりも大切なものです。それでも自分を犠牲にしてまで、しかも馬車を直すお金がなくなるまでするものではないでしょう」


「それでも今年の冬は特に寒くて困っている人が多くいたので助けてあげたかったのです」


 この商人の男の人の人が言う通り、今年の冬の寒さはとても大変です。凍てつく寒さで体は凍え、一皿のスープを作る事すらままならない人がたくさんいました。


 社長さんはなら、今回は特別だとこれから受け渡しに行く馬車の中から一台を商人にあげる事にしました。


「社長さん! 流石にこれはいただけません!」


「これはね、これから持っていくところではもう一つ買ってくれるかなと思って持って行く予備のものです。工場にも同じものがまだいくつかあります。

 頑張る慈悲深いあなたのために神が与えた慈悲だと思って使ってください」


 それを聞いた商人の男の人は泣いて喜びました。クレールは真面目に生きている人が困っているとその人の近くに自然と行くようなっています。


 そして、今回は頑張る商人の男の人へ馬車のプレゼントがやってきたのでした。


◇◇◇


 とても不思議なお話を聞いたエルシィはどうしてそんな不思議なプレゼントがやってきたのか気になったので聞いてみました。


「この商人の男の人はいつも善い事をしていたからプレゼントがやってきたのかな? それとも運が良いからプレゼントがやってきたのかな?」


「この男の人の場合は善い事をしていたからプレゼントがやってきたにゃ」


 それでも運だけが良くて幸せそうにしている人もいるのはどうなのかと思ったエルシィはクレールに聞いてみました。


「でも、運がやたらと良くて特に善い事をしているように見えない人でもいつもプレゼントがやってくる人もいるよね?」


「そういう人はそのプレゼントは本当にプレゼントなのかよく考える必要があるにゃ」


 エルシィにはこの本当にプレゼントなのか考える必要があるという事がよく分かりませんでした。


 それにクレールは頑張っていればご褒美があるという訳ではないとも言っていました。それを聞いたエルシィはこの世界は自分たちの見えていないところではクレールたちのような妖精さんが人の幸せのために頑張ってくれているんだと思いました。


 エルシィは浜辺で夕日を見ながら膝の上のクレールを撫でながら猫さんと一緒にこうしてお話出来て幸せだよと言いました。

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