第1話 暖かな砂浜
―― これは今いる世界とは違う、他の世界のお話。 ――
ここはとある王国のはずれにある港町。今日も朝から漁師さんや、お魚を使った食べ物を作る工場に向かう人々でにぎわっています。
そんな元気な町にある女の子が住んでいました。名前はエルシィ。青いひとみに金色で長い髪をした女の子です。
彼女は今日も学校へ行きます。その顔はうれしそうでもあり、どこか心ここにあらずといった表情をしています。
エルシィは学校での勉強をする時間、みんなでお昼ご飯を食べる時間、みんなでおしゃべりしたり遊んだりする時間をすごします。
◇◇◇
日が傾いてきた午後四時ごろ。エルシィは学校が終わるといつも砂浜へ向かいます。そこでは少しの時間ではありますが、あたたかな太陽のぬくもりに体が包まれて夢の中にいるような気分にさせてくれます。
そのふわふわした気持ちが落ち着くころ、白い猫の妖精がやってきます。名前はクレールだったり、他の名前の子だったりします。見た目はよくにているのでじっくり見ないと分からない日もあります。
そして、木で出来た桟橋に座ったエルシィは猫の姿の妖精を膝の上に乗せると、近所のおねえさんのエリンがやってきました。エリンはエルシィとはちがう学校に通う女の子で少し、重たい好きという気持ちをもっています。
エリンがやってきた時、タイミングよくフクロウの妖精もやってきました。この妖精たちは人間たちが困っている時に助けてくれたり、さみしい時には話し相手になってくれたりします。
エルシィはエリンに今日も学校はどうだったのかとたずねました。
「エリンおねえちゃん。今日の学校はどうだったの?」
「今日はね、ルークって言う私たちの学校の先生が女の子に追いかけられていたよ。あの先生は毎日だから大変だよ」
「へえ。ルーク先生って人気者なんだね」
「そうなんだよ。モテモテだね。でも、私はね……」
恋愛にも興味があるお年頃の二人。こちらの世界でもそれは私たちのいる世界と変わらず人気の話題のようです。
エリンがフクロウを両手でつかんで自分の膝に乗せた時、桟橋の向こうの方から男の人がやってきました。
「ああ。何て美しい場所なんだ。前の世界じゃこんな景色は見られなかったな」
不思議な事を言うお兄さんだなとエルシィは思いました。気になったエルシィは男の人にどういう事かをたずねました。
「こんにちは。前の世界じゃ見られなかったってどういうこと?」
尋ねられた男の人はエルシィの隣に座って言いました。
「こんにちは。俺はこことは違う世界から来たんだ。その世界だとこんな光り輝いているような海は見た事がなかったんだ」
それを聞いたエルシィは不思議そうに答えました。
「ふ~ん? そうなんだ。私は毎日、ここに来てるんだけどそんなに眩しいのかな? お兄さんのいた世界の海って暗かったの?」
「そうだなあ。暗いというか、この世界の海みたいに元気な感じの海を見た事が無かったというかそんな感じかな」
エルシィはライリーは一体、どんな暗いところから来たのかと不思議に思いましたがそれもそのはずでこの世界はライリーのいた世界よりも元気が良くてどこを見てもキラキラしているように見えるところが多い世界です。
ライリーは前の世界で色々な事があったのですが、この世界に来てからソフィアという大切な人も出来て幸せになりました。
エリンはライリーとお話がしたいようですぐ横に座りました。
「ねえ、ライリーさん。今日はソフィアさんはいないんですか?」
「ああ。今日は屋敷に先に帰った。それにしてもエリンもいるとは思わなかったな」
エリンはライリーにこの場所はエルシィといつも一緒に来るお気に入りの場所だという事、この近くに住んでいる事を話しました。
エルシィもエリンも毎日でも来てよと言いましたがライリーはこの世界に来てから冒険の旅をしているので毎日は来られないけど、なるべく来るよと言いました。
二人とも友達が増えたと喜んでいましたが、日も落ちて暗くなってきました。ライリーは先に屋敷に帰り、エルシィたちも家に帰る事にしました。
◇◇◇
家に帰ったエルシィはお風呂に入って自分の部屋のベッドに入りました。窓の近くに置かれたベッドに横になると窓からは夜の海が見えます。
エルシィはこの窓から見える海を見ながら海の向こうに冒険や旅行に行く事を日々、思い浮かべたりしていましたがライリーという違う世界から来た人に会ったことで違う世界に冒険に行くのも楽しそうだと思いました。
明日も楽しい事があればいいなと思いながら、潮騒を聞いていると眠くなってきたエルシィは夢の中へと入っていきました。




