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第八話 通学路

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「では、行ってきます。いいですか?私が学校に行っている間に私の部屋だけは綺麗に掃除しておいてくださいよ?」

「分かってる、分かってるって!」


少し心配な承諾を確認した私は、あまり期待をせずにルノアール学院へ向けて出発した。

おば様の寮に届くように登録しておいた、プリントには今日必要な物が書かれていた。


学院の制服と学院内へ入る時に必要な学生証、最低限の文房具。


(プリントと同じく渡されていた学生服と学生証。文房具はおば様に揃えてもらっていましたし、忘れ物は無いですね。)


これで、三回目の点検を終えたジャックは心置きなく道を歩く。

おば様が用意してくれた文房具の中にはシャーペンに似た物を確認して、前の世界との近さを感じた。


ルノアール学院に入るに至って試験という概念は無かった。聞いた話から決するにルノアール学院は前の世界で言う「専門学校」にあたる部類だ。

要するに学費を払えば誰でも魔法や部隊訓練を教わることが出来る。


違いは、この国では規定の歳になると入学が法律上強制的に行われ、それより年上が入ることは出来ないというところであり、それ以外は普通の学校だ。

だからこそ、私はルノアール学院に入れたのである。私の同い年の鬼達は怖がって来なかったが。


学校への距離はあのボロ屋敷から徒歩二十分と少し離れたところにある。


通学方法としてバスという手段もあったのだが、今日、おば様から借りているお金を無駄遣いにはしたくなかったし、第一鬼の里からルノアール王国の距離を走ってきた私からすればこの程度の距離、動作もなかった。


実のところ、実家から送られてくるのはお金ではなく鬼の里周辺に生える人間界では珍しい薬草や食べ物などだ。

鬼の間で使われている通貨をルノアールの通貨に換金することは出来るのだが、そうすると怪しまれてしまう恐れがある。


それを考えた母様はそれらを送り、街の薬師や八百屋などに売り、その儲け分を学費、宿料、お小遣いにしている。

それを送ってくるのもまた鬼であるが何分距離が距離なだけにそれらが届くのはあと二日はかかるだろう。


ここの通貨は金銀銅の三種類らしいが、まだ実際に持ったことも使ったこともないから、前世のお金とどう違うのかが分からない。


ところで、流石は学院都市と言ったところだろう。私と同じ制服を着ている学生が多く見られる。人間は勿論、入り口で見た亜人達も少なくはない。


そして何よりこの街道。

辺りを見渡せば、建物の多くが寮やお店で溢れている。お店には、『魔法の杖』、『魔剣』、『魔法の教科書』などとSFのような世界が広がっていた。


それらを意識して歩いている生徒を見てみると確かに小さな杖を持っている者や腰に液体の入った試験管を備えている者、制服の上からローブを着ている者。様々な生徒がいた。


(なんだか、私の格好は少し寂しいような気もしますねぇ。目立つと思って止めておきましたがやはり被りますか。)


そう思って通学用カバンから取り出したのはジャックが前世いつ何時被っていた底が深いのが特徴的なハット帽だった。


「いやぁ、いいですねぇ。こんなにもしっくりくるのは久しぶりです。ん?」


帽子を被った瞬間に違和感を感じた私は、もう一度脱ぎ頭に乗っている物を取る。

それは手紙だった。


『やぁやぁ、可愛い甥っ子ちゃん。これを見ている時、君は何をしているのかなぁ。まぁ、いつ見てくれてもいいんだけどね。』


楽観的で始まった手紙は次のくだりから変わっていく。


『これは、叔母である私からの本気の忠告ね。知っている通りこの国では鬼を入国禁止にはしてはいない。だから入ろうと思えば薬の力を使わずとも入国することは出来る。だけどね、だったらなんで皆薬を打ってまで人間の国に来るのか。それはもう言わなくても分かるよね?学校生活や人間の文化を知りたいという好奇心には大いに賛成だけど、絶対に鬼だということは知られちゃいけない。それだけは覚えておいて。』


あの人から初めて感じた真面目な一面。

おば様があえて手紙に書けなかったことはきっとこの国の鬼に対する思想だろう。


おば様からの愛とも言える手紙を読み終え、もう一度鞄の中に仕舞い、前を見てみると。


「おお、これは美しいですね。」


ハット帽を少しあげて遠くから見えだしたのは前世の世界でいうところの教会のような建物。

全体的に白く大きく、神秘的なものを感じる。


「あそこが今日から私の学舎。とても楽しみですね。少し早めに歩きますか。」


ワクワクが止まらない好奇心がジャックの足を早めようとしたその時。


「やめてください。」

「ん?」


確かに聞こえたのはか細い子供のような声。


(どこでしょう。)


辺りを見渡しても見えるのは通学中の学生や店舗のみ。


「仕方ないですね。」


面倒臭いことを表すようにため息を一つ付いた私は人間になったことにより落ちた聴力を限界にまで引き伸ばす。


「早くしろ。」

「持ったえぶんじゃねーよ。」

「人間様に逆らっていいとでも思ってんのか?」

「人間と他種族の何が違うと言うのですか!?」


方向は私の向いている正面から右斜め後ろ。声が壁に何度も反射して反らして空に向かって上がっている聞こえかたからすると、何処か狭い建物に挟まれて人に見られないところ。

踵を確実に聞こえてきた右斜め後ろに向け、辺りを見渡す。


(あそこですか。)

次回予告。

不安残る寮を出て初めての通学路を歩くジャック。しかし、建物の影から女性の声が。男の三人に囲まれている窮地を助けようとしたその時、まさかの人物が現れる!

次回第九話 お決まりの展開とまさかの出会い

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