第49話 灰色谷へ向かうために
《Welcome Back》
《Another World Online》
視界を包んでいた光が消える。
白鷺亭。
俺――ジョウゴはベッドから起きると、そのままメニューを開いた。
《ジョウゴ Lv.7》
そして。
《緊急合同依頼》
《灰色谷・黒鎖商会拠点調査》
《参加条件:Lv8以上、またはギルド推薦》
《目的》
《違法輸送拠点の確認》
《被害者救出》
《証拠確保》
《黒鎖商会幹部拘束》
「あと一つ」
レベル。
ただし。
経験値だけを目的に。
適当な魔物を狩り続ける。
そういうのは。
あまり好きじゃない。
「依頼」
受ければいい。
レイゼン。
初めて来た街。
冒険者ギルドの依頼も。
まだ。
ほとんど見ていない。
◇◇◇
白鷺亭。
一階。
「おはようございます!」
「おはよう」
ミナ。
カイト。
レント。
三人。
朝食中。
「今日」
カイト。
「レベル上げ?」
「ああ」
「ジョウゴがレベル上げって言うと」
「なんか違和感ある」
「必要だから上げるだけ」
「それです」
ミナ。
「普通のゲームなら」
「レベル上げのために狩るんですよ?」
「依頼やってれば上がるだろ」
「ジョウゴさんは本当に生活型ですね」
生活型。
「まあ」
AWO。
ゲームだけど。
第二の生活。
そういう遊び方。
俺には。
合っている。
◇◇◇
朝食後。
《レイゼン冒険者ギルド》
昨日まで。
俺。
告発。
事情聴取。
なんだかんだ。
かなり目立った。
だから。
扉。
入った瞬間。
「あ」
「ジョウゴだ」
「嫌疑晴れた人」
「黒鎖の被害者だろ?」
「むしろ捕まえてた側」
「刀の人」
視線。
集まる。
「……」
カイト。
「慣れた?」
「無理」
◇◇◇
依頼掲示板。
「どれにする?」
レント。
「四人」
「推奨Lv7前後」
「半日から一日」
灰色谷。
合同依頼。
明日。
準備。
開始予定。
だから。
今日。
無茶な遠征。
できない。
「これ」
ミナ。
指。
《討伐依頼》
《北街道周辺のワイルドオーガ討伐》
《推奨Lv:7~》
《目標:ワイルドオーガ×3》
《報酬:700G》
「オーガ」
カイト。
「オークより強そう」
「推奨7」
「ちょうど」
レント。
「場所」
《レイゼン北門より徒歩一時間》
「近い」
「これにする?」
俺。
少し。
考える。
「三体」
「四人」
「ちょうどいい」
《依頼を受注しました》
◇◇◇
「ジョウゴ」
後ろ。
低い。
声。
「リオスさん」
副支部長。
腕。
組む。
「依頼受けたか」
「オーガ三体」
「悪くない」
「灰色谷の前」
「実戦?」
「ああ」
「ただ」
「気を抜くな」
「ワイルドオーガ」
「オークウォリアーほど器用じゃないが」
「力は上だ」
カイト。
嫌そう。
「また力?」
「盾役」
「頑張れ」
「ジョウゴ!」
◇◇◇
「それと」
リオス。
「合同依頼」
「参加者」
「決まり始めた」
「何人?」
「現在」
「十二」
「俺たち含めて?」
「含まない」
「じゃあ十六」
「さらに」
「アルト」
「俺」
「衛兵隊」
「六名」
「合計」
かなり。
「大きいな」
「灰色谷の拠点」
「人数」
「不明だからな」
「ただ」
「人質がいる」
「大人数で突っ込めば」
「危険」
「だから」
「部隊分ける」
その話。
「今日の夕方」
「作戦会議」
「参加しろ」
「了解」
◇◇◇
そして。
北門。
出る。
《レイゼン北街道》
シズナ東街道より。
少し。
狭い。
森。
丘。
多い。
「配信」
ミナ。
「今日は?」
「しない」
「灰色谷までお預け」
「ああ」
「CROSSにも」
「明日の合同依頼」
配信申請。
済み。
「今日は」
「普通に依頼」
カイト。
「普通に終わればいいな」
「その台詞」
「やめろ」
◇◇◇
一時間ほど。
歩く。
《北街道・岩丘地帯》
「足跡」
レント。
地面。
大きい。
《ワイルドオーガの足跡》
「でか」
ミナ。
「ジョウゴさんの足二つ分?」
「もっと」
カイト。
「これ」
「盾で受けるの?」
「流せ」
「無茶言うな!」
◇◇◇
さらに。
進む。
岩。
多い。
場所。
「匂い」
腐った。
肉。
近い。
「いる」
俺。
刀。
抜く。
前。
岩陰。
巨体。
《ワイルドオーガ Lv.8》
身長。
二メートル半。
オーク。
より。
さらに。
大きい。
手。
棍棒。
「一体」
レント。
「周囲」
探す。
「今は」
一体。
「やる」
◇◇◇
「グォ?」
オーガ。
こちら。
見る。
「グオオオオ!」
「来た!」
カイト。
盾。
「正面受けない!」
「学習した!」
棍棒。
振り下ろし。
カイト。
斜め。
逃がす。
ドォン!
地面。
割れる。
「受けなくてよかった!」
「その通り!」
俺。
側面。
「脚!」
試作三号。
一閃。
ザンッ!
《Critical Hit!》
「硬い」
オーガ。
振り向く。
腕。
裏拳。
「っ!」
予想より。
速い。
後ろ。
下がる。
風。
顔。
掠める。
「力だけじゃない」
◇◇◇
「レント!」
「《パワーショット》!」
矢。
肩。
刺さる。
「グオ!」
「ミナ!」
「《ファイアボール》!」
ドンッ!
胸。
炎。
でも。
倒れない。
「HP多い!」
カイト。
「俺」
もう一度。
前。
オーガ。
棍棒。
横。
「大きい」
範囲。
広い。
「だったら」
内側。
懐。
潜る。
「ジョウゴ!」
「大丈夫!」
棍棒。
外。
通る。
俺。
オーガ。
すぐ。
目の前。
「膝」
ザンッ!
《Weak Point!》
巨体。
片膝。
「今!」
カイト。
《シールドバッシュ!》
顔。
ドンッ!
「グォ!」
仰け反る。
レント。
矢。
首。
《Critical Hit!》
ミナ。
炎。
「《ファイアアロー》!」
俺。
最後。
踏み込む。
「ふっ!」
首元。
一閃。
《Critical Hit!》
《ワイルドオーガを討伐しました》
「一体」
◇◇◇
「強い」
カイト。
「でも」
「ウォリアーより」
「単純」
「攻撃」
大きい。
癖。
分かりやすい。
「力は」
「上」
「受けたくない」
「そこは同意」
◇◇◇
《討伐進行度:1/3》
「あと二」
「近く?」
足跡。
複数。
「多分」
◇◇◇
十分後。
「……二体」
ミナ。
「ちょうど」
《ワイルドオーガ Lv.8》
《ワイルドオーガ Lv.9》
「同時」
カイト。
「一体ずつ」
「分けられる?」
俺。
周囲。
見る。
岩。
狭い。
通路。
「こっち」
「一体」
「通れないかも」
「誘導?」
「ああ」
◇◇◇
石。
拾う。
カイト。
「また石?」
「便利」
投げる。
ゴン!
Lv8。
頭。
「グォ?」
こっち。
「グオオ!」
一体。
来る。
Lv9。
少し。
遅れて。
「両方来てる!」
「でも」
狭い。
岩。
通路。
一体。
先。
二体目。
巨体。
詰まる。
「成功」
「雑!」
◇◇◇
「先頭!」
カイト。
盾。
「横へ流す!」
棍棒。
振り下ろし。
ガァン!
盾。
斜め。
でも。
「重っ!」
「カイト!」
「大丈夫!」
HP。
《82%》
「削られてる」
ミナ。
「ヒール待機!」
俺。
先頭。
脚。
狙う。
でも。
後ろ。
Lv9。
岩。
横。
押す。
「……え?」
岩。
ゴゴゴ。
「力で広げてる!」
レント。
「来るぞ!」
予定。
崩れる。
「二体同時!」
◇◇◇
「カイト!」
「Lv8!」
「俺Lv9!」
「ミナ俺!」
「レントカイト!」
「了解!」
二手。
◇◇◇
Lv9。
オーガ。
棍棒。
じゃない。
巨大。
石斧。
「また斧」
バルガ。
顔。
頭。
浮かぶ。
「受けない」
振り下ろし。
避ける。
地面。
砕ける。
「ふっ!」
横。
脚。
斬る。
《Critical Hit!》
でも。
オーガ。
石斧。
手。
離す。
「?」
左拳。
「殴る!」
俺。
身体。
捻る。
拳。
肩。
掠る。
《HP:91%》
「武器だけ見たら駄目」
身体。
全部。
武器。
「面白い」
「ジョウゴさん!」
ミナ。
「また楽しんでる!」
「今は集中!」
◇◇◇
《ファイアアロー!》
オーガ。
顔。
炎。
「グオッ!」
視界。
塞ぐ。
俺。
踏み込む。
斧。
手。
右。
でも。
視界。
ない。
「肩」
動く。
横薙ぎ。
「読める」
刀。
側面。
接触。
《受け流しLv.1》
完全。
止めない。
方向。
ずらす。
ガギンッ!
石斧。
横。
地面。
「今!」
オーガ。
腕。
伸びきる。
脇。
無防備。
「ふっ!」
ザンッ!
《Weak Point!》
HP。
大きく。
削る。
◇◇◇
一方。
カイト。
「うおおお!」
盾。
押す。
「レント!」
「今!」
矢。
膝。
《Critical Hit!》
オーガ。
片膝。
「《シールドバッシュ》!」
ドンッ!
倒れる。
「ジョウゴ!」
「もう少し!」
ミナ。
魔法。
俺。
刀。
Lv9。
先。
◇◇◇
石斧。
連撃。
一。
二。
三。
「三発」
最後。
振り上げ。
その瞬間。
「隙」
懐。
入る。
柄頭。
顎。
ゴッ!
《Stun!》
「ミナ!」
「《ファイアボール》!」
ドォン!
俺。
続けて。
首。
斬る。
《Critical Hit!》
《ワイルドオーガを討伐しました》
「二!」
◇◇◇
残り。
一体。
カイト側。
HP。
二割。
「行く!」
俺。
横。
走る。
「レント!」
「撃つ!」
矢。
肩。
「ミナ!」
「《ファイアアロー》!」
炎。
そして。
俺。
前。
棍棒。
来る。
「流す」
刀。
角度。
カンッ!
《受け流し成功》
そのまま。
回転。
逆袈裟。
「せい!」
《Critical Hit!》
《ワイルドオーガを討伐しました》
◇◇◇
《討伐目標達成》
《ワイルドオーガ 3/3》
「終わり」
納刀。
カチン。
カイト。
地面。
座る。
「もう」
「でかい敵」
「嫌」
「灰色谷」
「人間多いらしいぞ」
「よかった!」
「その反応でいいの?」
◇◇◇
ポーン。
《討伐依頼》
《北街道周辺のワイルドオーガ討伐》
《達成》
《報酬:700G》
《追加戦闘評価:A》
そして。
《ジョウゴのLvが8になりました》
「来た」
ミナ。
「8!」
カイト。
「これで合同依頼!」
レント。
「参加条件」
「達成」
《ジョウゴ Lv.8》
俺。
少し。
息。
吐く。
「間に合った」
◇◇◇
さらに。
《《受け流しLv.1》熟練度上昇》
《《見切り》熟練度上昇》
《《洞察Lv.1》熟練度上昇》
「洞察?」
カイト。
「戦闘でも?」
俺。
相手。
動き。
読んだ。
それも。
含む?
「人間だけじゃないんだな」
◇◇◇
《ドロップ》
《オーガの角×3》
《オーガの皮×2》
《上質オーガ肉》
ミナ。
「……」
「何?」
「肉」
「見てる」
「見てません」
「絶対見てる」
「マリアさん」
「ここレイゼン」
「あ」
ミナ。
止まる。
「持って帰る?」
「保存できるなら」
「帰還まで長い」
「じゃあ」
白鷺亭。
「女将さんに」
「頼む?」
「いいですね!」
「切り替え早い」
◇◇◇
レイゼン。
帰還。
冒険者ギルド。
《依頼達成報告》
「ワイルドオーガ三体」
受付。
「確認しました」
「お疲れ様です」
「レベルも」
「8」
「合同依頼」
「参加条件達成ですね」
「はい」
◇◇◇
「ジョウゴ」
リオス。
奥。
手。
振る。
「来い」
「また?」
「作戦会議」
「そうだった」
◇◇◇
《レイゼン冒険者ギルド・大会議室》
広い。
中。
冒険者。
集まる。
十二人。
レイゼン組。
シズナから。
来た。
人たち。
そして。
「ジョウゴ!」
「グランさん?」
シズナ支部長。
本人。
「なんで?」
「俺も来た」
「支部長が?」
「エルナ村」
「シズナ」
「両方に関わる問題だ」
「それに」
「黒鎖商会」
「放置」
「できん」
なるほど。
「エリナさんは?」
「留守番」
「怒ってたぞ」
「何に?」
「お前に」
「なんで!?」
「また面倒事広げたから」
「俺のせいじゃない!」
◇◇◇
「お」
別。
「兄ちゃん!」
「……」
「バルガ!?」
鍛冶師。
「なんでここに!」
「武器整備!」
「合同依頼の!」
「レイゼンまで来たの?」
「当たり前だ!」
「刀!」
「見せろ!」
「今!?」
「後だ」
グラン。
バルガ。
首。
掴む。
「会議」
「先」
「離せ!」
「元気だな」
◇◇◇
さらに。
「ジョウゴさん」
「オルドさん」
商人。
「物資提供」
「回復薬」
「食料」
「ロープ」
「運搬馬車」
「こちらで」
「手配する」
「助かります」
今まで。
関わった人。
集まってる。
「なんか」
大事。
大きくなってる。
◇◇◇
前。
リオス。
地図。
広げる。
「始める」
全員。
静か。
《灰色谷》
山。
谷。
正面。
一本道。
「正面入口」
「黒鎖商会」
「見張り」
「常時八~十」
「内部」
アルト。
立つ。
「俺が見た時」
「戦闘員」
「二十以上」
「非戦闘員」
「不明」
「捕虜」
「二十人以上」
空気。
重くなる。
「だから」
リオス。
「正面突撃」
「しない」
「裏道」
「見つかった?」
「ああ」
アルト。
地図。
指。
「谷北側」
「古い採掘道」
「崩れてるが」
「人なら通れる」
「馬車」
「無理」
「敵」
「知ってる?」
「多分」
「完全には」
「知らない」
◇◇◇
「部隊」
リオス。
指。
一。
「第一班」
《救出班》
「裏道」
「入る」
「捕虜」
「探す」
二。
《証拠確保班》
「地下倉庫」
「帳簿」
「輸送記録」
「押さえる」
三。
《陽動・封鎖班》
「正面」
「敵」
「外へ」
「出さない」
「四」
《予備班》
「状況」
「応援」
◇◇◇
「ジョウゴ一行」
リオス。
「救出班」
「俺たち?」
「ああ」
「理由」
「ルクを」
「エルナ村まで」
「無傷で運んだ」
「人質優先の動き」
「評価」
「高い」
「それと」
アルト。
「俺も救出班」
「父親」
「強すぎません?」
カイト。
「何だ」
「いや」
「心強いです」
◇◇◇
《救出班》
・ジョウゴ ・ミナ ・カイト ・レント ・アルト ・レイゼン冒険者三名
「八人」
「十分」
◇◇◇
「証拠班」
リオス。
自分。
「俺」
ナディア。
「ナディアも?」
「倉庫構造」
「記録形式」
「分かる」
「ただし」
「戦闘」
「できない」
「護衛」
「四人」
グラン。
「俺も」
「支部長二人」
「怖」
◇◇◇
「陽動・封鎖」
シズナ。
レイゼン。
衛兵。
冒険者。
計。
十人以上。
「大規模」
ミナ。
「ほぼレイド」
「ただし」
リオス。
「敵の殲滅」
「目的ではない」
「最優先」
「人命」
「次」
「証拠」
「幹部拘束」
「敵」
「逃げても」
「追いすぎるな」
俺。
頷く。
「同意」
◇◇◇
「そして」
リオス。
俺。
見る。
「配信」
「どうする」
「CROSS」
設定。
確認。
《灰色谷合同依頼LIVE》
《NPC・被害者自動秘匿:最大》
《位置情報:30分遅延》
《コメント:制限》
《救出対象の顔・名前:自動非表示》
《作戦情報:リアルタイム公開制限》
「開始時」
「目的」
「概要」
「だけ」
「作戦詳細」
「映さない」
「戦闘中」
「自動」
「秘匿」
「できる」
「なら」
リオス。
「使う」
「黒鎖」
「証拠」
「消しづらくなる」
◇◇◇
グラン。
「配信者」
「便利だな」
「最近」
「本来の使い方」
「分からなくなってます」
「最初」
「何配信してた?」
「戦闘講座」
「それも普通じゃない」
◇◇◇
その時。
会議室。
扉。
開く。
「副支部長!」
職員。
息。
切らす。
「何だ」
「灰色谷」
「煙!」
「煙?」
「遠見」
「確認!」
「谷内部から」
「黒煙!」
全員。
立つ。
「証拠隠滅」
ナディア。
顔。
青い。
「燃やし始めた?」
リオス。
「出発」
「明朝」
予定。
だった。
「変更」
リオス。
即。
「今夜出る」
「到着」
「深夜」
「突入」
「夜?」
「待てば」
「全部」
「消される」
◇◇◇
《緊急合同依頼》
《状況更新》
《灰色谷内部で火災と思われる煙を確認》
《緊急度:最高》
《作戦開始時刻が前倒しされました》
「来た」
カイト。
「今日は」
「レベル上げだけだったはず」
「俺もそう思ってた」
◇◇◇
「ジョウゴ」
バルガ。
「刀!」
「今?」
「今だ!」
試作三号。
渡す。
バルガ。
高速。
確認。
「刃」
「問題なし」
「耐久」
《306/320》
「少し減った」
「オーガ」
「斧」
「受けたか?」
「流した!」
「ならいい!」
「いいんだ」
手入れ。
すぐ。
《耐久値:320/320》
「完全」
「絶対」
「折るな」
「努力」
「兄ちゃん!」
「分かった!」
◇◇◇
オルド。
物資。
配る。
《上級回復薬×3》
《通常回復薬×5》
《解毒薬×3》
《煙避け布》
《携帯食料》
《縄》
「煙避け」
「火災」
「あるなら」
「必要」
「助かります」
◇◇◇
アルト。
大剣。
背負う。
「ジョウゴ」
「はい」
「息子」
「守った時」
「怖かったか」
「怖かった」
「……そうか」
「でも」
「やること」
「決まってたから」
「動けた」
アルト。
笑う。
「いい答えだ」
「今日は」
「人質」
「二十以上」
「ああ」
「全員」
「救えるとは」
「言わない」
「でも」
「できるだけ」
「連れて帰る」
「それでいい」
◇◇◇
そして。
夜。
レイゼン北門。
合同部隊。
集合。
二十名以上。
馬。
馬車。
装備。
静か。
「大きい」
ミナ。
少し。
緊張。
「今まで」
「一番」
カイト。
「防衛戦より?」
「今回は」
「人質いる」
だから。
失敗。
重い。
◇◇◇
俺。
配信。
設定。
《LIVE開始まで:00:30》
「今」
やる?
リオス。
「開始」
「ただし」
「詳細は」
「話すな」
「了解」
《10》
《9》
《8》
夜。
北門。
《7》
刀。
腰。
《6》
三人。
隣。
《5》
《4》
《3》
《2》
《1》
《LIVE》
「どうも」
『きた!』
『急に通知来た』
『夜!?』
『何かあった?』
『ジョウゴ久しぶり』
俺。
少し。
真面目。
「今日は」
「通常の配信ではありません」
コメント。
速度。
少し。
落ちる。
「これから」
「冒険者ギルドと衛兵隊の合同依頼に参加します」
『合同?』
『大きいやつ?』
「目的は」
一拍。
「違法に囚われているNPCの救出」
『……』
『人攫い関連?』
「詳細」
「今は話せません」
「位置情報も」
「遅延されています」
「救出対象の映像」
「自動的に隠れます」
『了解』
『邪魔にならないよう見る』
『無事に帰って』
「ありがとうございます」
◇◇◇
《現在視聴者数:73,611》
「……」
『今日は数字気にするな』
「そのつもり」
今日は。
本当に。
どうでもいい。
◇◇◇
リオス。
「出発!」
門。
開く。
馬。
進む。
灰色谷。
向け。
「行くぞ」
アルト。
「ああ」
俺。
刀。
触る。
第一章。
終盤。
そんな。
言葉。
自分。
知らない。
でも。
確か。
ここ。
最初。
AWO。
ログインした。
頃。
想像。
してなかった。
こんな。
大きな。
依頼。
参加。
するとは。
でも。
「やることは同じ」
ミナ。
「何です?」
「目の前」
「助ける」
それだけ。
◇◇◇
遠く。
山。
谷。
そして。
夜空。
黒い。
煙。
上がっている。
《灰色谷》
《危険区域》
《推奨Lv:8~》
その表示。
出た瞬間。
さらに。
《緊急通知》
《灰色谷内部で複数の生命反応が急速に減少しています》
「……」
リオス。
顔。
変わる。
「急げ!」
「全員!」
「移動速度最大!」
馬。
速度。
上がる。
俺。
胸。
嫌。
感じ。
「間に合え」
証拠。
どうでもいい。
とは。
言わない。
でも。
一番。
先。
人。
「間に合ってくれ」
灰色谷。
黒煙。
炎。
そして。
地下。
閉じ込められた。
人々。
黒鎖商会との。
本格的な衝突。
それは。
もう。
明日ではない。
今夜。
始まろうとしていた。




