第44話 第二宿場と怪しい荷馬車
《Welcome Back》
《Another World Online》
目を開ける。
見慣れない木造の天井。
「……そうだった」
俺――ジョウゴはベッドから身体を起こした。
ここは《銀麦亭》ではない。
《現在地:第一宿場・ノイス》
昨日。
シズナから交易都市へ向かう定期馬車に乗り。
途中で《ハイウェイウルフ》に襲われていた商隊を救出。
そこで商人と知り合い。
《オルド商会紹介札》
まで貰った。
「配信切った直後だったんだよな」
最近。
本当に。
配信していない時に限って、重要な出来事が起きる。
「まあいいか」
今日は。
第二宿場を目指す。
レイゼンまでは。
あと二日。
◇◇◇
宿の食堂。
「おはようございます」
「おはよう」
ミナ。
カイト。
レント。
すでに朝食中。
「ジョウゴ遅い」
カイト。
「集合時間前」
「昨日もそれ言ってたな」
「旅先だと早く目が覚めるんだよ」
「ゲームなのに?」
「それ俺が聞きたい」
俺も席につく。
《ノイス宿場の朝食》
黒パン。
野菜スープ。
燻製肉。
「いただきます」
ミナ。
「今日は平和だといいですね」
三人。
俺を見る。
「今」
「何で俺を見る?」
「昨日」
レント。
「同じこと言った直後」
「狼が出た」
「ミナのせいだろ」
「私!?」
「フラグ立てた」
「そんなシステムありません!」
◇◇◇
食事。
終わり。
宿前。
《東街道定期馬車》
御者ハンス。
「全員いるな?」
「はい」
「昨日は助かったよ」
「狼?」
「ああ」
「乗客が怪我しなくてよかった」
「馬も」
「問題なし」
ハンス。
馬。
首。
撫でる。
「こいつらは大事な商売仲間だからな」
「なるほど」
NPC。
馬。
ただの移動オブジェクト。
じゃない。
こういうところ。
AWOらしい。
◇◇◇
「今日は配信?」
ミナ。
「しない」
「今日は完全移動日?」
「ああ」
「レイゼン着いてから配信する」
「じゃあ」
カイト。
「何も起きないといいな」
「お前まで言うな」
◇◇◇
馬車。
出発。
ガラガラ。
ノイス。
離れる。
東街道。
昨日より。
少し。
景色。
変わる。
畑。
減り。
林。
増える。
「レイゼンに近づくほど」
レント。
地図。
「商隊多くなるんじゃないのか?」
「多分」
でも。
今。
街道。
少し。
空いている。
「時間帯?」
ミナ。
「朝早いから?」
御者。
ハンス。
首。
横。
「いや」
「いつもならもっといる」
「何かあった?」
「分からん」
少し。
気になる。
◇◇◇
二時間。
特に。
問題なし。
「平和」
ミナ。
「言わない」
「今言った!」
「ただの感想です!」
「同じだろ」
◇◇◇
その時。
前方。
「馬車?」
カイト。
指。
街道。
脇。
一台。
止まっている。
大型。
荷馬車。
黒い。
幌。
「故障?」
ハンス。
速度。
落とす。
「声掛けるか」
「待って」
俺。
荷馬車。
見る。
何か。
違和感。
「何?」
ミナ。
「御者がいない」
「休憩中?」
「馬もいない」
荷馬車だけ。
街道脇。
置かれている。
「放棄された?」
レント。
俺。
地面。
見る。
泥。
轍。
足跡。
「降りても?」
ハンス。
「ああ」
「ただし」
「気を付けろよ」
◇◇◇
四人。
馬車。
降りる。
《不審な荷馬車》
近づく。
「匂い」
カイト。
「何?」
「分からない」
金属。
革。
それと。
「……薬?」
ミナ。
「薬草系の匂い?」
荷台。
幌。
閉じている。
「勝手に開ける?」
レント。
「所有者不明」
「でも」
俺。
地面。
見る。
《観察Lv.1》
《複数の人型種の足跡》
《一部:小型》
「小型」
「子供?」
空気。
変わる。
「人攫い?」
ミナ。
「まだ決めつけない」
でも。
俺。
荷台。
側面。
小さな。
金属。
見る。
「これ」
黒い。
鎖。
模様。
簡素。
でも。
エルナ村で。
捕らえた。
黒腕布。
男。
持っていた。
装備。
同じ意匠。
「黒鎖商会?」
カイト。
声。
低い。
◇◇◇
《特殊情報を発見しました》
《黒鎖商会に関連する可能性のある荷馬車》
「出た」
「どうする?」
レント。
「まず」
周囲。
「人がいないか確認」
「罠」
「あるかも」
前。
荷台。
扉。
鍵。
かかっている。
「音」
俺。
耳。
近づける。
「……」
何も。
いや。
「中」
小さい。
音。
コツ。
「誰かいる」
◇◇◇
「中に誰かいますか?」
返事。
ない。
「聞こえたら」
「一回叩いて」
数秒。
コツ。
「……」
三人。
顔。
変わる。
「人いる」
ミナ。
「開ける」
「鍵」
レント。
「壊す?」
「待て」
俺。
周囲。
見る。
所有者。
いない。
でも。
「離れて」
荷台。
扉。
開けた瞬間。
罠。
可能性。
「また長い棒?」
カイト。
「ない」
「残念そうに言うな」
◇◇◇
鍵。
普通。
鉄。
「切れる?」
試作三号。
「やらない」
「バルガに殺される」
ミナ。
「そこなんですね」
「鍵開け技能」
全員。
なし。
「なら」
カイト。
盾。
「蝶番?」
「そっち」
扉。
木製。
金具。
「壊すなら扉」
刀。
使わない。
カイト。
盾。
「《シールドバッシュ》?」
「やって」
「任せろ!」
ドンッ!
扉。
ミシ。
「もう一回!」
ドンッ!
バキッ!
《荷馬車の扉を破壊しました》
「盾便利」
「こういう用途じゃない!」
◇◇◇
扉。
開く。
「……」
中。
暗い。
そして。
「檻」
ミナ。
声。
固い。
小型。
鉄格子。
三つ。
一つ。
空。
二つ。
中。
人。
「子供……?」
エルフ。
一人。
獣耳。
もう一人。
《???》
どちらも。
十歳前後。
眠っている。
「生きてる?」
ミナ。
入る。
「待って」
俺。
床。
小瓶。
割れてる。
「薬」
《睡眠薬の残留物》
「眠らされてる」
最悪。
◇◇◇
《突発クエスト》
《捨てられた荷馬車》
《荷馬車内に囚われた子供たちを救出してください》
《周囲の安全を確保してください》
「周囲」
レント。
すぐ。
弓。
持つ。
「誰かいる」
「いる可能性高い」
なぜ。
荷馬車。
放置。
した?
故障?
逃走?
それとも。
「囮」
俺。
「可能性ある」
◇◇◇
「ハンス!」
俺。
御者。
呼ぶ。
「馬車を少し離して!」
「何かあったか!?」
「子供が二人!」
「何だと!?」
「乗客も馬車から出さないで!」
「分かった!」
ハンス。
すぐ。
動く。
◇◇◇
「ミナ」
「子供」
「任せてください」
「カイト」
「荷台入口」
「おう」
「レント」
「森側」
「ああ」
「俺」
街道側。
周囲。
見る。
「……」
静か。
でも。
不自然。
鳥。
鳴く。
虫。
いる。
ただ。
人。
気配。
「足跡」
荷馬車。
後ろ。
森。
向かっている。
「何人?」
レント。
「四人くらい」
「戻ってくる?」
「分からない」
◇◇◇
その時。
ヒュン!
「伏せろ!」
矢。
街道。
飛ぶ。
カンッ!
荷馬車。
刺さる。
「やっぱりいた!」
レント。
弓。
構える。
「左奥!」
《黒鎖商会・斥候 Lv.8》
「黒鎖!」
カイト。
「確定!」
さらに。
右。
二人。
《黒鎖商会・護衛 Lv.7》
《黒鎖商会・護衛 Lv.8》
「三人」
後ろ。
もう一人。
《黒鎖商会・運搬員 Lv.6》
「四」
◇◇◇
「荷馬車」
斥候。
叫ぶ。
「捨てたはずだ!」
「なんで異邦人が!」
捨てた?
「つまり」
レント。
「何かから逃げた?」
理由。
後。
「子供を連れ戻す気?」
男。
剣。
抜く。
「見られたからには」
「全員消す!」
「分かりやすい」
俺。
試作三号。
抜く。
◇◇◇
「ミナ!」
「子供を!」
「はい!」
「カイト!」
「前!」
「任せろ!」
「レント!」
「弓兵!」
「もう狙ってる!」
俺。
護衛二人。
見る。
「行く」
◇◇◇
一人。
剣。
真正面。
「死ね!」
振り下ろし。
「遅い」
でも。
普通の盗賊。
より。
動き。
いい。
横。
避ける。
二人目。
槍。
突き。
「連携」
俺。
刀。
側面。
カンッ!
《受け流しLv.1》
槍。
逸らす。
「なっ!?」
「そのまま」
懐。
入る。
柄頭。
腹。
ゴッ!
《Stun!》
「カイト!」
「《シールドバッシュ》!」
剣士。
ドンッ!
二人。
分断。
◇◇◇
レント。
斥候。
射撃。
「《パワーショット》!」
ヒュン!
斥候。
木。
影。
避ける。
「上手い!」
「撃ち慣れてる!」
矢。
返る。
レント。
横。
「うおっ!」
肩。
掠る。
《レントHP:88%》
「大丈夫!」
「ミナは?」
「子供優先!」
「了解!」
◇◇◇
俺。
Stun。
槍。
相手。
「先に」
刀。
峰。
手首。
ゴッ!
《Disarm!》
槍。
落ちる。
「くそ!」
「寝てて」
足。
払う。
崩す。
地面。
《Throw!》
「一人!」
「捕縛?」
カイト。
「後!」
◇◇◇
剣士。
盾。
押している。
「カイト!」
「こいつ強い!」
俺。
横。
入る。
剣士。
気づく。
剣。
返す。
「読んでる」
こいつ。
Lv8。
でも。
経験。
ある。
「ジョウゴ!」
「問題ない!」
剣。
横薙ぎ。
俺。
下がる。
次。
突き。
刀。
触れる。
《Parry!》
受け流す。
身体。
外側。
「そこ」
肘。
押す。
《崩し》
「ぐっ!」
「カイト!」
「《シールドバッシュ》!」
ドンッ!
剣士。
転ぶ。
「連携」
良くなってる。
◇◇◇
一方。
運搬員。
戦闘。
弱い。
でも。
荷馬車。
向かう。
「ミナ!」
「来ます!」
ミナ。
杖。
「《ウインドシールド》!」
風。
壁。
「ぐっ!」
運搬員。
止まる。
「近づかないで!」
「魔術師一人だろ!」
「ルク君より弱いと思わないでください!」
「比較そこ!?」
◇◇◇
俺。
走る。
「ミナ!」
「右!」
運搬員。
短剣。
「子供連れて逃げる!」
「させるか!」
刀。
抜身。
でも。
斬らない。
柄。
顎。
ゴッ!
《Stun!》
倒れる。
「三人目」
◇◇◇
「レント!」
斥候。
まだ。
撃ち合い。
「こいつ逃げる!」
斥候。
森。
「逃がす?」
情報。
欲しい。
「追う!」
俺。
「カイト!」
「三人見張る!」
「ミナ!」
「子供!」
「はい!」
◇◇◇
森。
斥候。
速い。
「また追いかけっこ」
前にも。
あった。
エルナ村。
「森歩き」
《森歩きLv.1》
「正式になってる?」
いつの間に。
《森林内移動補正:微》
「助かる」
◇◇◇
斥候。
振り返る。
矢。
「来る」
指。
肩。
弦。
見える。
放つ。
俺。
横。
矢。
通過。
「化け物か!」
「失礼」
距離。
詰める。
でも。
男。
今度。
矢。
二本。
「二連?」
一。
避ける。
二。
低い。
「っ」
刀。
斜め。
カンッ!
《受け流し成功》
矢。
逸れる。
「試作三号」
便利。
◇◇◇
斥候。
弓。
捨てる。
短剣。
抜く。
「来るな!」
「話聞きたいだけ」
「誰が信じる!」
「まあ」
俺。
構える。
「先に攻撃してきたのそっちだしな」
斥候。
突進。
短剣。
速い。
「でも」
肩。
分かりやすい。
右。
避ける。
手首。
掴む。
肘。
方向。
「よっ」
ドサッ!
《Throw!》
「ぐはっ!」
ロープ。
《黒鎖商会・斥候を捕縛しました》
「終わり」
◇◇◇
戻る。
ミナ。
子供。
治療。
「どう?」
「二人とも」
「睡眠状態」
「外傷は少ないです」
「起こせる?」
「時間で」
「無理に解除しない方がいい」
「分かった」
種族。
一人。
《エルフ族・少女》
もう一人。
《獣人族・少年》
「身元」
不明。
◇◇◇
捕虜。
四人。
並ぶ。
「質問」
俺。
「この子たち」
「どこから?」
沈黙。
「じゃあ」
「荷馬車捨てた理由」
運搬員。
目。
逸らす。
「何かから逃げた?」
「……」
「モンスター?」
一人。
顔。
動く。
「当たり」
カイト。
「何が出た?」
護衛。
「言うか」
「じゃあ」
俺。
「ハンスさん」
「近くに街道管理所」
「ある?」
「ああ」
「少し先」
「役人に引き渡そう」
その言葉。
「待て!」
運搬員。
反応。
「ん?」
「管理所は駄目だ!」
「なんで?」
「……」
「黒鎖商会」
「役人に知られると困る?」
沈黙。
答え。
◇◇◇
《特殊情報を獲得しました》
《黒鎖商会は東街道を利用して違法な輸送を行っている可能性があります》
「証拠」
ミナ。
「子供」
「荷馬車」
「捕虜」
「全部」
「大きいな」
◇◇◇
その時。
捕まえた。
斥候。
俺。
見る。
「お前」
「ジョウゴだろ」
空気。
止まる。
「知ってる?」
「ああ」
斥候。
笑う。
「やっぱり来たな」
「誰から聞いた?」
「……」
「レイゼン?」
笑み。
消えない。
「お前」
「歓迎されるぞ」
「誰に?」
「行けば分かる」
カイト。
「罠」
「だろうな」
でも。
これで。
確定。
「向こう」
「俺を知ってる」
◇◇◇
《重要情報》
《黒鎖商会はプレイヤー・ジョウゴを認識しています》
「……」
ミナ。
「これ」
「かなり危なくないですか?」
「ああ」
「レイゼン」
レント。
「待ち伏せ」
「あり得る」
「でも」
目的。
そこ。
「行かない選択?」
ない。
アルト。
情報。
黒鎖商会。
拠点。
「ただし」
俺。
「正面から」
「敵のところへ行かない」
「まず」
オルド商会。
「情報」
◇◇◇
街道管理所。
到着。
役人。
衛兵。
荷馬車。
確認。
「これは……」
東街道管理官。
顔。
険しい。
「四人」
「拘束」
「子供二人」
「保護」
「レイゼン冒険者ギルドにも報告する」
「お願いします」
《突発クエスト》
《捨てられた荷馬車》
《子供2名救出》
《黒鎖商会関係者4名捕縛》
《評価:S》
《報酬:800G》
《東街道管理局評価上昇》
「またS」
カイト。
「今回はほぼジョウゴ」
「みんなでやった」
◇◇◇
そして。
管理官。
「ジョウゴ殿」
「はい」
「一つ」
「警告します」
「?」
「レイゼンでは」
「黒鎖商会の名を」
「軽々しく口にしない方がいい」
「なぜ?」
「誰が」
「関係者か」
一拍。
「分からないからです」
「……」
街。
中。
まで。
浸透。
してる?
「冒険者ギルドも?」
「信用できる者はいる」
「全員では?」
管理官。
答えない。
それだけで。
十分。
◇◇◇
馬車。
再出発。
空気。
さっきより。
重い。
「レイゼン」
ミナ。
「思ったより危険そう」
「ああ」
「シズナみたいに」
「ギルドへ全部報告」
「は難しいかもな」
レント。
「オルドさん」
「まず信用できるか」
「昨日助けた商人」
紹介札。
俺。
見る。
「最初」
そこから。
◇◇◇
夕方。
《第二宿場・ベルク》
到着。
ノイスより。
大きい。
商人。
多い。
「ここから」
レイゼンまで。
あと一日。
「明日」
着く。
◇◇◇
宿。
食堂。
「今日は」
カイト。
「普通の移動」
「じゃなかった」
「もう諦めろ」
レント。
「ジョウゴと旅して普通を期待するな」
「俺何もしてない」
「荷馬車見つけたのジョウゴ」
ミナ。
「音聞いたのジョウゴさん」
「捕縛したのも」
「いや全員」
◇◇◇
その時。
メニュー。
通知。
《CROSS社から緊急連絡》
「何?」
《複数のプレイヤー投稿により、本日の東街道での戦闘情報が拡散しています》
「また?」
カイト。
「配信してない日!」
続き。
《黒鎖商会関連情報については配信上の公開範囲にご注意ください》
「分かってる」
さらに。
《安全上の理由から、現実側個人情報保護設定を強化しました》
「現実側?」
ミナ。
「ゲームの組織なのに?」
「配信」
「視聴者」
「変な特定」
「防ぐためじゃない?」
「なるほど」
CROSS。
仕事。
ちゃんとしている。
◇◇◇
夜。
宿。
俺。
一人。
地図。
見る。
《第二宿場・ベルク》
東。
《交易都市レイゼン》
あと。
一日。
そして。
《オルド商会》
《中央市場》
《クロウ運送商会》
《倉庫街》
敵。
俺。
知ってる。
「だったら」
こっちも。
慎重。
行く。
剣。
強い。
だけ。
では。
解決しない。
相手。
商会。
街。
人。
情報。
「銀行員」
こういう時。
少し。
役立つ?
相手。
組織。
資金。
物流。
表。
裏。
「……ゲームで帳簿調べることになるとか」
ない。
とは。
言い切れない。
◇◇◇
同じ頃。
レイゼン。
《クロウ運送商会》
地下。
「東街道の輸送班」
「捕まりました」
「何人?」
「四」
「商品は?」
「二名とも保護」
「……」
男。
机。
指。
叩く。
「ジョウゴか?」
「はい」
「またか」
「排除しますか?」
「まだ」
男。
笑う。
「奴は」
「剣士だ」
「剣士なら」
「斬れる相手には強い」
「なら」
一枚。
紙。
出す。
契約書。
帳簿。
商会印。
「斬れないものを」
「相手にすればいい」
「どういう?」
「街では」
「剣を抜けば」
「犯罪者になる」
「……」
「レイゼンへ来たら」
一拍。
「正しい商人として」
「歓迎してやれ」
◇◇◇
俺たちは。
まだ。
知らない。
レイゼンで待っている戦いが。
オークや。
ゴブリンのように。
刀を抜けば始まるものではないことを。
次の街では。
情報。
信用。
証拠。
そして。
相手の嘘を見抜くこと。
それら全てが。
武器になる。
俺――ジョウゴのAWO生活は。
初めて。
「剣を抜かずに戦わなければならない場所」
へ。
あと一日で。
辿り着こうとしていた。




