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手をつなぐ理由  作者: リンダ


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『手をつなぐ理由』を書き終えて

あとがき

『手をつなぐ理由』を書き終えて


 ここまで『手をつなぐ理由』を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。


 この物語は、最初から「いじめ」を描こうとして始まった作品でした。


 でも、書き進めていくうちに、ただ“苦しみ”だけを書く物語にはしたくないと思うようになりました。


 人は、傷つきます。

 言葉で。

 空気で。

 沈黙で。


 そして時には、“悪気がなかった”という曖昧なものに、深く傷つけられることもあります。


 この作品では、誰か一人だけを“絶対悪”として描くことは、できるだけ避けました。


 なぜなら、現実の教室はもっと曖昧だからです。


 笑った人。

 見て見ぬふりをした人。

 止められなかった人。

 あとで後悔した人。


 その全部が、教室の空気を作っている。


 そして、その空気の中で、人は傷つき、人は変わっていく。


 だからこの物語は、途中から“いじめの物語”であると同時に、“再生の物語”になっていきました。


 相原。

 黒川。

 宮原。

 結菜。

 柴田。


 彼らは、決して完璧な人間ではありません。


 でも、人は間違えたあと、どう生きるかを選ぶことができる。


 その可能性を書きたかったのだと思います。


 そしてもう一つ。


 この作品を書く上で、どうしても大事にしたかったものがあります。


 それは、“笑い”です。


 重いテーマだからこそ、笑える時間を失いたくなかった。


 水たまりに突っ込む家族。

 野球道具の昼ドラ。

 なぎさの暴走。

 陽毬の天然の一言。


 そういう、どうしようもなくくだらない時間。


 でも、人って、本当に苦しい時ほど、ああいう笑いに救われることがあります。


 笑うというのは、ただ楽しいだけではなく、


 「まだ大丈夫」

 「ここにいていい」


 と確認し合うことでもあるのだと思います。


 タイトルの『手をつなぐ理由』には、いくつもの意味を込めました。


 恋人として手をつなぐ。

 親子として手をつなぐ。

 友達として手をつなぐ。


 でも一番大きいのは、


 “ひとりにしないため”


 です。


 陽毬が言った、


 「なにもいわなくても、となりにすわればいいよ」


 という言葉は、この物語全体の答えだったのかもしれません。


 気の利いたことが言えなくてもいい。

 完璧に助けられなくてもいい。


 でも、隣にいることはできる。


 この作品が、誰かにとって、


 「隣に座る勇気」


 になれたなら、こんなに嬉しいことはありません。


 最後に。


 この物語を書きながら、私は何度も思いました。


 教室は、小さな社会です。


 でも、だからこそ、そこで学ぶことは、大人になってからも続いていく。


 誰かを笑うのか。

 誰かの隣に座るのか。

 空気に流されるのか。

 それとも、少しだけ勇気を出すのか。


 その積み重ねが、人を作っていく。


 そして、その先にまた、陽毬や道也のような次の世代がいる。


 だから物語は終わっても、光は続いていくのだと思います。


 ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。


 またどこか別の教室で、別の物語で、お会いできたら嬉しいです。


『手をつなぐ理由』


監督:赤嶺章アキラ

原作:三浦隆・三浦ひなた

特別協力:天庄屋(秋元逸美・佐々木ひより)


そして――


すべての“隣に座ろうとした人たち”へ。

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