【追憶の章】師の名を、胸に刻んで
【追憶の章】師の名を、胸に刻んで
■ レオンの想い
先生が、命を賭して自分たちを守ってくれた時のことは、今でも目を閉じればはっきりと思い出せる。
血に塗れたその背中。
自分たちの前に立ち塞がるようにして、剣を構えたあの姿。
「お前たちは、生きろ。……未来を託す」
最期の言葉は、今も耳から離れない。
レオンは、何度も自分に問いかける。
なぜ、自分ではなく先生が死なねばならなかったのか。
なぜ、あの時……力が足りなかったのか。
怒りと悔しさで、夜も眠れぬ日が続いた。
だが、先生が命を懸けて守ってくれたものを、無駄にはしないと誓った。
彼の遺志は、この胸に生きている。
「先生。俺、強くなります。あなたが信じてくれた未来を……俺たちの手で」
炎に照らされたレオンの瞳は、悲しみの奥に、決意の光を宿していた。
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■ ジークの想い
ジークは、あの瞬間を直視できなかった。
先生が倒れた時、自分は立ちすくんでいた。
何もできなかった自分を、今も責め続けている。
「俺、もっと強ければ……」
何度そう呟いたか、わからない。
先生は、生徒たちにとって“師”でありながら、“父”のようでもあった。
笑えばどこか少年のようで、時に厳しく、だが誰よりも優しかった。
訓練で遅れを取った時も、陰でこっそり補習をつけてくれた。
ジークが無鉄砲に突っ走った時も、叱りながら寄り添ってくれた。
「お前が前に進むなら、俺は何度でも背中を押してやる」
その言葉が、今になって心を刺す。
「すまねぇ、先生……けどな、もう泣かねぇよ。俺が……今度はみんなを守るから」
焔を見つめながら、ジークはそっと拳を握り締めた。
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■ エリナの想い
エリナは、先生の死を誰よりも信じたくなかった。
温かな声。
知識と経験に裏打ちされた落ち着き。
自分たちを見守る目は、まるで大きな木のようだった。
先生は、エリナの異質な力を受け入れてくれた最初の大人だった。
「怖がらなくていい。君の力は、美しいものだよ」
誰にも言えなかった恐れを、涙を、言葉にせずとも理解してくれた。
だからこそ――彼の喪失は、エリナの心にぽっかりと穴をあけた。
「先生……私はまだ、あなたに恩返しすらできていないのに」
夜な夜な、枕を濡らす日が続いた。
けれど今は、悲しみを強さに変えようと決めた。
「ジークやレオンとなら、私は進める。先生が信じてくれたこの世界を……私たちの手で救うの」
エリナの声は静かだったが、火のように揺るぎなかった。
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こうして3人は、それぞれの胸に“師の死”という痛みを抱えながら、前を向く。
亡き者のために戦うのではなく、亡き者の意思と共に――生き抜くために




