539
「…まあとりあえず、ココにいつまた戻って来れるか分からないから今の内にワインの在庫を全部出そうと思ってるんだけど…」
「なんと!ソレはありがたい!」
「買える分全部買わせてくれ!」
「…ノンアルと、霊水のが欲しい」
「私の分もよろしくお願いします」
みんなの笑いが治まる頃合いを見て次の話を切り出すとドロウィンの王子以外のみんなが食いつく。
「おや?ギルバート殿はよろしいのですか?」
いつもならみんなと同じように食いつくはずの王子が一人、話の輪に入ってない事に気付いたトルツの王子が不思議そうに確認すると…
「私にはまだ在庫がありますので」
と、王妃から話を聞いてるのかドロウィンの王子は大人の余裕を見せながら断るように返した。
「そう?じゃあ一人分多めに分配できるね」
「本当か!はっはっは!ギルバート殿、感謝いたすぞ!」
俺が一人分の在庫が出来た事を告げるとモニクァの王子が何故か勝ち誇ったかのような顔で笑う。
ーーーーーー
…それから数十分後、王子達が選んだワインをそれぞれ複数個のクーラーボックスに分けて置き…
「今は手持ちがないだろうし、金は後からでもいいよ」
「助かります。今日中には揃えて支払いますので…」
「…ありがたい…後から必ず、持って行かせる」
俺が後払いを容認するよう告げると王女とワウシャープの王子は感謝しながら返す。
「とりあえずこのクーラーボックスに名前書いて貼っとくから帰る時に忘れないようにね」
「うむ!助かる。忘れるわけがないとは思うが気をつけよう…もしもの時のために兵に伝言せねば」
「あっ!そうですね」
「…念のため…」
兵に国名の書かれた付箋をクーラーボックスに貼らせて注意するとモニクァの王子が予防策として外の部下に伝えに行き…
王女とワウシャープの王子もついて行くように外に出る。
「伝言頼むぐらいならそのまま持って行かせばいいのに」
「いや、こんな大切な物を自分の目の届かない場所で人に運ばせるなど無理だ。部下を信頼するしない以前の問題で、運搬中に何が起こるか分からないからな」
「…ですね。やはり自分の手で運ばないと不安と心配で落ち着けないですし…」
俺の呆れながらの発言にドロウィンの王子が反論するように理由を説明するとトルツの王子は頷きながら同意した。
「そんなもんかね?」
「ははは、ウミハラ殿が理解するにはまだ早いかもしれないな」
「その前に私達にとってはかけがえのない物でも、ウミハラ殿にとってはただの量産品に過ぎませんから…同じ品物でも感じる価値が天と地ほども離れていますよ」
俺が呆れたまま返すとドロウィンの王子は大人の余裕的な感じで笑いながら言うが、トルツの王子がよく分からん感じで否定する。
「私達のダイヤもウミハラ殿にとってはただの小石というわけか…」
「まあ宝石って、言っちゃなんだけど普通にただの石だしな」
「ははは!違いない!」
「うん?なにやら楽しそうな話をしているようだな」
「…宝石…?」
希少性の例え話をするドロウィンの王子に俺がツッコむように指摘するとトルツの王子が笑い、モニクァとワウシャープの王子や教国の王女が戻って来た。




