竜の神様、ツーストライクをかましてくる。
シャボン玉の初戦の時のように、私が1位、蛇神様2位、オミさんはコースから落ちに落ちてゴールする前に車の試合は終わった。
ごめん、大爆笑した。
ポカーンと順位が出る画面を見てるオミさんを見て、蛇神様とゲラゲラ笑ってしまった。オミさんはギリギリと歯噛みしながら私を見て、
「「い、今のは俺が知らなかったから!!!」」
「う、うん、そうですね。だから、やり方を覚えてから勝負しま‥ふふっ、ああもうダメ!可笑しい〜〜!!!」
「てめっ!!笑うな!!」
「だって、あ、あんなに落ち‥!なかなかできなくて‥」
あ〜〜ダメだ。
笑いすぎて涙が出る。
私の涙を見て、オミさんは慌ててたけど、ごめん‥これは面白すぎて出た涙だから大丈夫。とはいえ、ちょっと悶々としてたから、思い切り笑えて少しスッキリした気分だ。
蛇神様もひとしきり笑うと、
「あ〜面白かった!シキ〜〜、わしかき氷食べたい!」
「はい、承知致しました」
「あ、蛇神様、私が用意しますよ」
私が慌てて立ち上がると、蛇神様は私を見てニヤッと笑うと、
「かき氷はシキにやって貰うから大丈夫じゃ。それより、ルディオミに車の走らせ方を教えておいてくれ。まるで勝負にならん」
「確かに‥」
「「おい!!!」」
オミさんからすかさずツッコミが入ったけど、本当に勝負にならないからね。ふふーんと鼻歌を歌いながら、蛇神様はキッチンへシキさんと行ってしまった。
‥ブスッと拗ねたオミさんを置いて。
蛇神様、オミさんの機嫌を取るのが面倒だったんじゃあ‥。
「ほら、オミさん一緒にやってみましょうか」
「‥おう」
「このコントローラーを前に傾けるとスピードが増すんです」
「おう」
「で、右に倒せば右に、左に倒せば左に行きます」
「‥おう」
「このボタンがブレーキで、こっちはジャンプで、こっちはアイテムを投げて‥」
「「わからん」」
諦めるのが早い!!!
「‥初めてやるから仕方ないですけど、ちょっとずつやってみましょう?」
私がそういうと、オミさんは私をじっと見る。
「‥‥機械に強いシキとやれよ」
は?
ぶすっと横を向いたオミさんの顔を見て、私は目を丸くした。
えーと、上手くできなくて‥、もしかしてさっきシキさんの機械に詳しくて頼りになる〜!みたいなのを、複雑な感情で見てたのか?
そう思ったら、私の胸がいきなり「ツーストライク!!」って叫んだ。
ちょ、ちょっと待て、私は薄目で恋心を見ていこうと思ったのに、いきなりドストライク来るんじゃない!!
私は思わず顔だけ床に突っ伏したので、オミさんが慌てて私の名前を呼ぶけど‥、本当、いきなり投下してくるんじゃない!!ゆっくり顔を起こしてオミさんを見上げた。
「‥あのですねオミさん。ゆっくりでいいから、初級から一緒にやりましょう」
「お、おう」
「シャボン玉と同様、練習を重ねれば上手くできます」
「‥・おう」
「あとオミさんとゲームしたいです」
「‥そ、うか」
「はい。あと他にもソフトがあるんで、やり易そうなのを一緒にしましょう」
「おう!!」
うん、いい返事になった。
車のはちょっと難しいから、体を動かせばできるだけのゲームがいいかな?痩せる系のゲームではきっと私は負けそうだけど、ちょっとお腹の肉が気になっていた身としては、ぜひ夏休み中やっておきたい。
そうして、車のゲームをしてある程度走れるようになったらソフトを替えて、体を動かす系のゲームにしたら、オミさんの圧勝であった。
「「勝ったぞ!!青葉に勝った!」」
「良かったですね〜。車ではボコボコでしたけど」
「それは、あとでまた勝つ!!」
「はいはい、あ、これもやってみます?」
「今度も勝つ!!」
ようやく機嫌の治った頃に、蛇神様が「お、勝ったのか〜」とかき氷を食べつつリビングにやって来た。本日は抹茶のかき氷にアイスクリームと小豆を乗せている。最高のコラボだな〜と見ていると、シキさんが私とオミさんの分も作って持って来てくれた!
「シキさん、ありがとうございます!」
「いえいえ、私も作ってきたので‥」
シキさんのを見ると、果物がふんだんに乗っている。
あ、それも美味しそう‥。
「一口召し上がります?」
「え、いやいや‥」
流石に悪いので‥、そう言おうとしたら私の口にいきなりオミさんがマンゴーを突っ込んできた。
「「ちょっ、何を‥!!??」」
「口開いてたから」
「いやぁ??!私は今、話そうと‥、あ、ちょっ、もういいから!!オミさん自分の食べて下さい!!!」
ニヤニヤ笑って、再び人の口に果物を突っ込もうとするオミさんを、蛇神様が阻んでくれてようやく落ち着いてかき氷を食べられた‥。ゆっくり食べさせてくれ‥。




