竜の神様、遊園地を楽しむ。
本日は遊園地である!
ヒーローの僕と握手しよう!みたいな場所なのは知ってたけど、入るのは初めてなのでワクワクである。
オミさんと一緒に電車に乗って行くけど、ワクワクしているのは私だけかと思いきやオミさんもなんかニマニマしている。うん良かった、私だけじゃない。
遊園地の前に行くと、黒髪を編み込んでどこか儚げな中学生くらいのTシャツとショートパンツ姿の美少女が、私達を見るとこちらに手を振っている。
「青葉!ルディオミ!こっちじゃ!」
そ、その声‥、
「「へ、蛇神様??!!」」
「うむ、いかにもわしじゃ。どうじゃ?可愛いじゃろ?」
クルッと回って私に可愛らしい姿を見せてくれるけど‥、普通に可愛い!どう見ても人間ですね!
「蛇神様、すごく可愛いです!!」
「うむうむ、青葉は素直で可愛いのう。ほれ、竜の子も何か言え」
私に可愛いと言われて、得意げな顔でオミさんを見る蛇神様。
とてもドヤ顔である。
「足、出し過ぎだろ」
「‥ほんにお前は女心をわからん残念な奴だな」
「「あぁん!!!!??」」
「オミさん落ち着いて、周りから見たら中学生をカツアゲしてるようにしか見えません‥」
そして蛇神様も落ちついて欲しい。
と、蛇神様の持っていたポーチのアクセサリーかと思っていた蛇が頭を小さく上げる。びっくりして目を丸くすると、
「あ、どうも青葉様、シキでございます。本日は我が主がお世話になります」
「し、シキさん??!!」
「蛇神様単体で外へ送り出すと何をされるか分かりませんのでお目付役として一緒に参りまして‥」
なるほど‥。シキさんも大変そうだ。
私はアクセサリーのように小さくなっているシキさんに微笑むと、ちょっと目を細めて笑ってくれた。お互い、頑張ろうね‥。結局オミさんと蛇神様は、ぎゃいぎゃいと言い合いしつつ、遊園地に入っていくけど‥、これ遊べるのかな〜??と思いつつ、私も中へ入っていった。
「青葉!あのでっかい船みたいの乗ろうぜ!!」
「青葉!!あのクルクル回る馬はなんじゃ?!」
‥心配はいらなかったようだ。
二人して入った途端に目がキラキラして、あっち乗ろう、こっち乗ろうと私は引っ張られていく。分かった、わかったから落ち着いてくれ。
それでも二人が嬉しそうな顔をして、乗り物に乗ったり動かしているのを見る姿に、こちらまで嬉しくなる。怖いのに狙われるようになってから、友達と付き合う機会がめっきり減ってしまったので、こうして一緒に遊べるのはやっぱり楽しい。
蛇神様が私の腕を掴んで、グイグイと引っ張る。
「青葉!あの水のやつをやろう!」
「水??」
蛇神様の指さす方を見ると、ジェットコースターで水の中に突っ込んで水しぶきを浴びるアトラクションだ。あ、あれか〜〜!!
「相当濡れますけど、大丈夫ですか?」
「力で乾かすから大丈夫じゃ!」
「それもそうか、じゃあ行きましょうか」
「やった〜!!竜の子、行くぞ!!」
ワクワクした顔の蛇神様に、オミさんは「へいへい」とポケットに手を突っ込んでアトラクションへ向かうけど、なんか同じようにワクワクしている‥。大変わかりやすい。
アトラクションのお姉さんに「相当濡れます!!」って散々言われたけど、蛇神様は「最前列に座る!!」と言って意気込んでいるので、誰も止められない。私とオミさんも一緒に最前列だ。嗚呼、相当濡れるんだろうなぁ。さっき出てきた人、ビッショビショだったもんな。
「なんだ青葉こえーのかよ」
「いや、どっちかと言うと、びしょ濡れになるのがちょっと‥」
「大丈夫だ、すぐ乾かせる」
「え?ちょっと待ってオミさんも乾かせるの?」
「?できるが?」
「「じゃあ、髪ももしかしてドライヤー使わなくても良いのでは?!!」
私がそう言うと、オミさんは一瞬動きを止めて、目を横に逸らす。
な、な、なんだって〜〜〜!!!??
髪を乾かせるなら最初から言ってくれれば‥、
「オミさ‥」
言いかけて、ジェットコースターが急発進して、文句の前に叫び声が先に出た。お、終わったら問い詰めてやる〜〜!!!!




