竜の神様、衣替え。
ちょっと部屋が広がり、ベッドも大きくなった。
それでもまだオミさんの体の大きさを考えると、ようやく動きやすくなったくらいだけど。
ベッドに一緒に寝るのは、もちろん拒否した。
逆に広くなったんだから、寝袋でもスヤスヤ眠れるし。
オミさんはベッドに横になって頬杖をつきつつ、拒否する私に、ベッドの表面をポンポンと叩き、
「お前、本当損してるぞ?神の国から持ってきたベッドだぞ?寝心地最高だぞ?」
「‥大きな神様が付属していなければ最高なんですが」
「お前、俺が1番の特典だぞ?」
「「その自信は一体どこから!!??」」
龍の神様‥、オミさんのお父さん、ちょっと一回問い詰めたい。
なんでオミさんにしたんだ。
パティアさんにせめて相談して欲しかったんだけど???そう思いつつ、寝袋で寝ていた私はまたいつの間にかオミさんの腕の中にいた‥。あと寝心地は確かに最高だった。
とはいえね?
もう日常化してるけど、これは日常化していいわけじゃないんだ!!
「まったくもう!!花の乙女を勝手にベッドに引き摺り込むとか、どんな神様ですか!!」
「うるせぇな、ヨダレ垂らして寝てたくせに」
「「え、嘘!!!」」
慌てて手で顔を拭くと、ベッドに横になりつつニヤッと笑うオミさん。
「嘘でしょ‥」
「鏡で顔を見てくればいいじゃねぇか」
「〜〜〜〜もう!!オミさんのバカ!!」
いつの間にかおニュー枕まであって、私はそれを掴んでオミさんの頭に叩き落とした。セキさん、いい人‥ならぬ蛇さんだと思ったのに、男女で一緒のベッドに寝るっていう状況どうかと思うよ!!?
ちなみに、鏡を見たらヨダレの形跡はなかったのでオミさんのお弁当は野菜まみれにしてやると誓った。
オミさんに野菜てんこ盛りのお弁当を作って、急いで学校に行く支度をする。
「今日は暑そうだなぁ‥」
久々の晴れだけど、梅雨の時期といえど晴れるとあっつい!!
今日はスカートにするか。
クローゼットからスカートを取ろうとして、、不意に手が止まる。オミさん‥スカートにすると、ちょっと嬉しそうにするからなんか気恥ずかしくてあえて避けてたんだけど‥。
ま、まぁ?今日は暑いし??
別に深い意味はないし??
色々自分に言い訳して、スカートを取って洗面所で着替える。
よーし、平常心、平常心。
いつも通りの顔をして、洗面所からパジャマを持って出てくる。
「オミさん、学校行きましょう〜」
「おぅ」
オミさんも力を使って服に着替えていたけど、同じように暑いと思ったのか黒い半袖にジーンズ姿だ。おお、半袖だ。ムキムキの腕が迫力あるな‥。
そんなことを思いつつ、オミさんの腕から顔に視線を移すと、
思い切り、横を向いている。
「‥オミさん?」
「なんでもねぇ」
「はぁ‥、えーと、なんで横を向いてるんですか?」
「弁当に野菜いっぱい入ってるから」
「意味が分かりません」
神様の考えてる事って、本当に分からない。
まぁいっか。
なんか思ったような反応じゃないけど、かえって安心した私はそのままクローゼットにパジャマを置いてお弁当をバッグに詰めるべくキッチンへと歩いていく。
今日は暑いし、買っておいたサンダルを履いちゃおうかな。
棚の上の方に置いてあるのでオミさんに取って貰おうと思って、後ろから静かに付いてきたオミさんを見上げると、オミさんはちょっと驚いた顔をする。
「オミさん?」
「‥な、んでもねぇ」
「はぁ?そうですか。あの、すみませんけどあそこの棚の上の白い箱取ってもらっていいですか?」
私が後ろの棚を指差すと、オミさんはひょいと箱を取って私に渡してくれた。
お礼を言って、おニューのサンダルの箱の蓋を開ける。
「サンダル?」
「あ、はい。せっかくだし、新しいの履こうかなって」
「裸足に?」
「裸足にですよ?」
オミさんは、私の手から箱を取ると、スッと上の棚に戻した。
「「ちょ、ちょっとなんで元に戻すんですか!!」」
「うるせぇ、そ、そんな格好で、サンダルとか!!!ヤベェだろ!!?」
「「何が!!??」」
私が抗議の声を上げたけど、オミさんは白い箱を絶対取らせないとばかりに押さえているので、仕方なくスニーカーを履いたけど‥本当に神様ってのは何を考えているのか、よく分からない‥。




