竜の神様、神様の衣替えも手伝う。
サンダルは許さんと言われたけど、どうしてダメなのかよく分からない。
裸足なんて風呂上がりに毎回見ているじゃないか‥。
そう思うんだけど、これ以上オミさんと言い争っても、時間の無駄である。登校時間は貴重なんだ。
家を出て学校へ向かうけど、日差しが暑い!!
オミさんを見上げると、平然としている。
「オミさんって暑さに強いんですか?」
「ああ、俺の国は通年暑いからな。寒い方が苦手だ」
「‥いい事、聞いちゃった」
「おい、神を脅すなよ?」
「脅すなんて言ってませんよ??」
ニヤッと笑って、オミさんを見上げると、オミさんはちょっと目を丸くしたかと、プイッと横を見る。「‥とんでもねぇ人間だ」って言うけど、自分だって相当な神様だと思うよ?
と、二人で通学路を歩いていると、オミさんがふと足を止める。
「オミさん??」
「あー、言の葉の神様が呼んでる」
「え?そうなんですか?」
「学校へ送ってくれるっつーから、とりあえず一緒に行くぞ」
「ええええ???」
オミさんがスタスタと細い路地の方へ歩いて行くので、私はちょっと迷ったけどいつも守って貰っている手前、これは断れないだろうと思って一緒についていく。
相変わらず、なんの変哲もない路地なのに、突き当たりにでると突然大きな鳥居が出てきてびっくりする。
オミさんは、鳥居をズンズンと進んで行くけど、私は一礼してから入ると、なんだかふんわりといい匂いがする。お花の香り??周囲を見回しながら匂いを嗅いで行くと、あっという間に拝殿の前だ。
「言の葉の神様、来ました」
オミさんがそう声を掛けると、木の格子の扉が小さく音を立てて開き、
白いお饅頭のようなまるさんがコロッとそこから出てくる。
「ルディオミ様、青葉様、お久しぶりで御座います。お元気そうで何よりです。急なおよび立て申し訳ありません。実は蛇神様の衣替えを手伝って頂きたく、言の葉の神様がお呼びしまして‥」
「「蛇神様???」」
私が思わず大きな声でそう言うと、オミさんが面倒臭そうな顔をする。
ちょ、ちょっと!!守って貰ってるのに、そんな顔をするんじゃない!
慌ててオミさんの腕をちょっと突く。
と、オミさんはピクッと体を動かして、私を見る。
「…なんだよ」
「顔に感情が出過ぎですよ!」
こそこそとそう話すと、オミさんはプイッと横を向いて「へいへい」って返事するけど‥、ちゃんとしてくれい!
まるさんは、そんな私達を微笑ましそうに見て、
「うふふ、仲良しさんで何よりです。ああ、それでですね‥、ルディオミ様と青葉様にその衣替え‥まぁ、脱皮した皮を片付けて頂きたいのです」
「皮‥ですか???」
「はい、蛇神様は脱皮すると神格が上がって、使いの者は力の強さで近づけません。なので、半分神の力を持っているルディオミ様と青葉様にお願いしたくて‥」
へ〜〜〜!!!
神様の力が上がって、近付けないとかあるのか。
ああでも、私にも直接神様の力を持っている人だと守れないって言ってたしなぁ。なかなか微妙な立場の私だけど、狙われるより、役に立つ方がずっといい。
「片付けるくらいなら?」
「「あ、おい!!!」」
オミさんは慌てて私を見るけど、ダメなの?
私はオミさんを見上げて、
「え?ダメでした?オミさんがいるなら大丈夫かなって思ったんですけど‥」
オミさんは私の言葉を聞いて、体をちょっと強張らせる。
え、やっぱり不味かった??
慌ててオミさんの顔をまじまじと見上げると、オミさんは視線をさっと逸らして‥、
「‥本当にお前は‥」
小さくため息をついてから、私を見る。
大きな手で私の頭をわしっと掴むように置くと、あまりの重さに顔が上げられないんですけど!??
「オミさん、重い!!」
「ちょっと下向いてろ」
「「はぁあああ???」」
一体なんだって言うんだ。
少しすると、ゆっくり私の頭から手を退かしてくれたけど‥。
訳がわからずオミさんを見ると、もういつものような顔でまるさんを見て、詳しいことを聞き始めていた。
本当にマイペースだなぁ‥。




