竜の神様、勝負に負ける。
シャボン玉は私の圧勝だった。
力んで一気に息を吹いてしまうオミさんのシャボン玉は、吹く側から消えていくので私は大爆笑だった。久しぶりにすごく笑って、オミさんはそんな私をジトッと見ていた。
ひとしきり笑ってから、「ゆっくり息を吹くんですよ」って教えたら、
「早くそう言え!」って言われたけど、勝負ですしね〜〜。
ようやくいくつも飛ばせるようになったら、シャボン玉の液がなくなって勝負は終了となり、オミさんは心底悔しそうだった。
夕飯はヘルシーに済ませて、お風呂に入ったオミさん。
またも髪がビショビショだ。
「‥オミさん、私は今日は触れませんよ」
「だからお前が許せばいいだろ」
「自分でドライヤーをしましょうね。これも修行です!」
「そんな修行あるか!!」
「私がやる意味もないですからね!?」
ビシッと話すと、オミさんはブツブツ言いながらドライヤーを自分でするけど、すごくいい加減に乾かしている‥。ああもう、一方にだけ風を当てても意味がないだろうに‥。私がやるか?って思うけど、いかん!!お仕置きだし、何よりドライヤーくらい自分で出来ないと!!
‥なんか小さい子の成長過程を見守る親心みたいだ。
ちょっとボサボサだけど、自分で乾かしたオミさんを見て、
「一人で出来ましたね!!偉いです!すごいです!!」
「‥お前、ぜってぇバカにしてんだろ」
「いえ、褒めて育てようかと思って」
「「はっきりバカにしてんだろ!」」
おかしいなぁ〜。
以前、何かネットで見たのには「褒めて育てた方がいい」ってあったけど、あれは嘘だったのかな?ひとまず私もお風呂に入ろうと思って、パジャマを出すとオミさんがチラッと私を見る。
「‥それ、また着ねぇの?」
「それ?」
パーカーとスカートの自分を見る。
いつも着てないのっていったら、スカートかな?ちょっとスカートを摘んで、
「スカートの事ですか?」
「‥おう」
「似合ってました?」
わざと茶化すように言ってみたら、オミさんは横を向いたまま照れ臭そうに「似合ってた」って呟くので、思わず目が丸くなるし、顔が赤くなる。
な、なんだよ!!!
いきなりなんでそこで変化球みたいな事、言ってくるかな?!今、ちょっとストライクだったぞ!?
「‥じゃあ、また着ます」
って言ったけど、からかってくるかな?って思って身構えてたのに「おう」ってしか言わないから、ツーストライクだった!!
ダメだ!照れ臭い!!あと恥ずかしい!!慌ててお風呂場に駆け込んでシャワーを浴びたけど、神様が何を考えているか、全く分からない!!!
「な、なんなんだよ、あれ‥」
お風呂で私が修行のように息を止めて、湯船の中に顔を浸けた。50秒浸けられたら出よう‥。そう思ったら、思ったより長湯になってしまった。
ほかほかした顔で、お風呂から出てくると、
オミさんはベッドの上で雑誌を広げたまま寝ていた…。
こっちはちょっと緊張しながらお風呂場から出てきたというのに!!
でも、おかげで安心して過ごせる。
ホッと息を吐いて、明日の支度をして寝袋を出す。
今日は許してないから、私は久々に寝袋で寝られるだろう。
さっきの事もあって、ドキドキしちゃうだろうから、ちょうど良かった。言の葉の神様よ、どうもありがとうございます!あとうちの祀ってる龍の神様、今後ともよろしくお願いいたします!
そう宙へ祈ってから、寝袋に入って静かに瞳を閉じる。
色々あったけど、今日だけで盛り沢山だったなぁ‥。うとうとし始めて眠りそうになると、バシン!!と何かを叩く音がした。
ああ、オミさん私に触ろうとしたのかな?
残念でした。
今日は一人で眠るがいい。そう思っていたのに、頭上でオミさんが、
「‥青葉」
って、小さく呼ぶ声が聞こえたんだけど、あれ?これは夢?それとも現実??そう思ったけど、そこで睡魔に襲われてしっかり眠ってしまった。明日、明日は許すから‥って思いつつ。




