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これマジ?火力と機動力に対して耐久が貧弱すぎるだろ……

お久しぶりです


『強い!強すぎるぞランバージャック!!準決勝進出〜〜〜!!』


実況者の声が響く。


占い師からの助言を受け取ってから直ぐに闘技場へ来て、都合のいいことにやっていた深夜のトーナメントにエントリー。1度ログアウトしてリアルでのことを済ませて再ログイン。優勝賞金が100万だったので参加した訳だが。


「『ランバージャック』様、控え室はこちらになります。もし準決勝で勝たれた場合はそのまま決勝となりますがよろしいでしょうか?」


「ええ、問題ありません」



案内された控え室の鍵を閉めてから、外套のフードを剥ぎ取る。思ったよりはマシだったとはいえやっぱり視界が悪くなる。


エントリーする際の名前は本名である必要は無いらしいので、『ランバージャック()』と名乗っている。


一応これでもカンスト、対人は殆ど初めてとはいえ格下相手に本気を出すのは如何なものかと思ったためにナイトメアリスでコピーした斧だけしか使っていない。


が、弱すぎるて拍子抜けだ。どいつもこいつも開幕で種蒔きしかしないから一刀両断でお終いだ。自己バフすらかけてないためパッシブの龍擊だけしか使っていない。そそそさんやエクリプスの方が強いし。


対人ガチ勢がいるって聞いて期待したんだけどなぁ。


「『ランバージャック』様、出番です」


ちゃっちゃと終わらせて剣聖取りに行こ……






『西ィ!!今回も順調に勝ち上がって来たぜ!!ヤマト決闘レート1845!!『花蟷螂(ハナカマキリ)』、カイト!!』


闘技場のフィールドに上がってきたのは、二本の曲剣を携えた剣士。誰だか知らんけど強いらしい。


『東ィ!!今回が初出場!名前の通り相手を全員一撃で真っ二つにしてきたやべーやつ!!何者なんだ!?決闘レートまさかの未登録!ランバージャック!!!』



対するのは俺。ローブの中には一応軍服も着込んでるし看破も通ってないだろうから引き続き斧だけで戦うとしよう。


『倍率は1.2/5.9!!カイトの圧倒的有利だッ!!オレちゃんも賭けてるから頼んだぜカイトォ!!』


それでいいのか実況席。


『んじゃあ行くぜェ!!いざ尋常にィ!!』


【Are you ready?】


どこからでもどうぞ。


『【Fight!!】』


結界によって外界と闘技場が完全に遮断される。


使うかぁ…


「『神託演算』」


足元緑。2本の曲剣から赤、軌道は正面。


「……ッ、解除…!」


一瞬でもキツイな。


生憎、種族固有の装備を使う程切羽詰まった訳でも無い。『真界超越』はエフェクトが派手なので使う気になれん。


「『刻弦舞踏』」


斧を振るい、投げられた2本の曲剣を叩き壊す。


「なァ!?」


武器が壊れたぐらいで狼狽えてんじゃねえよ常連なんだろ?


「速いッ!?」


お前がトロいだけだよ。


足元に咲いた花をガン無視して肉薄。そのまま斧を振り上げる。


換えの武器を取り出そうとしていたカイトとやらを一撃で葬り去った。


こんなんだったらプレイヤーのレベルもたかが知れてるな。


『しょ、勝者、ランバージャックゥゥ〜〜!!番狂わせが起きちまったぜ!!結構賭けてたのになァ!?』


だから司会者としてそういうのはどうなんだ?


『ランバージャックゥゥ!このまま決勝行っちまうかァ!?休憩挟むこともできるぜェ!!?』


この程度の連中相手なら要らんな。


「不要だ」


『オーケェー!!じゃあ栄えある決勝戦を始めて行くぜェ!!西ィ!続けてダークホース!!一体何モンだァ!?ランバージャックゥゥ〜〜!!』


深夜大会なのに元気なことで。


『東ィ!戦争経験者にしてトップクランが1つ!『紅の騎士団』団長ォ!焔丸(ホムラマル)ゥーー!!』


装備は剣が1本。腰にこれみよがしに吊った装飾過多なソレを引き抜いて構えを取った。


「『ランバージャック』、ウチのクランに入る気はあるか?」


なんだこいつ。


「無理です。こういう場での勧誘は嫌われますよ」


今のところ竜血機同盟がクランみたいなもんだしな。


「一応クランの団長だからね、聞いてみただけさ」


ルナテックは少しは見習え。


『始めるぜェ!!』


【Are you ready?】


聞かれるまでもないね。


『Fight!!』


「『神託演算』」


視界いっぱい真っ赤。


「ッ、解除!『竜闘気』『全壊死動(オーバーデッド)』」


咄嗟に耐性付与、継続バフを起動。


「焼き払え──『ダイグレン』!!」


相手の剣から迸るのは炎の激流。


クソ、初手から飛ばしてきやがった!


ファケリー ヴァイスのステータスは敏捷性と火力に特化している。闘気や種族特性で幾ら耐性を引き上げてるとはいえ、ダメージが0になるわけではない。


「力の限り進め、『不退転の誓い』『ハイジャンプ』!」


大きく跳躍。先程まで立っていた場所を焔の激流が押し流す。


「っ、上か!『ソニックブラスト』」


炎を跳躍で回避してのに気づいた奴が飛ぶ斬撃。クソ、剣士の癖になんでこんなに遠距離攻撃ばっかなんだコイツ!?


「『刻弦舞踏』!『ショックコンバート』」


面制圧じゃなけりゃ斧でも応戦できる。飛ぶ斬撃はバフ乗せながら迎撃。そして着地ギリギリで落下の衝撃を次の1歩に上乗せ。まっすぐ敵に向けて跳ぶ────!!


『全壊死動』の『死熱』のスリップダメージでいい感じにHPが削れてきたのに加え、迎撃したとはいえスキルも使ってない斧の攻撃で抑えきれなかったダメージも入り、現在HP2割。死ななきゃ安い。


敵との間は一瞬で溶けた。


死に晒せオラァ!


「ぐっ!?重い……!?」


流石に真っ二つとは行かないか。斧での一撃はギリギリで受け止められたが、衝撃でダメージも多少は入っただろう。アバターとはいえ女性に対して重いなんて言うやつには制裁が必要だな。2度3度打ち合うが押し込まれる感じはしない。むしろ押してる。


「『終末呼ぶ(レーヴァ)……」


このまま打ち合って不利なのはあちらさんだ。スキルを起動しようとしている。が。


「『天絶星断』」


決着。スリップダメージでHPが1桁に入ったのでこちらもスキルを起動。相手の体を真っ二つに叩き割った。


『き、決まっちまったァァーー!!?しょ、勝者!ランバージャックゥーーーー!』


眠くなってきた。賞金頂いたらさっさとドロンするかな。



大会終了後、クランへの勧誘のために『ランバージャック』の捜索が行われたが、彼あるいは彼女が見つかることは二度となかったという。




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