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2話
「調べて欲しい、この件に関して」
「それは…誰からの指示かしら?」
冬四朗は、足を組んでソファーにゆっくりともたれかかった。長く息を吐きながら閉じた目は、もぅ開かなくなってしまうのではないかと思うような、ゆっくりとした仕草だった。
「疲れた」
「そんなに、忙しいんですか?」
心配になったのか、祐斗が少しだけ前屈みになり、冬四朗をのぞきこむように見た。
「事故でも事件でもなく、けど人が居なくなる。身内から、見付からないのかと苦情が入って、見回りの強化も意味がなくてね」
天井を見上げた冬四朗は、本当に疲れているように見えた。かすかに祐斗の顔に同情するように歪んだ。
祐斗からの、すがるような視線を感じた颯介は、資料をファイルに戻した。
「分かりました。もう少し詳しい資料が欲しいのですが」
「ありがとう。帰ってからまたピックアップして送るよ、湯野さんのパソコンで良いかな?」
「ええ、お願いします」
安心したような笑みを見せると、冬四朗はさっさと立ち上がった。