Part6 二人分
Part6 二人分
パーティのメニューは、スモークサーモンのマリネに、シュリンプカクテル、アボカドとクリームチーズ、グラハムクラッカー、シーザーサラダ、それにピッツァ・マルゲリータ。
美紅と付き合うまで、コンビニ弁当を温めることと、トーストを焼くくらいのことしかしてなかった極小キッチンで、これだけのものが出来ることに驚いてしまう。
「すごい、テーブルに載りきらない」
「うん、そうだね、だからこれもってきた」
美紅はそういいながら、バックから新品のレジャーシートを取り出して、カーペットの上に敷いた。
「何かパーティっていうよりピクニックみたいだけど」
「いや、こういうのも楽しいよ。しかし、やっぱりテーブル狭いな、でも大きいテーブルだと身動き取れなくなりそう」
「あたしはこれでいいよ。シートは置いていくから、載りきらないときは使えばいいし、普段は大皿盛りしないしね、2人分の食器なら十分でしょ」
2人分の食器。偶然だろうけど、今日はつい結婚をイメージしてしまうキーワードが多いなあ。いちいち反応してしまう俺が意識しすぎなのか。
「じゃあ、とりあえず、乾杯する?まだ日付変わってないけど、前夜祭ってことで」
「うん、ありがと。あ、蒼くんはビールとかのほうがいいのかな」
「いや、ジュースでいいよ。それこの前友達が来たときに置いていったやつだし、美紅が飲めるようになってからでいい」
「そう、じゃあ・・・」
「あ、待って」
美紅がジュースを注ごうとするのを慌てて止める。
「今日は美紅が先、だろ?」
「そっか、忘れてた」
肩をすくめる仕草も可愛いなあ、と思いながらグラスにオレンジジュースを注ぐ。
グラスを合わせて、一口飲んだらパーティの始まり。
やっぱり最初はピザ、冷めないうちに食べたい。
噛むとサクッといい音がした。そして、トマトソースとバジルの香り、チーズの旨味が広がる。
「うまい、絶品・・・」
お世辞じゃなく心からそう思った。
「うふ、ありがと。あたし、何のとりえもないから、料理くらい頑張らないとね」
美紅の笑顔に胸が締め付けられた。
なんでそんなふうに思うんだろう。よほど辛いことがあったのかな、誰が見たって可愛いし、性格もいいのに。
でも、そんなことじゃなく、俺にとって美紅はこの世で唯一の特別な存在で、なにものにも代えがたくて。
うまく言えない。けど、この思いが伝わるといい。
その手段を思いつけない自分がもどかしくて情けない。
「こんなうまいピザが毎日食べられたらいいな・・・」
何かもっと気の利いたこと言えないのか、と思いつつ、内心の願望も交えてそう言ってみる。
「そう?そんなに気に入ってくれたなら、毎日作りにきてもいいけど。でもやっぱり毎日だと飽きない?和食も食べたいし」
・・・通じませんでした、神様。
思わず天を仰ぎたくなったけど、でも、美紅が元気になったから良しとしよう。
でも・・・
やっぱりわかってほしかったな・・・
なかなか通じません・・・
どうしましょうねww




