ゆめいろ・バウム エピローグ I'll Be Back Here
ゆめいろ・バウム エピローグ I'll Be Back Here
「美紅、そろそろ時間じゃない?」
「あ、ほんとだ」
時計の針は4時35分過ぎを指している。
ここから塾までは10分くらい、あたしの担当は5時からだからあと5分で出ないと間に合わない。
そうだ、昨日の服、ハンガーにかけたままだった。たたんでバッグにしまわないと・・・。
あたしはあわてて荷物をまとめようとした。
すると、
「荷物、置いていったら?」
蒼くんが言った。
「持ってくるの大変だろ。重いし」
だったら化粧ポーチだけもって帰ればいいから楽だけど。
「いいの?」
「もちろん」
蒼くんはにっこり笑って頷いた。
「言ったろ、ここは俺たちの家だって」
「うん・・・」
誕生日のプレゼント、というよりは婚約の証のローズクォーツの指環をそっと撫でる。
なんだか暖かい、そんな気がした。
「じゃあ、もう出るね」
「やっぱり送っていこうか?」
「ううん、大丈夫。すぐ近くだし、今日蒼くんは6時半からの1コマだけでしょ、授業。それにほら、一緒に行くとまた・・・」
「あ、そうか。もう公表してもいいんだけどな」
「蒼くんったら、ふたりだけの秘密じゃなかったの?」
「まあ、そうだけど・・・」
そう、あたしの左手の薬指のair ringは、もうすこしふたりだけの秘密にしておきたい。
なんだかロマンチックだし。
ほんとにもう時間だ、そろそろ出ないと遅刻しちゃう。
あたしは蒼くんを見つめた。
いつもだったら「じゃあね」とか「あとでね」とか言うところなんだけど。
「いってきます」
どきどきしながらそう言うと、蒼くんは嬉しそうに笑って、あたしを引き寄せると、唇にかるくキスした。
「いってらっしゃい、美紅」
心の中がふわっと温かくなる。
あたしの家はここ。
あたしの帰る場所は蒼くん。
そうだよね・・・。
END
読んでくださった方、ありがとうございます。
この作品はサブタイトルが日本語の3文字の熟語と、英語が交互になっています。
たいした意味はないんですが、ちょっとしたお遊びです。そういうの結構好きなんです、途中で苦しくなったりもしますが、それがまた快感に(おい!)




