異世界召喚取締局 その2
召喚されたら、新しい人生を歩む?
それとも帰る?
私の後ろをぞろぞろと被害者達が付いて歩いてくる。
私はちらっとそれを確認した。
建物から出る。
「お疲れ様です。
あとはこちらが引き継ぎます」
「はい。
お願いします」
私は被害者達を渡した。
異世界召喚取締局。
私は一課所属。
一課は現場に出て、加害者を捕まえ、被害者を保護する。
引き渡したのは、二課の人間である。
二課の人は、被害者達と面談し、元の世界へと帰す……
かは、わからない。
召喚は禁止されている。
しかし、異世界の知識や技術を、国は欲しがっている。
料理人だと言っている人がいた。
異世界の料理は人気だ。
こちらに残らないかと言われるかもしれない。
売れてないけど、漫画家だと言っている人もいた。
多分、この人も残るように勧誘されるだろう。
漫画も人気だ。
残りの人は、有益な知識と技術がないか、詳しく聞かれ…。
スマホを持っている人は、譲って欲しいと強くお願いされるだろう。
召喚される時、身に着けている物、手に持っている鞄なんかも一緒にこちらに来る。
タブレットやノートパソコンも、国は欲しがっている。
この辺は、大事な物だから!と決して譲らない人もいれば、金や宝石と交換であっさり渡す人もいる。
向こうの世界に持って帰れば、大金になるから。
今回の人達は、どうするんだろうなー?と思いながら、私は見送った。
すると、空気がひんやりとしてきた。
寒い…と思った瞬間、
「寒い。 寒い…」
とても良い声がした。
私は声のした方を見る。
アイスだ。
異世界召喚取締局、一課長。
見た目はとてもハンサムなイケオジ。
季節に関係なく、いつもファーの付いた防寒コートを着ている。
マフラーまでしている。
「寒い…」
寒いのは、この人自身のせいである。
アイスが居る場所は、寒くなる。
そういう体なのだ。
「お姉ちゃん、お疲れ様」
こんな年上の見た目だが、アイスは私よりも七つも年下であった。
そして、私の見た目は、女子高生くらい。
もうかなりいい年なのに、若い見た目で他人からは舐められる。
「どうだった?」
「今回も違ったよ。
初犯だったし。
貧乏貴族が、召喚で一発当てようとした…、ありがちなやつ」
「そっかぁ…」
私はため息を吐いた。
召喚されて、三十年……。
私を召喚した犯人は見つかっていない。
この二人は、同期というやつです。




