異世界召喚取締局 その1 がっかりしちゃいますよね
普段はpixivで二次創作してるんですが、オリジナルも書きたくなって、投稿してみました。
ざわざわとしていた、二十人くらいの人々が、一斉に私を見た。
期待した顔で。
何時からだろう?
被害者達が、勘違いして嬉しそうにするようになったのは。
私の仕事は、彼らをがっかりさせる事だ。
ここは、とある貴族の建物の地下室。
中央には、まだ少し光が残っている魔法陣。
召喚士とその雇い主である貴族は、逮捕済み。
残されたのは、『違法』に召喚された人々。
そのうちの一人、中年の男性が、目を輝かせて私に聞いた。
「これって異世界転生?」
私は冷静に答える。
「転生じゃありません、召喚です。
あなた達は死んでいません」
別の若い男性が聞いた。
「チートスキルとかは!?」
私はこれまた冷静に答える。
「そういうのはありません」
二人の男性はがっかりした顔をしている。
今度は若い女性に聞かれた。
「聖女とか、悪役令嬢とかは?」
「あなた達は召喚されただけの異世界人です」
まだあるだろうか…。
三十代くらいの男性が聞いた。
「俺、料理人です。
飯テロは!?」
私は優しく言う。
「すでに起きています」
女子高生らしき子が聞いた。
「スローライフとか、もふもふは!?」
やれやれ、まだあるのかと思いつつ答える。
「スローな生活はできません。
もふもふっぽいのはいますけど…」
あとは何かあるだろうか?
小さい男の子に聞かれた。
「モテモテは?」
私ははっきり言う。
「ないです」
被害者達は、顔を見合わせた。
がっかりしている。
凄くがっかりしている。
私は同情的に声をかける。
「あなた達は違法に召喚されました。
元の世界に帰る手続きをします。
私の後に付いて来て下さい」
最初の男性に聞かれた。
「あなたは誰ですか?」
そういえば、まだ言ってなかった。
私は被害者達を怖がらせないように、愛想笑いを浮かべて言った。
「申し遅れました。
私はシルバー。
異世界召喚取締局の者です」
そう。
そのまんま。
この国では、召喚は禁止されている。
私はそれを取り締まる公務員である。
こんな感じで。
社畜な異世界生活を書いていきます。




