規格外
ノアは少し迷いながら思考を巡らす。
ちょっと図星突れちゃったな。バレやすい嘘言っちゃった。
それはそれ程問題ない。どっちかというと近くにどれだけ生徒がいるかここじゃ分からないこと…
外に誘き出されてくれる相手でもないよな〜。
「まぁ、何とかなるか」
再びノアの体に電気が纏われる。その瞬間——
空気が裂け轟音を立てるほど激しく電気が上がる。
「そんなに電気を強く速度を上げていれば生徒を巻き込むんじゃないのか?」
少し笑いながらノアは
「心配ありがとう。でも大丈夫。例えば最高速度で動いてる時に目の前に誰かが来ても当たらないようにできるレベルで抑えてるから」
「そうか」
ロキは理解したように返事をする。
そして右手に炎、左手に風を巻き起こし合わせる。
「煙霧」
ロキの手の上が爆発し煙があたりに立ち込める。
ロキの姿が見えなくなっちゃったな。
見えなくても見つける方法はいくらでもあるけど…自分も見えてないだろうし攻撃性もない。
ノアは指先に纏わせている電気を弱め煙に触れる。
そのまま素早く指を振った瞬間に皮が裂けた。
「やっぱり」
多分炎と風だけに見せながら土属性も混ぜた煙って感じかな。
体はこの状態なら大丈夫だろうけど目とかは開けてたら危なかったな。
元々姿は確認できなかったしそこまで問題はないか。
ノアが一歩踏み出す。
その瞬間には煙の中にいた。
ロキ…見つけた。
その瞬間に背後に回り込みながら攻撃を仕掛けるがすんでのところで避けられる。
死角に攻撃したはず…見えてないなら反応できない速度のはずなんだけど。
思考を巡らせながら体勢を変えノアはロキへ向き直る。
「煙爆」
その言葉と共に周りにあった煙が連鎖的に爆発を起こす。
—————————
どうやって奴はこっちの位置が分かった?
ロキは考えを巡らせながら焼け焦げたあたりを見回すがノアの姿はない。
「どこに行っ」
言い終える間もなく突如目の前に現れたノアの蹴りによってロキは壁に吹き飛ばされてゆく。
どこに居た?今の攻撃で肋2本ぐらい逝ったか。奴にしてはこれぐらいで済むのはおかしい。攻撃される瞬間に姿が見えたのも当たる寸前に減速したからだろうな。
つまり、
「お前は俺を殺す気はない」
心理的に殺せないのか情報が欲しくて殺せないのかは定かじゃないがな。
目眩しも意味がない…
「というかあの爆発をどう避けた?」
「ん? あぁ、あれ範囲そこまで広くなかったから爆破の範囲の外に出た後に戻っただけだよ」
迫り来る爆発よりも速く外に出て爆発が終わった瞬間に反撃…なかなかにいかれたスピードだな。
「流石は最上位魔導士の烙印を押された奴だ」
「…無駄口叩くのはいいけど来ないならこっちから行くけど」
「いや、 丁度狩り方を思いついたところだ」
ロキは自分ごとノアの周りを壁で覆っていく。
壁を作り続けると同時に体を壁にめり込ませる。
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身を守る…いや、私をここに閉じ込めるって感じかな。
「そんなゆっくりでいいのかな」
この牢を完成させ逃げられる前に仕留める。
再びおびただしい電気を纏った——
筈だった。
想定よりも出力が低い。
「言った筈だ。 狩り方を思いついたと」
この壁魔力を吸い取るような金属になっている?いや、魔法で作れるなんて聞いたことがない。
どっちかというと電気がこの壁に流されてる感じ。凄い電動率だね。
そうしている間に地面も天井もこの金属で覆われてしまった。
「確かに効果的な手だね」
これだと助走付けての突き技は使えない。出力を上げればいけそうだけどこの檻を壊した先に何があるか分からないし中途半端な出力だとほぼ意味はない。
さてどうやってここから脱出しようか。
ノアに考える暇もなく壁から槍が剣が斧が生み出されノアに向かって射出される。
ズダダンッ!
射出されてきた武具を全て電気を纏わせた手で叩き落としていく。
「一瞬触れるくらいならこれだけの出力でも問題ないくらいか」
確認した後に壁に向き直り電気を纏わせた腕で壁を思い切り攻撃する。
ズドン!
大きな音が中をこだましながら響き、その壁の凹みが破壊力を物語っている。
思ったよりも壊れなかったな。一撃で破壊するつもりだったんだけど。
再び壁を見るとどんどんあったはずの凹みが修復されてゆく。
そんな中外から淡々と話すロキの声が聞こえてくる。
「これでも厚さ2mの壁だからな簡単に壊せるものじゃない」
そういうなら修復とかしないでふんぞりかえってくれてたらいいのに。
油断したりはしてくれなさそうだねやっぱり。
続け様にロキは問いかけてくる。
「次はどうする?」
「次?まだ一回しか試してないじゃん。それに…」
「これで終わらせるよ」
再び同じ方法で壁へ攻撃を繰り出す。
さっきと同じように修復される壁に向かいもう1発2発と追撃していく。
ミシ、
連撃は突くほどに速く強くなってゆき壁の修復が間に合わなくなってくる。
そのまま壁には風穴が空いた。
「言ったでしょ。 これで終わりって」
そのまま目の前に居たロキへと視線を向けて先程とは比べ物にならない程の電気と圧を纏わせ戦闘体勢をとった。
「化け物が、」




