6.収税官
夏に辺境伯領を後にし、私が王都に戻ったのは次の春。実に一年ぶりの帰郷だった。
早朝に旅立つ時、見送りに来てくれたのはパヴェル一人だった。辺境伯はまだ寝台から離れられないからと辞去の挨拶すら出来ないままだった。
アンナは、洗濯日で忙しいからとパヴェルから別れの挨拶を言付けられたが、当のパヴェルにいわせれば、「別れが嫌いなんだ。今頃部屋で拗ねている」とのことだった。
無理もない。人の出入りしないこの地で、彼女の身近にあった別れは、恐らく両親との死別くらいしかなかっただろうから。
パヴェルは、日持ちのする堅焼きのパンやチーズ、それに干し肉とぶどう酒を持たせてくれた。
「それからこれも受け取ってくれ」
そう言われて差し出されたのは、あの夜の集まりでパヴェルに借りた指輪だった。まだたった二日前のことだというのに、遠い昔のことのような、それとも夢の中の出来事のようにも思える夜。
あの時走らなかったがこれは狼の美しい骸だ。そしてとても高価な宝石。
どちらの意味でも、私が受け取ることは到底出来ないものだった。
けれど、固辞する私にパヴェルはなおも指輪を渡そうとした。
「君は私たちの友だ。どうか受け取ってくれ」
「……パヴェル殿」
その言葉が嬉しくてそれ以上固辞することなく指輪を受け取った私に向かって、パヴェルは更に続けた。
「それから、指輪のついでといってはなんだが、アンナも貰ってやってくれないか? いつか。私が領主になったとき。その頃にはだいぶ婚期も過ぎてしまっているだろうし君には気の毒なんだが」
「まさか…。私などがアンナ殿と結婚など、とても」
「王の側近に貰ってほしい。もっとも私が都に行く時までに君が落ちぶれていたら、この話はなかったことにしてもらうが」
そう言ってパヴェルはにやりと笑った。私は力なく笑い返した。
まさか本気で彼が私のようなものの所へ大切な妹を嫁がせる気はあるまい。もしも本気が混じっているとしたらそれは領民の為に妹を犠牲にしようという気持ちがあるからだろうし、良心があるならそんな話は断らなければならない。
私はこれから裏切り者になるのだ。
それにアンナはヴィクトルが生きている間に領内の男と結婚するだろう。これからも続く命をヴィクトルに抱かせる為に。あの城に子供の声を響かせ、ヴィクトルを微笑ませるために。狼殺しの一族は狼に焦がれずには居られないようだった。すでに辺境伯という半身を得たヴィクトルにそれでもアンナは、そして恐らくはパヴェルも、恋をしているのだと私は感じていた。
まさか、あのような男に恋した後に、私のような平凡な男など目に入らないだろう。
それでも、こんな私がまるで火打ち石のようなアンナと結婚できるかもしれないという想像は、私の心を少し慰め、楽しませた。
帰路は長い旅になった。往路に気になっていた領地へ足を向け、納税の実態と領主の領民に対する義務の履行状況を調べながら帰ってきたのだ。それは昨年、まだ私が王の従兄弟と知られておらず、ただの『収税官の一員』であった時に同僚と何度も話し合ってきた事だった。いつか自ら地方へ査察へ行き、机上の話ではなく地方の実態をこの眼で見て奏上するのだと。
とても一人で国中を見て回ることはできないが、せめて帰路にある領地の調査をすることで、私は同僚へ償いをし、彼が私の出自を知った時に見せた暗い光に満ちた目を忘れ、過去を葬ろうと思ったのだ。それに、辺境伯領からの増収が期待できない上、王の目をそらすものが必要だという実質的な理由もあった。領主達の不正を追及することで王は余得を得るだろうし、これを機に地方領主への調査などが始まれば忙しさに辺境伯領のことは取り紛れてしまうだろう、という期待だ。
調査をしているのが露見して追われたりしながらもなんとか無事に王都に戻った時、去年旅立った時につぼみをつけていた街路の花が今を盛りと咲いていた。王都の春を彩る薄黄色の柔らかな花弁が風に花を散らして舞い落ちる。
王都の春はこのうえなく美しい。
門を通り抜けたあたりで私は暫く呆然と王都の春に見蕩れていた。もう老馬のイデーも長旅にすっかり疲れていたが、それでも久しぶりに故郷に戻ってきたのが判るのか、嬉しそうに耳を動かした。
「家に戻ろうか」
イデーの首を撫でながらそう言うと、イデーは私の手綱を待たずに足を家に向けた。私が一人で暮らしている小さな家ではなく、実家に。
王都にある家は相変わらずの賑わいだった。
祖父は三年前、私が王都に戻るのを待っていたように亡くなり、今の当主は父だが、年中航海に出てばかりいて頼りにならない父と次男と長女の代わりに、末の弟が都に残って商売を取り仕切っている。今まで上得意の為だけにやっていた小売りを手広くはじめたのも弟だ。
店先で接客をしていた弟が、店の戸口の隣にある家への門を開けた私を見つけた。
ようやく帰ってきたのか、と弟の呆れたような顔付きに出迎えられ、けれど忙しい合間を縫うようにてきぱきと湯浴みや、夕食にはまだ間があるのにとりあえず何か食べろと簡単に食事の支度をしてくれ、私が食卓につくとその向かいに腰を下ろした。
「随分と長かったね。王宮から何度も使者が来たよ。あの甘ったれ陛下ってば、煩いったらない」
「フランツ。陛下に向かってなんという口の利き方だ。弁えろ」
「いい年して甘ったれの無分別でわがままな陛下は、自分の命令で兄さんが旅に出たってのに半年も経つ頃になったらウルマンはまだ戻ってないのか何か知らせはないのか、て全く」
「陛下の御用で出ていたから首尾を気にかけておいでなのだろう。埃を落として着替えたらすぐに登城するよ」
「まあいいけど。その用事が終わったら家に戻ってくるんだろう?」
そういえば、旅に出る前にフランツにはそんなようなことを零した。といっても家に戻るといったつもりはない。家の商売は私がいなくてもしっかりと回っている。ここに異物が紛れ込んでもぎくしゃくするだけだろう。旅から戻ったら私塾でも開こうかと考えているのだ、と言ったような気がするのだが、フランツの中ではすっかり私が家業に戻ることになっているらしい。
私は少し苦笑した。
「いや。収税官吏を続けられるかどうかは判らないけど、陛下のお許しがある限り王宮で働くつもりだ」
そう言うと、フランツはむっと唇を尖らせた。不満がある時の顔は子供の頃から変わらず、どこか弟と似通った顔立ちの陛下も何かあると同じ顔をする。兄弟の中では年の離れた弟が誰よりも陛下と似ているのだが、むしろそうであるからか、陛下に一番批判的なのもこの弟だ。
「なんで」
「やりたいことが出来たから。それは市井の教師や商人では出来ないことなんだ」
「王様にでもなるつもり?」
「…それでは謀反だよ」
「もう兄さんが家に戻ってくるって父さんに手紙書いちゃったよ。父さん大喜びしてたのに。祖父さんだって今生きてたら、兄さんが王家に関わるのを喜んだはずがないよ」
「……判ってる」
祖父はきっと、私の言うことにただ頷いて、けれども悲しそうな顔をするだろう。父とはまた一悶着あるだろう。私の出自が明かされたときにどういう反応をされたか、どういう影響があったのか知っているのだから以前よりも強硬な反対にあうのは間違いない。うやむやになっていた勘当も改めて言い渡されるかもしれないし、そうなったら今度こそ家に足を踏み入れることも許されなくなるだろう。
私はふと胸元に目を落とした。服に隠れて見えないが、指輪に鎖を通して首から掛けていた。私が身に着けるには分不相応で却って人目を引いてしまうからだ。この指輪を、誰にはばかることなく着けられるようになる時……私はその時が来るように努力し続けることをすでに決意していたが……を、待ち遠しく思いながらも、恐れている。鎖の先の小さな指輪を、とても重く感じた。
「兄さんは家に戻ってくるべきだよ。そうじゃなきゃもう帰れなくなるよ」
弟の言葉は正しいだろう。私はそう思った。それきり弟はむっつりと黙り込み、食事を終えて着替えてこちらも一休みしたイデーを引きつれ家を出るときまでずっと不満そうな顔をしていた。
□ □ □
あれから十五年。家には一度も戻っていない。すぐ下の弟妹や母とは手紙などを遣り取りし、時々王都の店で会ったりもするが父は最期まで私が家に足を踏み入れるのを許してくれず、父の葬儀にも参加できなかった。その父の遺言に忠実なフランツも、私を許してくれない。
三年前、馬の取引の際などに手紙を言付けてくれて遣り取りが続いていたパヴェルがとうとう王都にやってきた。パヴェルは辺境伯の称号を受け継いだ。
十五年前に戻ってきた際、私は王に対して最初の嘘をついた。辺境伯領は山間の貧しい領土であり、かつてあった銀の鉱脈も今は枯れて祖先の財物を売り払ってはなんとか税を払っている。領土も語り継がれているような楽土ではなく、収穫も少なく民は貧窮に喘いでいる、という嘘だ。私の調査を元に二、三の領主が罰を受け、それを知った他の領主達から多大な財貨が王の元へ届けられたこともあり、王は寛大さを見せて辺境伯領の税を大幅に下げた。
それで少しでも長く辺境伯領が永らえてくれれば、という私の願いだった。領土が永らえれば辺境伯の命もまた永らえるような気がしたのだ。
久しぶりに会ったパヴェルは三十五歳の立派な若領主になっていたが、私の顔を見て笑った顔は私の覚えている青年そのままだった。
その夜開かれた宴の名目は一応新領主に対する祝いだったが、貧しい辺境の領土を治める領主など王は興味がなく、臨席もなかった。だからか重鎮や大貴族の姿も無く、宴にいるのはパヴェルと同じような小領主や中小貴族ばかりの、ある意味気楽なものだった。
私が宴に顔を出すとパヴェルは南の方の領主と話をしていたのを手早く終わらせ、私を広間の隣の部屋に誘った。宴に疲れた客が一時休む為の小部屋で、扉を閉めてしまえば誰も入ってこない。
パヴェルは改めて笑みを零し、軽く抱擁を交わすと椅子に座った。私も隣の椅子に腰掛ける。
「約束どおり偉くなってるな」
「陛下の数いる取りまきの一人に過ぎません。パヴェル殿こそ立派になられた。……それから、こんな席ですが辺境伯とヴィクトル様のこと、お悔やみ申し上げます」
「ありがとう。アウグストもヴィクトル様も税が軽くなってそれほど石を売らなくなっても良くなってとても喜んでいた。お礼を言っていたよ」
「何度も申し上げましたように、今の税ならば領土を閉ざさなくても続けていけるのではないかと思っているのです。もっと下げてもいい。今の私ならばそれくらいのことは出来る。だからパヴェル殿、どうかこのまま」
「ああ。……けれど私は、辺境伯の称号を王に返すつもりだ。もはやあの地に狼はいない。狼殺しもあの地に必要ない……違うな。耐えられないんだ。あの地で、ヴィクトル様もいない、私のための狼もいない土地で生きていくのが。……私は馬鹿みたいに、心のどこかで信じていた。アウグストが死んでもヴィクトル様は生きているんじゃないかとか、どこからか私の狼が現れるんじゃないかとか」
「……あなたが去って、何も知らぬ人間があの地に領主として住むのですか」
「いいや」
言ってパヴェルは苦く笑った。
「信じられないかもしれないが。否、信じてほしいのだが、ヴィクトル様が亡くなった後、あの土地に生まれた人間の他、あそこに入れる人間は居なくなった。道を知っている者でも何故かたどり着けなくなったらしいんだ。だから私は王にこういうつもりだ。度重なる災害でもはや作物の取れる状態でなくなった土地なので遺棄する。ついては相続する土地がないので称号をお返しする、と」
「そんな言い訳が通じる相手ではないですよ。陛下はあれでも聡明な方だ」
「言い訳じゃないさ。王だって調査の人間をよこすだろう。けれどたどり着かないんだ。山をいくら歩いても人の住んでいる気配がなければ、私の言うことを信じざるをえないだろう。もっともらしく、あのあたりに領土があったと言えば良い。あのままあそこで暮らしたい人間もいるだろうし、出て行きたい人間もいるだろう。私は何も強制はしない。けれど勝手に出て行かれては困る。さあ、そこでだ。ウルマン殿は昔の友情に掛けて約束を果たされる準備がおありか?」
パヴェルに気おされて私は小さく頷いた。
十二年、短い時間ではないが私にとっては長い時間ではなかった。王に尻尾を振るしか脳がないと蔑まれながらまさしく王に媚を売って、ようやく秘書官長という今の地位を手に入れたのだ。大臣のような顕職ではないが内政にかなり強い力を持つことのできる地位。何度もパヴェルに考え直して欲しい、領地を存続して欲しいと手紙を送りながら、パヴェルの意思が変わらなかった時に備えて築いてきた地位であり、手に入れてきた力だ。
「そういえば指輪は?」
「持っています。ここに」
私はいつも首にかけている鎖を引き出した。十二年間肌身離さず持っている指輪だ。パヴェルに促されて、私は指輪を嵌めた。指輪はぴたりと私の指に嵌った。
その時私の胸に溢れてきた感慨をなんといおう。旅をしていて世界の果てにたどり着いたような。とうとうここまで来た。こんなところまで来てしまったという、達成感とも恐れとも後悔ともつかない感情。
同じ宝石を嵌めたパヴェルの手が私の手をがっしりと握った。そのまま、パヴェルは悪戯気な笑顔を見せる。
「そうそう。アンナも連れて来ているんだ」
翌日再会したアンナは相変わらず凛として激しさを内に秘めた火打石のような様は大人になっても消えておらず、私は緊張して随分とヘマをした。最たるものが、その日の別れ際の求婚だ。してはいけないと散々自戒したにも関わらず、アンナを目の前にしたらそんな自戒などなんにもならなかった。
しかも求婚したくせに『断ってください』などと口走ってアンナに殴られた後、話を聞いてやってきたパヴェルにも殴られた。
アンナとはその翌年結婚した。その翌年には長男も生まれた。アンナは子供の名前をアウグストとヴィクトルどちらにしよう、と散々悩んだ末に、結局ネイェドリーという名前をつけた。
辺境伯領はパヴェルの言葉の通り、余所者には見つけられない場所になっていた。私はパヴェルが称号を返上するといった時の調査と、アンナと結婚した時の二回、かの地を訪れていた。けれど確かにかつて行った道を進んでも道はいつのまにか逸れ、どうしても眼下に広がる谷地を見つけることはできなかった。
私の他に調査に赴いた人々も、「あのあたりに鉄砲水が来て大分流されました」などとパヴェルが指差す方向を見て納得するしかない有様だった。むしろ彼らは二晩も三晩も森の中に泊まることを嫌がり、さっさと調査を切り上げて帰りたいという気持ちばかりが強かったので、私もパヴェルが指差す、あるはずの領地より大分下にある場所をもっともらしく眺め「そういえばあの辺りには畑がありましたね」などと調子をあわせるのが楽だった。
二度目、アンナと一緒に行った時には確かに間近まで近づいた気がした。けれどアンナはすんなりとどこかに入ることが出来るのに、私はどうしてもその先に行けなかった。
仕方がないので森の中で野宿し、翌日戻ってきたアンナと暫く見晴らしの良い場所を散策したが、アンナが「あそこに城が」と指差し確かに私も昔見下ろしたはずの場所で、私の目に映るのはうっそうとした木々ばかりだ。
けれど私は見えない場所を見るように目を眇めた。記憶の中から景観を蘇らせ、それを見詰めた。
「そういえば、この土地はまるで御伽噺の理想郷のように語られているとあなたは昔言ったけれど、全然違ったわ。貧しいばかりの山里なのでしょうと言われるばかり。それも嘘ではないから黙って聞いているけど。あなたが税を引き下げる為にそういう話をしてくれたって判ってるけど、一寸悔しいわ」
「周りの人間が何といおうと気にすることは無いよ。そのうち誰も、狼と狼殺しの話を知らなくなる。それを知る人の間でだけ、ここは御伽噺のような場所なんだ。アンナ、君にとってここは貧しいばかりの山里などではなく、美しい場所だろう?」
「……ええ、そうね。私にとっては。私と、あなたにとっても」
それから暫く私達はその場所に立って見ていた。アンナにとっては実際に目に映る故郷を。私にとってはすでに幻の場所を。
あれから十五年だ。
パヴェルは称号を返上すると言ってから私と共に奔走し、今年やっと始末を終えて称号を返上した。
私は四十六歳になっていた。陛下は来年五十歳になるのを機に退位し、王太子に全権を譲渡する意を示した。聡明だが政より遊興を好む人だから、息子が成長して制約の多い王位から離れられるのを待ち構えていたし、ここ数年は王よりも王太子を中心に政が回っていたから、頃合というものだろう。
王太子は私を秘書官長ではなく宰相として遇するから長く留まってくれと仰ってくださったが、私は王の退位と共に王宮を辞する意思をすでに固めていた。
アンナとは、王都で私塾を開こうという話をしており、すでに教室を作れるように大きめの屋敷も手に入れていた。今は王宮の一画に戴いた屋敷に住んでいるが、職を辞したらここも返すつもりで少しずつ引越しを始めている。
今日も壁の色などの打ち合わせに来たのだがアンナに任せた方が安全なので私は一人やることもなく、教室になるはずの広間に向かった。
まだ机も入っていないがらんとした部屋は、規模は全く違うもののあの城の騎士の間を思い起こさせた。
蝋燭で眩く明るい広い部屋に、たった三人の人間。そして美しい最後の狼。
夢のような夜。私の十五年を決めた夜。
短いようにも感じていたが、今思うと酷く長い十五年の歳月はべったりと私の中に澱のように蟠っている。愛すべき従兄弟の信頼と依存を利用して彼を裏切り続けた十五年。最後の狼と最後の狼殺しの為に生きた十五年。
とても疲れた。
そう思うと立っていられなくなり、アンナに呆れられるなと思いながらも椅子もないので床にべたりと座り込み、私は辺境伯アウグストの話をぼんやりと思い出していた。
アンナは息子ネイェドリーに、彼と同じ名前の男と狼の娘を語るのだろうか。
王が退位したら、彼が再びエルンスト・ヴェツェラに戻ったら、エルンストにも話をしようか、とふと思って可笑しくなる。幸福な話ばかりが好きな彼はきっと話が少しも進まないうちに「そんな話は退屈だ」と言い出すだろう。
そのさまが容易に想像できて私は小さく笑った。
そのうち広間の静寂の中、耳の奥から辺境伯の低い、心地いい声がよみがえってきて、私は静かにそれに耳を傾けた。
『彼らは夜、あるいは狼と名乗った。………』