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魔女の敵  作者: 紀ノ貴 ユウア
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第15章、レフィアの指導③

 お久しぶりです!!!


 最近、忙しくなり、これから投稿頻度が少し低くなると思われます。が、何とか投稿を続けていきたいと思いますので、どうぞ応援よろしくお願いします。

 レフィアにとって、人間とは忌々(いまいま)しい存在である。

 特に、魔法使いは―――。




 最初の授業は、魔女を殺す方法が如何にして失われ、それによってどのような影響が魔女や社会全体に与えられたかという、歴史についての講義だった。

 すでにアリシアーレンから学んでいたことがほとんどだったが、知らない情報も含まれていた。どうやら、個人体験を含む、多くの情報をギアに()め込もうとしているようだ。




「―――それじゃあ、レフィアは、神殿魔女だったのか…。」

 今まで聞いたことがなかったレフィアの過去を聞き、ギアは衝撃(しょうげき)を受けた。

 なんと、レフィアは神殿で生まれ育った魔女だった。


 母親が魔女、父親が神官の間に生まれたレフィアは、親の愛を知らずに育ったと言う。

 母親である魔女もまた、レフィア同様、神殿で生まれ育ったため、外の世界の常識を知らなかった。それゆえ、レフィアは強い魔女だったが、自分も母親も、神殿を出るという発想はなかった。抵抗や逃亡ができないよう()り込まれていたからだ。そもそも、神官たちの手でレフィアは育てられていたため、あまり交流しないよう、母親からは自然と遠ざけられていた。

 父親である神官とも、ほとんど交流はなかった。それも、情が生まれてレフィアを神殿から連れ出すことがないように仕組まれたことで、レフィアは、母親以上に父親に交流する機会が少なかった。二人きりの会話もしたことがなく、いつも遠目に姿を見る程度だった。


 そんなレフィアも、“家族”というものがどんなものであるかは知っていた。レフィアは村を出ることは許されず、一人で外出することもできなかったが、四・五人のお付きの者という名の監視役を連れさえすれば、神殿の外に出られた。そこで、自分と母親以外の者には―――つまり、人間には、家族という(つな)がりがあるということを知ったのだ。

 そもそも、母親と父親の交流も少なかっただろうと、レフィアは推測している。魔女は神官との間に子供を(もう)けることも仕事の一つだと、母親が事も無げに話したことがあるからだ。夫婦らしさの欠片(かけら)もない。それに、当人らも、夫婦という認識ではないのだろう。そして、そんな話を聞かされたレフィアが、“魔女は家族を持たない”と思うことも無理はないだろう。


 こうして、魔女には“家族という概念(がいねん)がない”と思っていたレフィアは、親からの愛情を受けたことがなく、また、彼女らに対しても情を持ち合わせていなかった。


(さみ)しくなかった…?」

「ないな。」

 イーラの問いに、レフィアは即答した。

「人間には“赤子は愛してもらわないと死んでしまう”という言葉があるらしいが、わたしは魔女だ。愛情がなくとも、ものを食べずとも、死ぬことはない。…だが、死なずとも、空腹は辛かった。」


 レフィアは、神殿の食事は通常の三分の一にも満たない量だったと語り出した。後から、エデリオンらと過ごすようになって、それを知ったらしいが。

 また、毎日、何かしらの仕事が与えられ、それ以外は部屋に軟禁(なんきん)され、娯楽(ごらく)はある程度、与えられていたものの、すぐに()きてしまい、退屈な日々を過ごしていたと言う。そのため、仕事が多い日は、時間が(つぶ)せて悪くないとすら思っていたらしい。


「友だちは?神官の人と仲良くなったりはしなかったの?」

 イーラはそう聞いたが、ギアはレフィアの答えが何となく想像がついた。

 レフィアはイーラを()でながら、答えた。

「友…と呼ぶ存在は、いた。」

 ギアは目を丸くして驚いた。

(レフィアにも友人なんていたんだ。)

 それは至極(しごく)、失礼な感想だった。

 そんなギアの思考も知らず、レフィアは語る。

「神殿には、犬や猫や鳥といった…小さな動物たちがいた。契約の仕方も言語クッキーの作り方も知らなかったから、ただ触れ合うだけだったが、とても心の(なご)む、数少ない楽しい時間だった。

 レフィアの目がほんの少しだけ優しくなった。

「…。」

 期待していた答えではなかったのだろう。イーラは気まずそうに(ほほ)をかいた。

「…神官は、いつもだんまりだった。」

 ぽつりとレフィアが(つぶや)いた。

 イーラが興味深そうにレフィアを見つめ、その視線に気付いたレフィアは、どこか遠くを見る目で口を開いた。

「わたしと必要以上に関わらない決まりだったのだろうが…、神官がわたしに気さくに話しかけてきたことはないな。仕事の時に少し話すくらいで、監視の(やつ)とは全くと言っていいほど会話がなかった。不機嫌さや怒りをぶつけてくる者も多かったし、(なぐ)る、()る、刃物で刺す、魔法で吹き飛ばす、ろくでもない(やつ)もいた。神官とは関わらない(ほう)がいいと思っていたな。神官以外の人間は…あまり関わったことはなかったが、村を去る時に、わたしを捕まえようとして神官に協力していたから嫌いだ。」


「どうやって…そこから抜け出せたんだ?」

 ギアがそう(たず)ねると、レフィアは、少しだけ(まゆ)を寄せた。

「わたしが大嫌いな人間と子供を産めと言われたことがきっかけだ。」

 どうやら、レフィアによく()っかかって来る、仲の悪い若い神官が夫候補に挙がったらしい。

「腹が立ったわたしは、がむしゃらに魔法を使って暴れて、逃げたんだ。捕まったら連れ戻されるのは目に見えていたから、村から遠く離れたところに、どこまでも遠くへ行こうとした。…力尽きた先、何日か、幾月(いくつき)()ったところで、ちょうどそこを通りがかった師匠に拾われたんだ。」

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