第10章、迷いと決意③
お久しぶりです、お待たせしました(スライディング土下座)。
大まかな流れは決めてあるものの、細かいところまで考えず書き始めてしまったもので…。なかなかしっくりくる続きが思いつかず…こんなに時間がかかってしまいました。申し訳ありません…。
イーラは、考える。ギアに何をどう伝えるか、それが問題だ。
イーラは、アリシアーレンとの会話を頭の中で反芻する。
(アリシア様は、亡くなった旦那さんのことをずっと好きでいる…。それに、師匠として教える立場から、おかあさん感覚でもいて、恋愛対象に見ることはできない…。)
腕を組み、頭を傾ける。自然と尻尾がゆっくり左右に揺れる。
(アリシア様、ギアの好意は、自分が恩人だからだって言ってたな…。ギアも、やっぱり命を救われたご恩があるから、その気持ちもあるんだろうな…。いつも強く否定できていないよね…。)
うんうんと頭をひねっていると、遠くから誰かの声が聞こえてきた。
「おーい!おーーい!」
遠くからドスンドスンと重い足音を響かせて向かってくるのは、首輪とマントを着用したクマ。大きな荷物を背負っているようだ。
あれは、ロッドの魔獣、ルージだ。
「やっほー、イーラちゃーん!」
近付くにつれ、もう一匹いることが分かった。ルージの背負う荷物にしがみついていたのだ。ルージと同じ首輪とマントを着用し、さらには帽子まで被っている。
あれもロッドの魔獣で、タヌキのヌヌだ。
「ルージ、ヌヌ!」
イーラは小さな腕を必死に伸ばし、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。
ルージは減速してイーラに近付き、止まった。
「やぁ、イーラ。久しぶりだね。」
「いらっしゃい。今日はどうしたの?」
「この前の大雨の日、ヌヌを助けてくれたでしょ?そのお礼に来たの。あと、欠片石ができたから、そのお届けに。」
「アリシアさんはどこにいるかな?」
「こっちよ、ついて来て!」
イーラは、二匹をアリシアーレンがいる場所まで案内した。
「いらっしゃい、ルージ、ヌヌ。」
「こんにちは、アリシアさん。」
「こんにちは!」
ヌヌはルージの背中から降りた。そして、アリシアーレンの足元に来ると、アリシアーレンはかがんだ。
「アリシアさま、この間の雨の日、助けてくれてありがとうございました。」
深々と頭を下げるヌヌ。ルージもその後ろでペコリと頭を下げた。
「私は大したことはしていないわ。あなたが元気になって良かった。」
アリシアーレンは、微笑みながらヌヌの頭を撫でた。
撫でられて嬉しそうなヌヌだったが、はっとしてルージに目配せした。ルージは背負っていた荷物を下ろし、アリシアーレンに渡した。
「助けてくれたお礼に、皆で作った果実酒とジュースを持ってきました。」
「まぁ、ありがとう。」
アリシアーレンがさっそく荷物を確認すると、目を丸くした。
「あら…。」
鞄の中に腕を突っ込むと、何かを取り出した。
ぐっすり眠っているモルモット。ロッドの魔獣、リリだ。
「えっ?!」
「なんで?!」
「リリ?!」
アリシアーレンとイーラだけでなく、ルージとヌヌまで驚いている。ここにリリがいるのは想定外のようだ。
「ちょ、ちょっと、リリ!起きて!」
アリシアーレンの手の中にすっぽり収まっているリリの身体をつんつんとつつくヌヌ。
「ん~…?」
眠そうに目をこすり起き上がるリリ。周囲を見回し、アリシアーレン、ヌヌ、ルージ、イーラ、それぞれと目を合わせた。
「おはよ~ございます。」
気の抜ける声で挨拶をするリリ。
「おはよ~じゃないよ、リリ!!なんで、ここにいるの?!」
アリシアーレンの手から降りて、リリはヌヌの前に立った。
「ヌヌとルージがアリシアさまのとこ行くって言ってたから。」
「それで?!」
詰め寄るヌヌとルージ。
「リリ、イーラ会いに来た。」
リリはゆっくり頭を動かし、イーラに顔を向けた。
「やっほー。」
ゆったりとした動きで手を振るリリ。イーラはリリに駆け寄った。
「あたしに会いに来てくれたのは嬉しいけど、ちゃんとロッドさんか他の魔獣に言ってきたんでしょうね?」
「…言ってない、かも。」
イーラは頭を抱えた。
「あらあら…。」
アリシアーレンは苦笑した。
リリはぼーっとしたように宙を見つめていたが、何かを思い出したように声を出した。
「あ、でもダニエルが知ってる。リリ、ダニエルに、追加で持って行けってヌヌたちに言えって言われて、それでヌヌたちがここに行くって知ったから。」
ダニエルというのは、ロッドと契約している狼の魔獣だ。
「…何を持って行ってって頼まれたの?」
ルージが訊ねた。
「絵本。イーラの。」
「え、あたしのっ?」
イーラはウキウキと尻尾を振った。すでに家にある絵本は読んでしまったのだ。
しかし、ヌヌとルージはまだ厳しい顔をしている。
「…それはどこにあるの?」
その言葉にリリは口をぱかっと開けた。
「……あ。」
その様子で、リリがダニエルに頼まれたものを忘れてきたことを一同は察した。
第10章はまだ続きます。




