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2つの遺書  作者: jun
1/3

帰郷

 男は、テーブルに置かれた1通の手紙を見つめていた…。

 1人暮らしを始めて10数年…俺も33才になる。付き合ってる女性はいるが独身、母が40を過ぎてから産んだ子なので当然、母は70才を過ぎている。

もう、子供は諦めていた時にできた為か、母に溺愛されて育ったが、その反面ミステリー好きの母は毎日オヤツを隠してあり、母のヒントを元に探したり、お年玉を庭の何処かに埋めてあり、母の手書きの地図を見て×印を掘ったりと、とても楽しかったが制限時間がありそれを過ぎると、本当に貰えないなど厳しい所?もあったのを思い出す。

 19才の時に親父と派手に喧嘩して家を飛び出して以来、実家には帰っていないが、母には偽名で手紙を出し住所と、(ゴメン、大丈夫だから心配しないで‐天馬)とだけ書いておいた。ずっと、連絡は無かったので読んだかのかどうかは分からなかった。それから、程なくしてオヤジが死んだと、地元の友達から連絡があった事故だそうだ…が行かなかった。

そして、今日ポストにこの手紙が入っていて…色々と思いだして、ボ〜っと、していたのだった。

 どのくらい経ったのか…

「………帰るか…」と、呟いた。

手紙にあった弁護士に電話して、明日帰る事を伝えた。会社には法事で数日休むとだけ伝えた。

 実家は○○県にあり、夜光バスで帰る事にした。実家に近づくにつれ、記憶にある懐かしい景色が窓の外を流れてゆく。

ポケットから手紙を取りだし、もう1度見直した…

(便りが無いのは元気な証拠と言いますから、頼ってくるまでこちらから連絡しないと決めていましたが、全然頼ってこないから母さん寂しかったです。

本題に入りますが、この間、調子が悪くて病院に行ったら、末期ガンだと診断されました。余命半年だそうです。そこで、体の自由が利くうちにこの手紙を残します。

弁護士に言って私が死んだら出すように言ってありますから、この手紙が届いていると言う事は、私はもう死んでいるのだと思います。

これと言った親戚も居ないので、私が死んだあとできれば貴方に、この家に住んでもらえたらと思います。

しかし、このままではこの家を売って、すべて寄付する様に弁護士の柳原さんに渡した遺書に書いてあります。

そこで!天馬に最後の謎々を出したいと思います。小さい頃を思い出して、謎々を解いて母さんの遺書2を見つけて柳原さんに渡して下さい。遺書2を受け取り次第、最初の遺書は破棄するように言ってあります。

母さんの最後の遊びに付き合ってくれませんか?制限時間はこの手紙が届いてから1週間です!

ヒントは柳原さんに渡してあります。

では、お先に失礼 母さんより )

「…お先に失礼って………」

まだ、俺が小さかった頃の母さんのイタズラっぽい笑顔が浮かんできて……また、涙が溢れてきた…。

 バスを降りると、柳原さんに電話かけ今、駅に着いた事を伝えると迎えに来ると言ったのだが、少し歩きたいので…と断った。では、家の前で待っているとの事だ。

 記憶とは少し違っている所もあるが、懐かしい景色…

あの山・田んぼ……

あのお地蔵さん!…毎日あいさつしてたなぁ…。

変わんないなぁ…。お地蔵さんの前まで来ると

「久しぶり!」

と、久々に会った友達のように声をかけた。

細い道をしばらく歩いて行くと、記憶のままの実家が見えてきた。赤い軽自動車が止まっているのが見えた、たぶん柳原さんだろう。

 歩みを早めて車に近づいて行くと、向こうも気付いたのかドアが開いて、およそ軽自動車には似合わない180cmは在りそうな、茶髪にピアスをした男が姿を表した。

「……………」

あまりの予想外の事に言葉が出てこない…やっとの思いで

「……あの…」

と、発した…。

すると

「天馬さんですね!お疲れ様です」

と、爽やかに言ってペコッと頭を下げたのだった。

「あっ…やっぱり、柳原…さん?」

「ハイ!花井家の顧問弁護士をさせて頂いております、柳原です!以後、宜しくお願いします!………どうかなされましたか?」

「いやっ…あの随分若いな〜と思って…電話の感じで、もう少し上の方を想像していたんで…」

「いえいえ、もうすぐ45ですから電話の感じ通りで合ってるとおもいますよ!」

と、ニコッと笑顔を作ったが、それがまた幼く見え二十歳そこそこにしか見えない…

「またまた〜どう見ても俺より年下だよ〜」

「有り難うございます。…あっ、私の歳は置いといてですね、早速こちらを…」

と、鍵と封筒を取り出した。

「天馬さんが来られたら、お渡しするようにと」

鍵と封筒を受け取ると

「…では私、事務所に戻らなければいけないので、何かありましたらお電話下さればすぐまいりますので…」

と、ペコッと頭を下げると車に乗り込んだ。ドアを閉めようとして

「あっ、そうだ!」と、窮屈そうに顔をこちらに向けると

「制限時間は天馬さんが来てから、2日間だそうです!…あとは、封筒を見て下さい」

チラッと腕時計を見て

「明後日の12時ですね!頑張って下さいね!私、この家好きですから!」

バタンッ…と、ドアを閉めて車が動きだした。

 車を見送りながら、アレが俺より10以上歳上!?…からかわれたのか…?本当だとしたら、若さの秘訣は………

いやいやっ、若さの謎を解いてる場合じゃなかった…。

封筒を開けて、手紙を取り出した。

(貴方はとても優しい子なので来てくれると信じていました。手紙には制限時間1週間と書きましたが、早めに来てもらう為の嘘です!テヘッ!

柳原さんに聞いたかもしれませんが、貴方が着いてから2日間としました。

ヒント1

・必ずこの家の中にあります。

ヒント2

・いつでも、あなたの後ろに

最後に…ちゃんとした格好で来ましたか?寝癖や無精髭なんてだらしないのは、ダメよ!)


手紙を読み終えると

「…テヘッ…

って70過ぎたババアが使うか…?」

なんか、さっきまでの重苦しい気分が薄れて少し楽しくなってきた。

…たぶんそこまで計算しての、テヘッだったのだろうと思ったら自然と…

「やるなぁ!ババア…」

と、頬が緩んだ。 家を囲む様に植えられた目隠しと風避けを兼ねた樹木、

「変わらないなぁ…綺麗に手入れして…」

正面の2m程の木の間を通り

「…家もそのままだ……」

顔を横に向けると、犬小屋あった。

「うわぁ〜、コロコロの小屋までそのままかよ〜」

コロコロは、天馬が小学生の時拾って来て、高校3年まで飼っていた犬だ。コロコロしていたからコロコロと名付けた事を思い出した。

「捨てりゃいいのに…」

当時の俺は、もしかしたらそのうち、ヒョッコリ居るんじゃないかと思って捨てられなかった。寿命で死んで火葬までしたのだから、そんな事ないのは分かっていたが…。

 鍵穴に鍵を差し込み回した。

カチャッ…

古い木製の硝子戸を開けた。

ガラガラガラッ…

立てつけの悪さまでそのままだ。懐かしい独特の実家の匂い。

玄関に足を踏み入れた。

「…!!」

横で何かが動いてビックリした!

「…あぁ!そうだ!そういえば、あったなぁ〜この鏡!」

玄関に入って左側の壁に縦長の全身が映る大きな鏡、その上にブレーカー、左には靴箱

「毎朝、学校行くとき寝癖チェックしてたな…」

鏡に映った自分を見て、だらしなくは無いよな?髭は、夜光バスに乗って来たから仕方ない、寝癖は無し!…と、一通りチェックして

「母さん、ただいま…

…オヤジも…」

と、小さい声で言って玄関を閉めた。


 男は、テーブルに置かれた1通の手紙を見つめていた…。

 1人暮らしを始めて10数年…俺も33才になる。付き合ってる女性はいるが独身、母が40を過ぎてから産んだ子なので当然、母は70才を過ぎている。

もう、子供は諦めていた時にできた為か、母に溺愛されて育ったが、その反面ミステリー好きの母は毎日オヤツを隠してあり、母のヒントを元に探したり、お年玉を庭の何処かに埋めてあり、母の手書きの地図を見て×印を掘ったりと、とても楽しかったが制限時間がありそれを過ぎると、本当に貰えないなど厳しい所?もあったのを思い出す。

 19才の時に親父と派手に喧嘩して家を飛び出して以来、実家には帰っていないが、母には偽名で手紙を出し住所と、(ゴメン、大丈夫だから心配しないで‐天馬)とだけ書いておいた。ずっと、連絡は無かったので読んだかのかどうかは分からなかった。それから、程なくしてオヤジが死んだと、地元の友達から連絡があった事故だそうだ…が行かなかった。

そして、今日ポストにこの手紙が入っていて…色々と思いだして、ボ〜っと、していたのだった。

 どのくらい経ったのか…

「………帰るか…」と、呟いた。

手紙にあった弁護士に電話して、明日帰る事を伝えた。会社には法事で数日休むとだけ伝えた。

 実家は○○県にあり、夜光バスで帰る事にした。実家に近づくにつれ、記憶にある懐かしい景色が窓の外を流れてゆく。

ポケットから手紙を取りだし、もう1度見直した…

(便りが無いのは元気な証拠と言いますから、頼ってくるまでこちらから連絡しないと決めていましたが、全然頼ってこないから母さん寂しかったです。

本題に入りますが、この間、調子が悪くて病院に行ったら、末期ガンだと診断されました。余命半年だそうです。そこで、体の自由が利くうちにこの手紙を残します。

弁護士に言って私が死んだら出すように言ってありますから、この手紙が届いていると言う事は、私はもう死んでいるのだと思います。

これと言った親戚も居ないので、私が死んだあとできれば貴方に、この家に住んでもらえたらと思います。

しかし、このままではこの家を売って、すべて寄付する様に弁護士の柳原さんに渡した遺書に書いてあります。

そこで!天馬に最後の謎々を出したいと思います。小さい頃を思い出して、謎々を解いて母さんの遺書2を見つけて柳原さんに渡して下さい。遺書2を受け取り次第、最初の遺書は破棄するように言ってあります。

母さんの最後の遊びに付き合ってくれませんか?制限時間はこの手紙が届いてから1週間です!

ヒントは柳原さんに渡してあります。

では、お先に失礼 母さんより )

「…お先に失礼って………」

まだ、俺が小さかった頃の母さんのイタズラっぽい笑顔が浮かんできて……また、涙が溢れてきた…。

 バスを降りると、柳原さんに電話かけ今、駅に着いた事を伝えると迎えに来ると言ったのだが、少し歩きたいので…と断った。では、家の前で待っているとの事だ。

 記憶とは少し違っている所もあるが、懐かしい景色…

あの山・田んぼ……

あのお地蔵さん!…毎日あいさつしてたなぁ…。

変わんないなぁ…。お地蔵さんの前まで来ると

「久しぶり!」

と、久々に会った友達のように声をかけた。

細い道をしばらく歩いて行くと、記憶のままの実家が見えてきた。赤い軽自動車が止まっているのが見えた、たぶん柳原さんだろう。

 歩みを早めて車に近づいて行くと、向こうも気付いたのかドアが開いて、およそ軽自動車には似合わない180cmは在りそうな、茶髪にピアスをした男が姿を表した。

「……………」

あまりの予想外の事に言葉が出てこない…やっとの思いで

「……あの…」

と、発した…。

すると

「天馬さんですね!お疲れ様です」

と、爽やかに言ってペコッと頭を下げたのだった。

「あっ…やっぱり、柳原…さん?」

「ハイ!花井家の顧問弁護士をさせて頂いております、柳原です!以後、宜しくお願いします!………どうかなされましたか?」

「いやっ…あの随分若いな〜と思って…電話の感じで、もう少し上の方を想像していたんで…」

「いえいえ、もうすぐ45ですから電話の感じ通りで合ってるとおもいますよ!」

と、ニコッと笑顔を作ったが、それがまた幼く見え二十歳そこそこにしか見えない…

「またまた〜どう見ても俺より年下だよ〜」

「有り難うございます。…あっ、私の歳は置いといてですね、早速こちらを…」

と、鍵と封筒を取り出した。

「天馬さんが来られたら、お渡しするようにと」

鍵と封筒を受け取ると

「…では私、事務所に戻らなければいけないので、何かありましたらお電話下さればすぐまいりますので…」

と、ペコッと頭を下げると車に乗り込んだ。ドアを閉めようとして

「あっ、そうだ!」と、窮屈そうに顔をこちらに向けると

「制限時間は天馬さんが来てから、2日間だそうです!…あとは、封筒を見て下さい」

チラッと腕時計を見て

「明後日の12時ですね!頑張って下さいね!私、この家好きですから!」

バタンッ…と、ドアを閉めて車が動きだした。

 車を見送りながら、アレが俺より10以上歳上!?…からかわれたのか…?本当だとしたら、若さの秘訣は………

いやいやっ、若さの謎を解いてる場合じゃなかった…。

封筒を開けて、手紙を取り出した。

(貴方はとても優しい子なので来てくれると信じていました。手紙には制限時間1週間と書きましたが、早めに来てもらう為の嘘です!テヘッ!

柳原さんに聞いたかもしれませんが、貴方が着いてから2日間としました。

ヒント1

・必ずこの家の中にあります。

ヒント2

・いつでも、あなたの後ろに

最後に…ちゃんとした格好で来ましたか?寝癖や無精髭なんてだらしないのは、ダメよ!)


手紙を読み終えると

「…テヘッ…

って70過ぎたババアが使うか…?」

なんか、さっきまでの重苦しい気分が薄れて少し楽しくなってきた。

…たぶんそこまで計算しての、テヘッだったのだろうと思ったら自然と…

「やるなぁ!ババア…」

と、頬が緩んだ。 家を囲む様に植えられた目隠しと風避けを兼ねた樹木、

「変わらないなぁ…綺麗に手入れして…」

正面の2m程の木の間を通り

「…家もそのままだ……」

顔を横に向けると、犬小屋あった。

「うわぁ〜、コロコロの小屋までそのままかよ〜」

コロコロは、天馬が小学生の時拾って来て、高校3年まで飼っていた犬だ。コロコロしていたからコロコロと名付けた事を思い出した。

「捨てりゃいいのに…」

当時の俺は、もしかしたらそのうち、ヒョッコリ居るんじゃないかと思って捨てられなかった。寿命で死んで火葬までしたのだから、そんな事ないのは分かっていたが…。

 鍵穴に鍵を差し込み回した。

カチャッ…

古い木製の硝子戸を開けた。

ガラガラガラッ…

立てつけの悪さまでそのままだ。懐かしい独特の実家の匂い。

玄関に足を踏み入れた。

「…!!」

横で何かが動いてビックリした!

「…あぁ!そうだ!そういえば、あったなぁ〜この鏡!」

玄関に入って左側の壁に縦長の全身が映る大きな鏡、その上にブレーカー、左には靴箱

「毎朝、学校行くとき寝癖チェックしてたな…」

鏡に映った自分を見て、だらしなくは無いよな?髭は、夜光バスに乗って来たから仕方ない、寝癖は無し!…と、一通りチェックして

「母さん、ただいま…

…オヤジも…」

と、小さい声で言って玄関を閉めた。


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