リアカー
学校から帰って今日もログイン。
実は今日は金曜日。つまり明日は休みだから夜更かしが出来る。
部活も入ってないし好きなだけ『ザンシンファンタジー』が遊べる。
ログインして空を見るとまた何かのカウントが進んでいた。
『60/100』
お〜半分超えてる。何のカウントかは知らんが。
とりあえず鍛冶屋に入っておっちゃんに『リアカー』を作って貰いたい事を伝える。
ダンジョン内で作って欲しいのだ。もちろんモンスターが来ないと思う場所で伐採するし、モンスターが出たら私が身を挺して鍛冶屋のおっちゃんを守る。
鍛治「『リアカー』か…。確かにダンジョン内で作れば早いな。…よし!いっちょ作りに行くか!
うちの村のリアカーも壊れちまった所だし1台とは言わず何台も作るぞ!」
鍛冶屋のおっちゃんも意外と乗り気だったので早速、鍛冶屋のおっちゃんと2人で『粗悪な斧』片手にダンジョンへと入場する。
そして即座に2人で木を何本も伐採する。
そして5本目を切り倒して、鍛冶屋のおっちゃんが1台目のリアカー製作に取り掛かる。
鍛治「まずは嬢ちゃんのリアカーだ!」
ついでに私の名前も彫ってもらう様にリクエストする。
デカデカと目立つ場所に分かりやすい文字と、分かりにくい場所で小さな文字を注文。
これで仮に誰かに盗られても私のリアカーだと証明出来る。そんな事起こる訳が無いが念の為だ。
鍛治「そりゃ良い案だな!
昔に他の村や街のリアカーがわからなくなる事件もあったから村のシンボルマークは彫ってたが、本人確認の為に個人の名前を彫る事は無かったな…。よし!彫っとくか!
ついでに嬢ちゃんのにも村のシンボルマークを彫ってやる!これで俺が作ったって証明が出来る。
盗まれて、嬢ちゃんのリアカーを他人が使ってたら俺が直々にそのリアカー泥棒を騎士団に突き出してやる!」
そう雑談してる間にもリアカーは凄まじい勢いで出来上がっていく。早い早過ぎる!これがプロ!?
僅か10分で完成した。しかもご丁寧にリクエスト通りに私の名前と村のシンボルマークも彫ってある。
鍛冶屋凄い!ベータ版の時から思ってたけど改めて鍛冶屋の凄さに驚かされる。
私が次のリアカーの材料の為の木を5本切り倒すよりも先にリアカーが出来た。
鍛冶「どうよ、このリアカー。良い出来だろ?」
試しに動かしてみる。分かるのはダンジョン内でも楽に動かせる事。素晴らしい代物だ。
鍛治「おっしゃ!この調子でどんどん作るぞ!」
鍛冶屋のおっちゃんは元気に木の伐採を再開する。
しばらく切り倒していると突然木の陰から骸骨が現れる。
あの骸骨は『スケルトン』だ。骨なのに徒手空拳で戦う生粋のファイター。
雑魚枠のモンスターだが、謎の原理でバラバラにならないし、スケルトンが死ぬまで骨の部位破壊もできない、強いモンスターだ。
私は走り出す。そして先手の一撃。スケルトンの頭に粗悪な斧を叩き込む。
頭蓋骨に粗悪な斧が食い込む。スケルトンは頭蓋骨に食い込んだ粗悪な斧を抜こうとするが抜けない。
スケルトンは私を無視して粗悪な斧を抜く事に夢中になる。
その間に石の剣を取り出して、隙だらけのスケルトンを何度も斬りつける。
そしてスケルトンは何も出来ずに死んだ。この戦法はベータ版の時からやっている戦い方だ。この戦い方が1番楽だから。
スケルトンが居た場所には、私がスケルトンに食い込ませた粗悪な斧と、ドロップアイテムの骨が落ちていた。骨は1本だけでは無い、3本も落ちてた。
鍛治「へぇ…、嬢ちゃんメチャクチャ強いな…。
…次のモンスターが来る前に早く終わらせるか。」
粗悪な斧を拾って作業再開。ひたすら木を切り倒す。
凄い数の木を伐採しているが、ダンジョン内の木は時間が経てば復活する。
こうしてひたすら伐採して村の為のリアカーを5台作れた。私専用のリアカーも合わせて、鍛冶屋のおっちゃんは計6台のリアカーを作った。
鍛治「村用に5台もあれば充分だろ。」
鍛冶屋のおっちゃんも満足そうである。
そして最後の仕事であるリアカー運びを行う。
2人で3回に分けて持っていく。先に村用のリアカーを持っていく。
リアカーを複数台置くスペースはあるらしいのでそこまでダンジョンから引いて行く。
2往復して、特に問題もトラブルもなく4台のリアカーを置きスペースに持って行けた。
そして最後に村用のリアカー1台と私専用のリアカーを運ぼうと戻って来た時にトラブル発生。
私専用のリアカーにオオカミが乗っていた。
一度は追い払おうとしたが、全然動こうとしない。鍛冶屋のおっちゃんが抱っこしてリアカーから降ろしたが、すぐ私専用のリアカーに乗る。
鍛治「うーむ…。困ったな。
余程気に入ったのか全然退こうとしないな。それどころか無理矢理降ろしたら、また乗ったし。」
実はダンジョン内で住んでる野生動物は、プレイヤーやNPCに懐かない限りダンジョンから出られない設定だ。
このままオオカミごとリアカーを運んで、ダンジョンから出ようとすると、オオカミは謎の壁にぶつかって怪我をしてしまう。
オオカミをどうしようか悩んで、最終手段を取る。
それはさっき倒したスケルトンの骨。これをオオカミにあげてオオカミを私に懐かせる。
1本目、失敗。2本目、失敗。
ヤバい!骨があと1本しか無い!
とりあえず最後の1本をあげる。骨をあげるとハートみたいな物がオオカミの体から出て来た。
鍛治「お、これ懐いたぞ。これでこいつごとダンジョンの外に運べるぜ。」
オオカミが乗った私専用のリアカー運びながら、オオカミの名前を考える。
今日から君の名前は『ラクス』だ!今現在ラクスは私のリアカーで寝転がって楽してるからその名前だ。
ラクス「ワン!」
ラクスからの返事も聞いたところで、ダンジョンから脱出して、置きスペースにリアカーを置く。ラクスもリアカーから降りる。
長い作業だったから外はもう夜だ。
リアカー運びも終わり一息ついてると、空が一瞬明るくなる。なんだなんだと空を見る。鍛冶屋のおっちゃんとラクスも一瞬明るくなった空を見る。
空のカウントが進んでいた。
『100/100』




