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第3話 私のファンを発見しましたわ!


(い、いたぁーい。

足元から落ちたから、あ、足が粉々ですわ。

イタタタたー。

これ、戻った時、私の美しい足が太くなったり…するわけありませんわね。)


足以前に、落下の衝撃で、彼女は一度昇天していた。


「それにしても、ここどこですの?」

「君、生きてるの?」

「生きてますわ。」


真っ暗闇の中から元伯爵令嬢の他に声がした。


「よく生きてるね?」

「私が死ぬのは世界の損失ですもの。当然ですわ。」

「君…」


パタパタと音が聞こえる。

音の方を元伯爵令嬢が見ると、そこには――

コウモリのような羽が生えた一つ目の目玉が飛んでいた。

瞳孔は金色で、暗い中で光っていた。

元伯爵令嬢は、あんぐりと口をあけた。

それに気づいた目玉は、少し視線をそらせた。


「まぁ、あなた、どこから声が出てますの?」

「え?そこ気になる?」

「目だけなのに。不思議ですわ!」


元伯爵令嬢は動かせる上半身を揺らしている。

目玉を観察しようとしているようだ。


「面白いですわー。不思議ですわー。あなた、ここのモンスターですの?」

「うー、君が落っこちてくるまで、長い間寝てたみたいで…よく、覚えてない…」

「じゃあ、お名前は?」

「名前?名前は…」


目玉は困ったように羽をばたつかせた。


(ははーん。わかりましたわ)


「あなた、もしかして…」

元伯爵令嬢の言葉に、目玉は視線を忙しなく動かした。

「私のファンですわね?」

「は?」

「恥ずかしがること、ありませんわ。この才色兼備な私に惹かれてしまうのは仕方のないこと。私に、名前を、つけて欲しいんですのね?」

「いや、頼んでないし、ファンでもないし。」


彼女は上半身をもう片方の腕で支えながら、ビシッと手を示した。


「あなたのお名前は、ズバリ!目玉ちゃんですわ!」

「え、まんまだなぁ。嫌なんだけど。」

「ところで、君こそだれなのさ?」

「私?私は――」

回復した元伯爵令嬢は、すっと立ち上がった。


(あら、足場が思ったより悪いですわね。

ちょっとふらついてしまいましたわ)


態勢を直して、ポージングを決めた元伯爵令嬢は、胸に手を当てて尊大に答えた。


「ラファエラ・ヴァルディエ!ですわ!」

「ふーん。じゃあ、エラね。」

「ちょっと、勝手に私の愛称を決めないでくださいまし。」

「君だって、勝手に僕の名前、決めたじゃん。」

「じゃあ、何て名前なんですの?」


元伯爵令嬢の言葉に、目玉ちゃんはうっと黙ってしまった。

「ほおら、やっぱり!目玉ちゃんが気に入ってるんじゃありませんの。」

「いや、そういうわけじゃ…」


元伯爵令嬢はあたりをキョロキョロ確認した。


「真っ暗ですわねー。目玉ちゃんがうっすら光ってますけど、これじゃ道の確認もできませんわ。」

「君、魔術使えないの?」

「使えませんわ。」

「え?」

「私ほど完璧で才色兼備、頭脳明晰で完璧になってしまいますと、魔術なんて必要ありませんのよ。」


尊大に言う元伯爵令嬢をじーっと目玉ちゃんは見つめた。

「君、魔力がからっきしないね。」


目玉の言うことを無視して、元伯爵令嬢はポシェットから何やら取り出した。

「じゃじゃーん!ライトですわー。」

誇らしげに電源をONにすると、白い光があたりを照らした。


「って、なんですのここ?」

元伯爵令嬢の足元には、無数の骨、骨、骨――

骨が山のように積まれている。


「みんな、ここに落っこちてそのまま死んじゃうんでしょ。君も呪われてなかったら、即死だっただろうし。」

「まぁ。それで、誰も戻らないダンジョンリストにのってるんですのね。ここ…」


(ん?

ということは?)


「わ、私、この髑髏さんたちの上に寝転がっていたということですの!」

「というか、気づかなかったの?」

「な、なんか下にあるなーくらいにしか…」


(ちょっと、体をきれいにしたいですわね。

お風呂とか、探せばあるのかしら?)


あたりを見渡すと、道が伸びているのがわかった。


「行きますわよ!目玉ちゃん。」

「なんで、僕も?」

「私が、こんなところから出して差し上げますわ!さあ、私に、フォローミー!」


目玉ちゃんは考えた。

正直、記憶が本当にあいまいで、なぜ、自分が、こんな姿でここにいるのか。

いつからいるのかもよくわからない。

この姿ではうまく魔術も使えそうにない。


「仕方ないかぁ…」


目玉ちゃんは現状をとりあえず受け入れることにした。


(あら?

目玉ちゃんの頭の上…)


元伯爵令嬢は目をごしごしとこすった。


(今、目玉ちゃんの上に、うっすらあのハートが見えた気がしましたけど…

気のせいですわね。私、視力にも自信がありますもの。)


こうして、不老不死の元伯爵令嬢と目玉のパーティーは、ダンジョン004を進むことになった。


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