21話「しょっぱなから最強装備は卑怯だと思います」
「まあいいわ。そろそろ本格的な魔法の説明でもしようかな?ここでも魔素の周波数が大きく関係します。ザックリ言っちゃうと、魔素の周波数変えれば属性が変わるって感じよ。どの周波数がどの属性とか決まってなくて、コレばっかりは個人の差ね。だから出しやすいやつとか出しにくいのとかあるわけ。聖魔法とか闇魔法は適正者は少なめね」
いつの間にかメガネとホワイトボードを取り出している。
何でもありだな。
「魔法の授業はこんなもんかな?後は実践しつつ…あ!」
パンっと。手を鳴らし、いかにも思い出しました。という感じだ。
「ん?どうした?」
「いやーヌフフ。ヒ・ミ・ツです。ま、着いてきて」
「きもちわる」(はいはい。魔王様)
「逆よね!?」
そして、久しぶりにこの部屋を出ることとなった。
そういえばべロスがいないな。暇になって何処かへ行ってしまったか?
変なのに絡まれてないといいが…。
「で、どこ行くのよ」
「君君。私魔王様よ?魔王様にタメ口とか、他の部下見たらどう思うよ?」
あー…。
うん。俺が死ぬわ。
「以後気をつけます」
「よろしい」
そんなこんなでシェイナに連れ回される。
驚くことに、こんな自由に歩いている魔王に対し他の魔物は驚かない。
こいつ、普段から自由身勝手に生きてやがるな…。
そんなことを思いつつ歩き続ける。
やって来ましたお城の端っこ。
流石魔王城広いな。
カーンカーンと鉄を打つ音のする部屋。
鍛冶部屋ってところか?
「おい。例のものは出来ているか?」
「こ、これは魔王様!こんな所までいらしたのですか!?」
強面な筋肉隆々マッチョなおっちゃんがペコペコしてる。
「あー。よいよい。ワシは取りに来ただけだ。楽にせい」
「はっ!こちらです」
新品の漆黒の鎧と漆黒の双剣を取り出した。
「ふーむ…」
シェイナはソレを手に取る。
「うむ。流石の腕だ。では、もう一人分の方も頼むぞ?」
「ハッ!恐縮です!」
「おい。持て。戻るぞ」
ん?俺か?
「了解ですよっと」
軽いノリに鍛冶屋のおっちゃんはポカーンとしているが、見間違いだろう!
鍛冶部屋を出る時に
「まだ威厳あるのね」
とボソッと言ったら、首もがれたのは別の話だ。
「で、これはなんだ?」
「あ?報酬の一部よ。お前の武具だ。といっても、隊長仕様だけどね。隊長の武具が漆黒で統一してんのよ」
カッコイイだろ?とドヤ顔してくる。
厨二乙ってやつだな。
にしても漆黒は隊長の証ねぇ…。
最初に案内したあいつも隊長なのか?
「ん?ああ。あいつは一番隊の隊長だね」
わーぉ。最強君だったのかぁ。
「お、そうだ。どれだけ強くなったかスパーリングでもしてみよっか。ちょっと待っててねぇ」
てててーっと走っていってしまった。
思いつきで行動とか、まんまガキだよな…。
待つこと数分。
「えーっと…。一番隊隊長さん…?」
このお子さ魔王は…。
「こんなとこで遊んでいたと思えばなんですか魔王様?骨如きの相手をしろというのですか?」
「良いではないかキララよ」
キララとはまた似合わない可愛い名前だな。
「ま、魔王様!その名で呼ばないでください!」
「こやつはな、サキュバスからのなり上がりじゃ。サキュバスと舐めてかかるなよ?生半可な実力では一番隊隊長には成れぬ」
「そ、そのことまで!!!」
あー…。うん。シェイナの目が完全におもちゃを見る目になっている。
もしかしてだけど、女性とも男性とも取れぬ声は相手に舐められないためなのかもしれないな。
「い、いいでしょう…。この骨を粉砕すれば良いのですね?」
うーん…。魔王様といいこの隊長といい、残念なほど実力があるのか?
さて、この漆黒騎士ことキララさん。サキュバスのクセしてエロさ皆無だ。
鎧で全身包んでるからな。ボディラインなんてない。
っとそうだ。俺も貰ったんだ。装備させていただこう。
流石は城に鍛冶場を持つだけあるな。剣を持つと、長年使ってたようにしっくりくる。
鎧も流石の一言だ。いったいいつサイズを測ったのだろうか?
肉があればピッタリだな。ま、肉がないからブカブカなんですがね!
魔王様?これ発注ミスかい?なんかやっちまったみたいな顔してね?
「うわ…。やっちまった…」
あ、言ったわ…。
仕方ない。鎧はなしで行こう。
この双剣だけでも十分強いだろう。あれだろ?ようは当たらなければいいのだ。
「よし。待たせたな!」
結果は言うまでもないよな?
2秒と持たずに惨敗したさ。
-ステータス-
名前:ケルト
装備 武器:漆黒の双剣
体:粗悪な革装備
魔法:なし
だいじなもの:漆黒の鎧一式
名前:スカル
装備 武器:????
体:???
魔法:???
ノリとイキオイでいくぜぃ




