19話「魔王様の授業」
「それじゃあ続きからだな。そもそも、魔法って使える?」
おおーぅ。本当にこのままぶっ続けですか…。
「はい質問」
「ではケルト君どうぞ」
「魔王業務はよろしいのでしょうか?」
「問題ない」
と、言いつつ目は泳いでいた。
あーうん。休憩出来るわ。
「了解了解。あー…。で、魔法だっけ?正直まだ使えない。魔素の認識ってのは出来たんだが、コントロールがまだ出来ていない」
「おっけー。その辺ね。んじゃさ、手出して。パーでね」
言われるまま、手を出す。
シェイナは俺の手を握る。
「んじゃ行くよー」
そう言うと同時に、俺の身体に激痛が流れた。
「ガッ…!?グッ………」
「これ、上手いこと受け流してね。下手すると死ぬからね☆」
そう言って止めた。
「こ、こういうのは…。先に言え…」
そのままプツンと意識は途切れた。
「はーい。休んでる暇はないですよー」
身体の傷を癒され、強制的に立たされた。
こいつは鬼か!いや、魔王か…。
「せめてどうするか言ってくれ…」
「だから、上手いことコントロールして受け流すんだって。後は身体でなれ…。あ、身体に教え込んでやるぜ?」
遊び感覚で殺されたらたまったもんじゃないな…。
「よーし!じゃあ第二陣行くよー!」
なんど気絶をして、何度起こされたか…。
気が狂いそうになるな…。
だが、なんとなく感覚は掴んできた。
身体に入ってくる異物感。シェイナの魔素が何となくわかった。
この魔素が俺の身体をメチャクチャに駆け抜けている。
これを上手いことすればいいんだろ?
ま、無理なんだけどね…。
「あー…。ダメだこりゃ。流石にこれ以上やったら死んじゃうかもだし一回中断しようか」
俺もしては掴んだ感覚を離したくないが、死んだら元も子もない。
「そ、そうか…。ふぅ…。じゃあ休憩に…」
「お前って武器何がいい?」
あーそっかー。休憩ないもんねー。
「あ、はい。とりあえず普通の直剣。あ、いや。直剣を2本くれ」
どうせ練習だ。ロマンに走っても良いだろ。
「おー。二刀流とかカッコイイじゃん。ちょっと待ってね~」
シェイナは何も無いところから直剣2本を取り出した。
何でもありだな…。
「私の獲物はこれね」
シェイナも同じような直剣を1本作り出した。
「これ、本物そっくりだけ、当たっても死なないから。じゃあ始めようか。遠慮せず、殺す気で来ていいよ」
「それじゃ遠慮なく」
右の剣を振り上げ斬りかかる。
「はいどーん」
カウンターに左脇腹を斬られた。
「イッデェェェ!!!」
めっちゃ痛いじゃないか!!
ゴロンゴロン転がる骨。
「言ってなかったっけ?死にはしないけど、痛みはあるよ」
こ、こいつ…。
「とりあえず、今どんなもんなのかわかったから、次からは調整してあげるね」
その言葉通り、ギリギリ勝てないぐらいまで強さが落ち着いた。
「ほーら。へっぴり腰にならない。視野をもっと広く。なんのための2本だー」
かるーく言うシェイナと違い、コッチはいっぱいいっぱいだ。
「まあいい動きになって来たかな?じゃあコレは?」
シェイナの振りに合わせ剣でガードをすると、シェイナの正拳が飛んできた。
「グハ!」
「ほーら。武器だけ見てりゃいいってもんじゃないのよ?」
「りょ、了解…」
逆に言えば、俺も武器意外を使えばいいんだろ?
右で降る。避けられる。避けた先に左で追撃。剣で受けられる。正拳が来るのを避け、蹴りを入れる。
「あー…。言われた事をやるのは良いんだけどね。もうちょっと上手くやろうか?」
スパーンと蹴りを入れた右足が斬られた。
待ってましたとばかりに、足はべロスに持って行かれた。
「おっとやらかした。仕方ないなぁ…」
流石に休憩させてくれるのか?
「魔法の練習やろっか?」
ニッコリと言われた。
俺死ぬんじゃね?
あれから二、三日は経過しただろうか?
近接戦闘の技術は上がったと思う。
だが、魔素のコントロールは進展が薄い。
「センスない?」
「うるせぇ」
また身体に流される。
コレをコントロールして…。
「わん!」
べロスが肋骨を持っていく。
折れた所から行き場を無くした魔素が流れ出た。
「おっとあぶない」
シェイナがべロスを救出した。
「あ、危ないじゃないかべロス」
ん?今の感覚…。何かわかった気がするな…。
てかべロス。魔王の魔素の染み込んだ骨なんて食べて大丈夫なのか?
美味そうに食ってるが…。
まあ、何かあるならシェイナが止めるだろ。
「よし。次行ってくれ」
「おうともさ。さ、ワンチャンは向こうね」
魔素を流される。
さっきすべて流れ出たように…。
流れ出る穴を作れ…。
よし。魔素が動く感覚があるぞ!後は体外へ流し…。
流れを掴んだと思った。だが、次の瞬間右腕が吹き飛んだ。
「あーあ。変に力加えて溜め込むからぁ。ま、でもやっと進歩したじゃん。でもこれじゃあ魔法も近接戦闘も出来ないね。仕方ない。治るまでは休憩」
それを聞くより早く、また意識を手放していた。




