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5話 迷って聞いて、体育委員会

五日間連続更新の一日目です。

この前の、4話の内容が少し変わっているので、そちらも確認してもらえるとありがたいです!

「迷った」


 大仁の頭にはまだ、生徒会室の場所と自分の靴箱、自分の教室、運動場くらいしか記憶されていなかった。

 生徒会能力に学校地図表示がほしいと思いつつ、武留会長の言葉を思い出す。


 ======================================================================================


「今から戦える委員会なら、うってつけな委員会があるぞ」

「何委員会っすか!」


 武留会長の肩をがっしり掴む。

 つかまれた肩が少しきしんでいるように感じるが、気のせいだと、武留会長は思い込むことにした。

 人間の力できしむ肩がどこにあるだろうか。いや、ないだろう。


 武留会長は少々顔を引きつらせながら言った。


「体育委員会だよ。なかなかに好戦的な人たちだからね。

 この前、逸勢はやなりを運ぶ途中で見た人たちも、きっと体育委員会にやられたんだろう。

 彼女、彼らの売り文句は、『いつでもきやがれ! 不意打ち勘弁!』だからな」


 ここまで言って、さすがに肩に限界がきたようで、大仁の腕を叩く。

 大仁はそれでようやく手の力を抜き、出口のほうに歩く。


「で、その場所はどこっすか?」

「体育館近くの――」

「あざっす!」


 能力で扉を開けて、シュタッと飛び出していく。


「って、まだ正確な場所を言ってないぞー! おーいおい!」


 少しなで肩になってしまったものを定位置に戻し、叫ぶ。

 しかし声は届かなかった。


「ま、これも試練って事でいいかな。

 大仁くんには期待しているから、体育委員長あいつにみっちり絞られるといい」


 席について、天井を仰ぐ。

 しかし急に半分立ち上がって


「あいつ、手加減できるのか?」


 と、心配そうに一点を見つめる。

 そして、また腰を落ち着けて


「委員長なんだから、さすがにそれはやってくれるか」


 などと、悪いクセである投げ出しをした。

 しかし投げ出したのをもう一度拾い


「やっぱり、追いかけよう」


 そう言って、あわただしく出て行った。


 ======================================================================================


「ちゃんと最後まで聞くべきだったなぁ……。

 まさか体育館にすらたどり着けないなんて。

 俺って、もしかして方向音痴?」


 廊下のど真ん中で仁王立ちながら頭を抱える。


「もうちょっと歩き回ってみるか。

 その途中で誰かに会ったら、体育委員会の場所を聞こう」


 呟きながら角を曲がった時、誰かにぶつかってしまった。


「あ、すみません!」


 即座に謝る大仁。


「いやいや、こちらこそよそ見をしていて……。

 おや、あなたは入学式の時の、気絶くん?」


 その言葉に苦笑して顔を上げる。


「それは忘れてほしいっす……って、あなたは、新入生挨拶の!」


 一見してこれといった特徴がない外見をしている。

 だがしかし、なぜか忘れられない妙な雰囲気を持っている青年。


冬蔵ふゆくら 嗣人つぐとです。

 あの時は緊張しちゃって、周りが全然見れなかったけど、君のお陰で緊張がほぐれたよ。

 皮肉なことに、その緊張のお陰で、会長さんの不意打ちを逃れたんだけどね」


 屈託のない笑顔を浮かべる。


「なんか……別人みたいだな。

 壇上であんな立派なことを言ってた人だとは思えない……」


 その言葉に照れくさそうに頭を触る。


「あはは……。よく言われるんだよね。

 二重人格なんじゃないかって。

 でも、そんなわけじゃなくて。

 俺、すっごい緊張しちゃう性質たちでさー。

 ああいう場になるとガッチガチになるんだよ。

 だから、あんな感じにね……」

「そうなのか……。あ、そうだ!」


 大仁は急に思い出し、体育委員会の部屋への道を尋ねる。


「体育委員? ああ、それならこの先の階段を下りて、体育館に一番近い部屋がそうだよ」


 丁寧に、なおかつ簡潔に教える。


「なるほど! ありがとな!」


 駆け足で嗣人つぐとの横を通り抜け、振り返りながら言う。

 それに笑顔で手を振って答え、大仁が見えなくなると学ランを翻した。

 学ランの胸元には、まわりがギザギザでそこに『風』と彫られている委員会章が付けられていた。

 その中心に、赤く射るような光を放つ、ルビーがはまっていた。

 そして、ルビー以外は、金色だった。

 その金色の委員会章を光らせながら、顔を軽く下げて、表情が読めない状態で歩き去っていった。



「ここか! わかりやすかったよ!」


 教えられた道を進んでいく途中でポスターを発見し、そのポスターの指示する方向に進んで来たのだ。

 その部屋の扉の横には、ご丁寧にも大きな字で、体育委員会と書かれた看板があった。


 その看板の前でいつものストレッチをする。

 そしていざ、ノックなしで扉を開け放とうとした時、横から声変わりしていない、高めの声で話しかけられた。


「よう! 気絶の兄ちゃんや! 俺らの委員会に用事かい? それとも、気絶しに来たのかい?」


 話しかけられたというよりは、軽くケンカを売られているような感じだ。

 声のした方向を見ると、身長が低い、活発そうな男子が一人。

 その斜め後ろに、同じくらいの身長で、口が大きい男子が一人。

 そしてそして、その二人の後ろに、二人よりひとまわり大きい男子が一人いた。


 大仁は生徒会能力を発動し、ステータスバーを見る。

 そこで確認した事で三人に共通したのは、白水しらみずという苗字、名前の二文字目に『衡』が入ること。

 そして、体育委員会所属という事だった。


「あんたたちは、兄弟か?」

「そうともよ! 俺は白水しらみず 秀衡ひでひら! 末っ子だ!」

「そしておれが次男、白水 基衡もとひら!」

「俺は白水 清衡きよひら


 最初の二人はやかましい感じだが、最後の清衡は、冷静といった感じだ。

 学年を見ると、秀衡、基衡は一年生だが、清衡は二年生だった。


 反応に困って、とりあえず仁王立ちしておく。

 すると、また秀衡があおってきた。


「で、気絶の兄ちゃんや! 三対一のこの勝負、乗る(・・)かい?」

「な、三対一!?」

「そうだよ! でも、これで勝ったら、ポイントいっぱい入るだろうなー。

 生徒会長も喜ぶだろうなー!」

「ポイント……?」

「そうだよ? まさか、知らないのかい!? まあいいんだけど!」


 ポイントのことをしっかり思い出す前に、言葉を続けられた。

 勢いがすごい。

 完全に会話のペースを、秀衡ひでひらに持っていかれている。

 さらに言葉は続く。


「ここで勝負に乗ら(・・)ないのは、男じゃないよ!

 乗って(・・・)なんぼでしょ!」

「そ、そうか……? いや、確かにそうかもしれない……。

 いいや、そうだな! 迷う必要は無い!」


 何かに導かれるようにその決断に至る。


「よし、その勝負乗った(・・・)!」


 一瞬、秀衡ひでひら基衡もとひらが、ガッツポーズを交わす。


「じゃあ、三対一で。いっくよー! 戦闘用意……始めッ!」


 瞬時に飛び出した基衡もとひらの拳と大仁の拳が、すれ違った。

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