配達するやつ
「以上でよろしいでしょうか? お待ちくださーい」
注文を終えた俺たちは無敵だ。そんな顔をする彼に俺は微笑み、言葉をかける。
「最近何か面白いことあった?」
「バイト始めたんよな」
「いいじゃんどんなやつ?」
「飯運ぶ系のやつなんだけど、この前の家まじできつかったわ」
「面倒な人とかいるからな。切り替えてこう」
「百階建てでさ、エレベーターなかったんよね」
「不便すぎる! てか違法!」
「おかげで階段よ」
「よく登ったね! 階段はあってよかったね!」
「運んでたのがかき氷でさ」
「溶けるやつ! 店頭で食べよう!」
「俺に言われても困るわ」
「言ってない! お前には!」
「水届けるわけにもいかないじゃん?」
「そうだけど、届けられる方にも責任はあるな」
「走ったよね。階段を。猛暑の中」
「いけたん?」
「溶けたけど?」
「だろうね! 前提が無理だったね!」
「階段の途中で急に視界が暗くなってさ」
「怖すぎる! 普通に労災だろ!」
「気がついたら注文受けたとこに時間戻ってた」
「怖すぎる! 事実だったらこっちの方が怖い!」
「もっかい行ってみたらさ、めっちゃ違和感あったんよな」
「時間戻ったことについてではなく!? 感じるの遅くない!?」
「同業者でクラス作れるくらいたむろしてたんよね」
「確かに謎! ってか全員届けれなくて困ってそう」
「で、話しかけられたわけ。『この世界で何回目?』って」
「時間戻ってるやつ他にもいんのかよ!」
「怖かったから無視したんだけど」
「時間戻ったことについては怖くないんか!?」
「あのときに戻んないかなぁって思うことあるじゃん? 叶ったじゃん? 嬉しいじゃん」
「あるけども! もっと大事な時に戻ろう!」
「ピザにチーズ乗せ忘れたときとかな」
「割りとどうでもいい! そもそも忘れないし!」
「ふらふらしてたら気づいたんよな。配達ボックスあるじゃん」
「食品だけど!? 溶けるけど!?」
「入れて帰りました」
「やばいやつすぎる!」
「って冗談うけると思う?」
「俺に聞くな!」
「次のは本当のことなんだけど」
「はい」
「ピンポン押したら取りに来てくれたんだよね」
「百回から!?」
「お待たせしましたー。ティラミスですー」
「若干凍ってね?」
「エレベーターあるんだろうな」
こうして俺の待ち時間は消えてしまった。
てか、この飯うま。帰ったらレビュー書こ。
凍ってるくらいが美味しかったりもしますね。
次回投稿は3/31(火)7:00を予定していますよ。




