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85. 真実

「その者を牢獄へ護送せよ。」


エセンビア伯爵の声が広場の端まで鮮やかに響き渡った。


伯爵の言葉が終わると同時に、護衛兵たちが一糸乱れぬ動きを見せた。壇上の片隅にへたり込んでいたニルバスの手首に鉄の手錠がかけられた。


「放せ、放せよ···! 俺は正当な伯爵閣下の代理だったんだ···! 俺がいなければこの街はどうなるんだ···!」


しかし、彼の叫びは泥濁りに落ちた水滴のように、すぐに消え去った。彼を見つめる群衆の眼差しには、一片の同情も残っていなかった。


壇上の隅に崩れ落ちたまま、すでに散りゆく灰のように消えつつある自身の権勢を、最後まで握りしめようともがくその姿だけが、哀れに残っていた。


その後ろで、伯爵は壇上の一人で立ち、自分を取り囲む数千の市民たちをゆっくりと見回した。


その眼差しには、英雄の自負も、君主の威圧もなかった。


ただ、深く反省する人間の真剣な視線だけが込められていた。


「これまで私は···フルベラにあまりにも疎かだった。」


その言葉は自分自身への呟きのように低かったが、全員に明確に聞こえた。


「表向き街は生きていたが、私はその中で何が腐敗しているのかをきちんと見ていなかった。フルベラは伯爵家の名の下に統治されていたが、実際私は市民たちの生活を細やかに見守っていなかった。」


伯爵は一歩前に進み出た。


濃い赤のマントの裾が足元を掠め、風に翻った。その上に刻まれた金色の文様が陽光を受けて輝いた。


「しかし、今日私は自分の名を賭けて誓う。この街にニルバスのような者が二度と現れないよう、徹底的に守り、世話し、責任を果たす。私のエセンビアの名の下に、フルベラは新たに立ち上がるだろう。」


その言葉に、広場のあちこちから拍手が沸き起こった。


最初はためらっていた市民たちの手拍子の音が、次第に力を増して広がっていった。誰かが低い声で叫んだ。


「伯爵閣下万歳···!」


「エセンビア伯爵万歳!」


「エセンビア、エセンビア!」


広場は次第に大きくなっていく歓声に染まり、人々の声が波のように混ざり合い、一つの音を作り出した。


市民たちが叫ぶ伯爵の名は、単なる称賛ではなく、彼への期待と信頼に満ちて響き渡った。


その歓声の中で、一人の男が前に進み出た。


濃い夜色の外套を羽織った男。イヒョンだった。彼は風が吹いても揺るぎなく、落ち着いた足取りで近づいてきた。


彼が壇の下まで近づくと、伯爵が彼を見下ろした。


イヒョンは再び頭を下げて口を開いた。彼の声は低く、重厚だった。


「閣下。一つお願いがあります。」


伯爵の眉がわずかに上がった。


数多くの人々の前で伯爵に堂々とお願いをする彼を眺める伯爵の表情には、驚きよりも好奇心が滲んでいた。


「君がイヒョンだったな? 君がこの一件を主導したと聞いたよ。この大勢の群衆の前で伯爵に願い事とは。街を危機に陥れた者を裁くようにした者に報いるのは、私だけでなくこの街全体の義務でもある。」


伯爵は市民たちを一度見渡した後、再びイヒョンに視線を固定した。


「その願い、私が叶えられるものなら何でも応じよう。言ってみたまえ。この街を救った者よ! 君が望むものは何だ?」


伯爵の声は柔らかかったが、その中には「真剣に傾聴する」という権威者の約束のような敬意が染み込んでいた。


イヒョンの握りしめた拳に、軽く汗がにじんだ。彼は短く息を整え、ゆっくりと広場を見回した。


数え切れない顔たち、瞳たち、希望と驚きが混ざり合った市民たちの表情たち。


その言葉が続く直前、広場は再び静寂に包まれた。


人々は息を潜め、耳を澄ました。空を掠める風さえ、その瞬間だけは止まったかのようだった。


「閣下。」


イヒョンの声は低いが、確固たるものだった。


「フルベラの分裂の歴史について、ご存知でしょうか?」


その一言で、広場の空気が一瞬停止したかのように感じられた。誰もが知っているが、敢えて口にしない、フルベラの暗い面が、数千の市民の前で異邦人の口から流れ出た。


エセンビア伯爵の眉がわずかに歪んだ。


彼は壇上からイヒョンをじっと見下ろした。


そして、すぐに軽く頭を振った。


「詳しくは知らないな。」


伯爵は息を吸い込み、ゆっくりと吐き出しながら言った。


「報告書には衝突と紛争があったとだけ記されていた。具体的にどんな衝突と紛争なのか、細かく書かれていなかった。君がこう言うほど重大なことなのか? 私があまりにも疎かだった。再び謝罪する。」


彼の口調には、君主の威厳ではなく、責任者の後悔が染み込んでいた。


イヒョンは頭を軽く下げた。


「閣下。僭越ながら···フルベラの過去についてお話しするのは、この糸くずのように絡まった問題を解くためには、必ずその根元から正さなければならないからです。」


「話してみたまえ。」


「ニルバス一人を処罰したからといって、この街の病弊がすべて消えるわけではありません。フルベラは依然として分断されています。その亀裂は、オルディンが残した業績と、それを継ぐ商団たちの間に深く食い込んでいるのです。」


広場にいた人々の何人かが、互いにちらりと視線を交わした。


『オルディン』という名前が言及された瞬間、古い記憶が伯爵の頭の中に浮かび上がった。


「その名前を···今になって口にする人がいるのか。」


誰かが呟いた。


イヒョンは彼らの反応をあえて無視もせず、強調もせず、言葉を続けた。


「オルディンは生前、この街の物流を主導し、均衡を保っていました。彼がいたからこそ、物資と共に信頼が街の中に積み重なることができたのです。しかし、彼が突然世を去った後、残された商団たちは方向を失いました。」


伯爵は目を細め、静かに頷いた。


イヒョンの言葉は、単なる事実の羅列ではなく、分断の本質を正確に突いていた。


「今、フルベラはオルディンの影の下で彷徨っています。私は彼の死に絡んだ誤解を解き、商団たち間の信頼を蘇らせなければ、フルベラの未来はないと見ています。」


伯爵の眼差しが鋭くなった。


しかし、そこに宿る感情は疑念ではなかった。


「その言葉を口にした以上、君は解決策を握っているということだな。」


彼の低い声が広場に響き渡った。


「問題を指摘する者より、解決策を提示する者に私はより注意を払う。」


伯爵の気迫にイヒョンは軽く息を吸い込んだが、彼の表情は依然として安定していた。


彼の言葉は、予め準備されたもののように胸からゆっくりと流れ出た。


「その通りです、閣下。しかし、この話を伯爵お一人にだけお伝えするのでは不十分です。」


イヒョンは広場を見回した。


「この話は···この街に住むすべての市民たちが一緒に聞くべきです。この分断の時代を終わらせるためには、街の市民たち全員に真実が伝えられなければならないのです。」


伯爵は興味を帯びた視線で彼を眺めた。


そして、短い沈黙の末に、ゆっくりと口を開いた。


「ふむ···そう言う者は珍しいな。通常、私に何かを求める者たちは密かに自分の利益を掻き集めようとする者たちだが、君は彼らとは明らかに違うようだ。話してみたまえ、イヒョン。君が言うこの街に根付いた分断を断ち切る方法を。」


壇上にある伯爵の赤いマントの襟が風に揺れた。


広場を囲む沈黙がさらに重くなった。人々は息を潜めてイヒョンを注視していた。


イヒョンはゆっくりと頭を上げ、周囲を一度見回した後、視線を伯爵に向け、口を開いた。


「残念ながら、オルディンが死亡した後、残された商会は二つに分かれました。ルカエール商会とエスベーロ商会がそれです。二つの勢力がそれぞれの方法でオルディンの後を継ごうとしたのですが…」


イヒョンは言葉の末をぼかした。


まるで古い傷を再び触れるかのように、一瞬彼の唇がわずかに歪んだ。


すぐに言葉を続ける前に、彼は短く息を整えた。


「その分断は発展のための競争ではなく···不信によって歪み始めたのです。」


壇上に立つエセンビア伯爵は静かに腕を組んだ。


彼の表情は依然として落ち着いていたが、眼差しはより深くイヒョンを貫いていた。


「オルディンの死後、各商会は互いにその死に責任があると信じました。その誤解は解かれないまま十数年間積み重なり···その結果が今の分断です。物流は滞り、信頼は崩れ、街は衰退しています。」


イヒョンの言葉に広場の雰囲気がゆっくりと揺らぎ始めた。


商会商人たちの何人かは囁き合いながら互いを見やり、一部の市民たちは驚いた様子で頭を上げた。


「その言葉を口にしたということは、」


伯爵が口を開いた。


声は低かったが、妙に鋭かった。


「君がその誤解を解く手段を持っているという意味に聞こえるが···合っているか?」


イヒョンは頷いた。


彼の表情は厳しく、その眼差しは以前よりもはるかに深くなっていた。


まるで長らく隠してきた秘密を明かす直前の人のように、慎重で決意に満ちた眼差しだった。


「その通りです。私は···オルディンの死に絡んだ真実を知っています。その真実は、二つの商会が抱いている怒りと不信を終わらせる鍵です。そして、私はそれを解くためにこの場に立ったのです。」


伯爵は短い沈黙を守った。


そして、ゆっくりと視線を横に逸らした。


伯爵がいる壇上の左右に、ルカエールとエスベーロ商会の代表たちがそれぞれ座っていた。


二人の顔には、それぞれ異なる色の緊張感が漂っていた。


ルカエールは目を吊り上げ、イヒョンを鋭く睨みつけていた。一方、エスベーロは緊張した表情で腕を組み、彼をじっと見守っていた。


しかし、二人は一言も発さなかった。


伯爵は再びイヒョンに向かって視線を戻した。


その眼差しは今、微妙に変わっていた。


単なる好奇心でも、統治者の冷徹さでもなかった。


一つの街の運命が根底から覆されるかもしれないという直感がよぎったのだろうか? 彼の顔に表れた表情は、この事案の重みを悟った指導者の顔だった。


「では、話してみたまえ。オルディンの死の背後に隠された真実が何なのか。」


伯爵の言葉に、広場が再び静まり返った。


イヒョンはゆっくりと足を運び、壇の下に立ち止まった。


「オルディンは暗殺されたわけではありません。」


言葉を終え、イヒョンはゆっくりと右手を上げた。


その指先が、壇上に座っている一人の人物を指し示した。


「あそこにおられるエスベーロ団長は、オルディンを暗殺したという濡れ衣を着せられてきました。」


イヒョンの言葉が終わると同時に、壇上に座っていたルカエールが勢いよく立ち上がった。


「それは濡れ衣ではなく···明らかな事実です!」


声は刃のように鋭く、眼差しは怒りに燃えていた。


「エスベーロが···師匠を害したのです! この街の誰もが知る真実です!」


彼は袖を振り払いながらエスベーロを指さし、イヒョンを厳しく睨みつけた。


その瞳は感情を抑えきれず、不安定に揺らめいていた。


その瞬間、広場が再びざわつき始めた。


街の民たちは低い声で囁き合い、互いに視線を交わし、何人かは同意するように頷いた。


エスベーロはじっと座ったまま動かなかったが、彼の表情には感情を無理に抑え込んでいる気配が歴然としていた。


「これは何の話だ···? あの長い歳月の真実を覆そうというのか?」


誰かが広場の片隅で呟く声が聞こえてきた。その声は疑念と好奇心が混ざり合ったようだった。


その時、エセンビア伯爵が視線を横に移した。


「ルカエール。」


伯爵は柔らかく、しかし決して軽く見えない口調で言った。


「今は···最後まで聞いてから言っても遅くないと思うが。席に着きたまえ。」


ルカエールは唇を噛み、拳を握りしめ、しばらくして無理にため息をつきながら席に体を沈めた。


彼は依然としてイヒョンを厳しい目で睨みつけていた。




読んでくれてありがとうございます。


読者の皆さまの温かい称賛や鋭いご批評は、今後さらに面白い小説を書くための大きな力となります。


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