23. 針とガラス瓶
イヒョンとドランはドランの家に到着すると、急いでカレンを部屋に運んだ。
「これから急いで準備しなければならないものがあります。銀でできた小さくて鋭い針、非常に細くて中が空洞の構造でなければなりません。注射液を静脈に注入するための管です。これは絶対に明日の朝までに完成させなければなりません。」
イヒョンは紙の上に素早く注射針の絵を描き始めた。
「そして、これらも絶対に必要です。」
イヒョンは再び鉛筆を手に取り、奇妙な形の容器たちを次々と描き加えた。
少し突き出た注ぎ口に穴が開いた鋭いシリンダーと押し棒。その横には広く丸い入り口のビーカー、細長い入り口と三角形の胴体を持つフラスコ、複雑な曲線が絡み合った蒸留フラスコ、そして細長くて狭い試験管とガラス棒まで。
彼は指先で一つ一つを指しながら、マリエンを見つめた。
「注射器、ビーカー、三角フラスコ、蒸留フラスコ、試験管、ガラス棒。これらすべてをできるだけ早く…いえ、絶対に明日までに完成させなければなりません。」
マリエンは設計図を受け取り、力強く頷いた。
「針は銀細工師や貴金属職人に依頼すればいいでしょう。そして、ガラスの容器は熟練したガラス工芸師なら十分に作れるはずです。」
「ガラス工芸師なら知り合いがいます。アンジェロという人で、腕がいいんですよ。」
ドランが口を挟んだ。
「銀細工ならセベールが上手くやってくれるよ。」
「でも、お金があまりないんです。あの人はけっこう高い値段をつけるんじゃ…」
マリエンは躊躇した。
物資の依頼がうまくいくかどうかも不確かな状況だったが、費用を心配するマリエンに、イヒョンがきっぱりと言った。
「とりあえず依頼してください。お金のことは後で考えましょう。まず品物を受け取り、代金は後で払うと言ってください。」
「はい、わかりました。」
マリエンはイヒョンが描いた設計図を胸にしっかり抱え、急いで外へ飛び出していった。
太陽はかなり高く昇っていたが、コランンの朝は依然として肌寒く、冷たい風が吹き寄せていた。
店々は一つまた一つと扉を開け始め、それぞれ朝の準備に追われていた。
マリエンは足を止めなかった。
広場へと続く大きな路地から少し外れた狭い路地裏、セベールの貴金属細工店「シルバーフェアリー」の看板が風に揺れていた。
カレン(칼렌)을救わなければならないという一心で、マリエンは息を切らしながら店の扉まで駆けつけた。
「すみません! いらっしゃいますか?」
彼女はためらうことなくドアノブを力強く引いた。
小さく澄んだ鈴の音がチリンと響き、木の扉が勢いよく開いた。
部屋の中では銀を打ち鍛えるハンマーの音が規則的に響き渡り、鋭い金属の匂いが鼻をついた。
陳列台の奥では、白髪が目立つ男が小さなハンマーを握り、作業台に座っていた。彼の作業台の上には、まだ手つかずの貴金属の欠片が乱雑に散らばっていた。
扉が乱暴に開く音に、ハンマーを打つ手を止めたセベールが、顔を上げ、拡大鏡越しにマリエンを見つめた。
「朝早くから何の騒ぎだ? まだ店を開けていないんだぞ。」
マリエンは息を荒げながら、セベールに向かって必死に叫んだ。
「お願いします…お願いしたいことがあります。今でなければ…手遅れになってしまいます!」
彼女の目元には切実な思いが滲み、陳列台をぎゅっと握る手は震えていた。
マリエンはイヒョンが描いてくれた針の設計図をセベールに差し出した。
「この絵の通りに作ってください。」
「中が空洞で、非常に細い銀の針です。明日の朝まで絶対に必要なんです。」
セベールはマリエンが差し出した紙をじっと見つめ、呆れたように口を開いた。
「中が空洞の銀の針だと? しかも5本も? これは貴金属細工じゃなくて…ほとんど芸術の域だよ。一体こんなものを何に使うんだ? それに明日の朝まで? できても安い値段じゃ済まないぞ。」
マリエンは首にかけていたネックレスをそっと外し、差し出した。派手ではないが丁寧に磨かれたそのネックレスは、結婚前に母から受け継いだ大切な形見だった。
「お願いします…これではダメでしょうか? その品がないと夫を…カレンを救えないんです。これが絶対に必要なの…」
セベールは拡大鏡をかけ直し、ネックレスをじっくりと眺めた。
「このネックレス一つじゃ到底足りんよ。よく見積もっても2デント程度だ。細い針は精密な作業だぞ。中を空洞にするには特別な道具も必要だ…それに明日までだって? そんな無茶な要求だ。」
彼はネックレスを作業台の上に置き、腕を組んで首を振った。
「こんなものを、しかも急いで注文して明日までに作るなら…最低でも5デントはもらわなきゃならん。この仕事をするとなれば、今日一日、他の仕事は一切できんよ。私は慈善事業家じゃないんだ、嬢ちゃん。」
5デント…とんでもない金額だった。
普通の家庭の1か月の生活費が2~3デントであることを考えると、これは2か月分を超える大金だった。
マリエンはすすり泣き始めた。
彼女は作業台に座るセベールに一歩近づき、深く頭を下げた。
「今、差し上げられるお金もありません…お金を用意する時間すらありません。あの人は…今日を乗り越えられないかもしれないんです。」
彼女は両手でネックレスを再びセベールの前に差し出し、言葉を続けられず涙をこぼした。
「お願いします…どうかお願いします。このネックレスは母が残してくれた大切な形見です。お金になるものはこれしかありません。でも、あの人を救えるなら…私は何だってします。」
作業場の中はしばらく重い沈黙に包まれた。
セベールは泣き声で震える彼女の華奢な肩を見つめ、拡大鏡を額の上に上げ、じっと彼女を見守った。彼は数え切れないほどの取引をしてきたが、こんなにも必死に懇願する人を見たのは初めてだった。
銀細工店を訪れる者に、どれほど切羽詰まった事情があるというのか?
「はあ…」
しばらくして、セベールは深いため息をつき、椅子を押して立ち上がった。
「ネックレスだけじゃ、やっぱり足りない。それは変わらんよ。そんな精密な作業は決して簡単じゃない。今から始めても、夜通し作業になるだろう。」
彼はネックレスを手に取り、作業場の片隅にある小さな引き出しに入れながら、低い声で言った。
「…足りない分は後で返せ。冬が来る前にだ。このネックレスは…とりあえず担保として預かっておく。」
マリエンは涙で濡れた目でセベールを見つめた。
「本当…本当に作ってくれるんですか?」
セベールはもう一度頷き、拡大鏡をかけ直した。
「明日の朝、陽が昇る前までになんとかしてみせるから、朝早くに来なさい。気が変わる前にさっさと行きな。」
「ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」
マリエンは胸を押さえ、何度も何度も頭を下げた。
マリエンの頬を伝った涙の滴が、陳列台の上にポトリと落ちた。
急いで店の扉を出ていくマリエンの後ろ姿を見送ったセベールは、拡大鏡をかけ直し、作業中の品物を脇にどかし、店の扉に鍵をかけた。初めて見る中空の銀の針を注文通りに作るには、もう客を相手にしている余裕はないと判断したのだ。
「はあ…年を取ると心が弱くなるな、まったく…」
マリエンは「シルバーフェアリー」からさほど遠くない「アンジェロのガラス工房」へと息を切らして走っていた。
息が喉元まで詰まる中、彼女は工房の前にたどり着き、ゼエゼエと喘ぎながら呼吸を整えた。
「アンジェロのガラス工房」と書かれた看板が風に揺れてキイキイと音を立てた。工房の中では、早い時間にもかかわらず、品物を見に来た数人の客がガラス製品を眺めながら話をしていた。
アンジェロは主に香水瓶、聖油瓶、装飾品、そして高級な食器を作るガラス工芸家で、コランではそこそこ名の知れた若い職人だった。
マリエンは店内の客をすり抜け、工房の奥にある作業場へと続くドアノブをそっと引いた。
扉がキイッと音を立てて開き、奥には温かい熱気とガラスの窯から立ち上る薄い煙に満ちた作業場が現れた。
赤く燃え上がる窯の火光が、壁にかけられたガラス瓶やグラスを照らし、作業台の上には無数のガラス片が乱雑に散らばっていた。
「アンジェロ!」
マリエンの声は震えながらアンジェロを呼んだ。彼女は目を大きく見開き、作業場の中を素早く見渡して再び叫んだ。
「お願い…アンジェロ、いるの?」
しばらくして、ガラス窯の方からガサガサという音が聞こえ、長い作業エプロンをまとい、色付きのゴーグルを額に上げた男が窯のそばから顔を出した。
「誰だ…マリエン? どうしたんだ? こんな朝早くに…顔色が尋常じゃないぞ。」
彼女は息を荒げ、握り潰した紙の束をアンジェロに差し出した。
切羽詰まった目つきでアンジェロを見つめ、彼女は言った。
「これを…これを作らなきゃ。今すぐ。時間がないの。カレンが死にかけているの。」
「カレンが死にかけているって?」
カレンの危機的な状況を聞いて、アンジェロは驚愕し、頭に上げていた色付きゴーグルを手に持ち、大きな歩幅でマリエンに近づいてきた。
「何があったんだ? カレンに一体何が起こったんだ?」
「今、説明する時間がないの。お願い、早くこれを作って!」
アンジェロはマリエンが差し出した紙を広げて手に持った。
彼は眉をひそめ、紙に描かれた絵をじっと見つめた。
注射器の形、細いガラス管、三角形の瓶、曲線が絡み合ったフラスコ…彼はしばらく絵を凝視した後、鼻で笑った。
「これは…一体なんだ? 注射器? ビーカー? これはまた何だ? 全然美しくもないし、実用的でもない。この無骨な形って…まるで豚のしっぽみたいじゃないか? こんなものを俺に作れって?」
彼は顔を上げ、マリエンをまっすぐ見つめて言った。
「マリエン、何があったか話してくれ。これが何なのか分からないと、作るも作らないも決められないよ。まさか冗談じゃないよな?」
マリエンは震える瞳で首を振った。彼女の目には遊び心など微塵もなかった。
「そんな時間はないの。アンジェロ、お願い…今はただ作って。説明は後でするから…」
だが、アンジェロは頑なな態度を崩さなかった。
「いや、ダメだ。納得できないなら作れないよ。これはおもちゃでも、ただの物でもない。形も奇妙で厄介だ。一体なぜこんなものを作らなきゃならないのか、理由を教えてくれ。」
マリエンの唇がプルプルと震えた。彼女は両手でエプロンをぎゅっと握りしめ、一瞬目を強く閉じた後、開いた。息を整えながら、彼女は口を開いた。
「……カレンが…狩りの途中で大怪我をしたの。肉が深く裂け、足が折れたの。血をたくさん流しすぎたみたい。神殿の前で午前中ずっと待ったけど、順番は回ってこなかった…それでイヒョンという人に会ったの。」
マリエンはこれまでの経緯を簡潔にアンジェロに伝えた。
「イヒョン? 変な名前だな。」
アンジェロの目が鋭く光った。
「そいつら詐欺師じゃないのか? なんで俺に何も言わなかったんだ? カレンがそんな怪我をしたのに、なんで早く言わなかった!」
興奮したアンジェロはマリエンの肩をぎゅっと掴んだ。
マリエンは彼の言葉に何も答えられず、うつむいてすすり泣き始めた。
「ごめん…本当にごめん、アンジェロ…あの時は…頭が真っ白で、状況自体を信じられなかったの。でも今は…イヒョン、その人を信じるしかないの。」
彼女は涙で濡れた顔を上げ、アンジェロを見つめて言った。
「その人がいなかったら…カレンはもう死んでいたかもしれない。本当よ。彼は見返りも求めず私たちを助けてくれたの。今…彼を信じなかったら、他に道はないの。」
アンジェロは唇を固く結び、黙ってマリエンを見つめた。彼の顔には疑いと不安、怒りが混ざった表情がまだ残っていた。しかし、彼女の震える声と涙を無視して問い詰めるだけというわけにはいかなかった。
彼は深く息を吐き、口を開いた。
「……わかった。作るよ。今夜中に何とかしてみせる。で、カレンは今どこにいるんだ?」
「ドランの家にいるの。イヒョンさん一行も一緒よ。」
アンジェロは色付きのゴーグルをかけ、工房の中に入りながら外に向かって叫んだ。
「カメリア! 今日、店を閉めてくれ。急な用事ができたんだ。」
アンジェロはガラス工房で働きを学び、店の仕事を手伝うカメリアに扉を閉めるよう指示すると、マリエンが渡した設計図を手に、ガラス窯の方へ向かいながら言った。
「完成したら俺が直接持っていくよ。もしそのイヒョンって奴が何かやってカレンを危険に晒したら…ただじゃおかない。俺が直接確かめる。」
マリエンは静かに頷いた。
「ありがとう…アンジェロ。本当に…」
読んでくれてありがとうございます。
読者の皆さまの温かい称賛や鋭いご批評は、今後さらに面白い小説を書くための大きな力となります。