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37. 元カレも来た③


 職質にいくつか答えて、往来で大声で話さないようにと注意を受け、その場を開放されて……


 今日はとても無理だと思った。

 自分の家に帰るのが怖い。


 だって智樹は恐らく私の家に向かっていた。

 場所を知っているから。


 家に篭って鍵を開けなければ入って来れないのはわかっていても、ふとした拍子に智樹がそこにいるかもしれないと、そう考えただけで怖くて眠れなくなるだろう。


 いっそ圭太に話して一緒に家で過ごして貰おうかと思ったものの、受験生に余計な心労は掛けられないと、直ぐに被りを振った。


 どうしようと奥歯を噛み締める私に、河村君がホテルに泊まろうと提案してくれた。

 いくらなんでも勿体無い。

 直ぐにそんな思考が頭を過ったが、見透かしたように河村君が駄目だと言い切った。


「日向は三上さんの家を知ってるんだろう? また来るかもしれないし、三上さん一人であいつを追い払えるの?」


 自分でも不安に感じてた事を指摘されて、心が揺らぐ。けれどそれ以上に、やはり怖いという気持ちの方が勝ってしまった。


 ……出来ればもう、智樹には会いたく無い。

 私の気持ちを全て無視して我を通してくる智樹と、話し合いをする気ももう起きないのだ。


「もう無理……会いたくも、話したくも無いの……」

「ん……」

 どこかほっと息を吐きながら頭を撫でてくれる河村君の手に、涙が滲みそうになる。


「だからね、今日はホテルを取ろう」

「うん……」

 促されるまま頷いて、河村君に手を引かれ、ビジネスホテルに辿り着いた。


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