71 新たなる金策と新たなる問題
日本に戻ってから、幹部クラスを集めて討論会を行った。
すでに日本では、少し問題が発生していた。
それは大量に仕入れた食料や車両を、一体どこに運んでいるのかということだ。うん、やっぱりその問題に気付く人が出てくるよね。
今は卸の担当者やメーカーの営業ぐらいしか、おかしいと思っていないだろうが、そのうち警察、陸運局、税務署とあらゆるところから目をつけられるだろう。
その言い訳ができない。
まさか『異世界に運んでいます』とは言えないだろう。
言ってもいいけどね。信じられるより先に精神病棟へ送られそうだ。
現在、会社としての決算、資金繰りは順調に進んでいる。問題は資材を買い入れてばかりで、どこにも販売実績がないということだ。
資金繰りは例の株式売買の予想ソフトが、はずれのない株を指示してくれるからだ。さすが輝乃ちゃん。ひーふーみーよーいつちゃんも頑張ってくれている。
株式売買だけですでに1,000億の売り上げを上げている
しかし、それらを売り先がないはずの食糧や車両で使ってしまっている。
これは会社の決算としては不自然だ
ここで愛ちゃんが打開策を出してくれた
「これらの品々を海外、特にアフリカへの支援物資として計上しましょう。そのためのタンカーの手配と、それへの積み込み等を海運会社を作って、そこでの利益としてあげましょう。ちょうど隣国では経営破綻したタンカーやコンテナがあふれていますから。」
これまた辛口な意見ですこと。なるほどな。海外への救援物資か。しかし、実際には異界にもっていってるんで、海外へ送る荷物はない。つまり、税関を通れない。
これって弟のところでも同じことが起こるな。どうしよう。
それぞれを物資毎に分けて考えようか。
まず車両の問題。
数百両になるこれらは伏見の倉庫にも入らない。当然だ。
「それならそれらの車両が入る程度の倉庫を購入しておきましょう。その上で、今使ってない車両はそこに保管することにしましょう。減価償却は5年でしたか。5年間保管したことにして、後は印籠収納に移動させればいいのです。」
う~ん。これで解決できれば話は早いんだけど。そんなにうまくいくか?
今ある登録している車両は…。
4tトラック 100両
2tトラック 200両
シャベルカー 40両
ブルドーザー 20両
ホイールローダー 20両
ロードローラー 20両
ハーベスター 10両
フォワーダー 10両
観光バス 40両
…の合計460両。
幅2.5m、長さ12mが車両の最大規格になるから大型はこれで確保。
トラックは半分でいいか、とするとフルの寸法で310台分。
奥行に100m、間口に30mほどの土地にきっちりおさめたら1棟当たり80台停めれる。
それが4棟か。
大山崎あたりなら何とか土地が確保できるかもしれない。
建屋は更地さえあればあとはテントでもいいか。
とすると、あの会社に連絡しなきゃいけないな。
必要な土地の大きさの概略と建屋の交渉先を伝えて、営業担当に任せた。
これで人目につかない場所が確保できるだろう。
あとは食料か。
今までの食糧は加工食品の試作で償却したってことでどうかな?無理があるか。
どんな加工食品にするかも問題だな。
これは弟のところにも関係ある話になるな。
ハウスキットはいろんなところに販売しましたで済むか。
その取引明細となるとこれも困るな。
う~ん、なんか詰んでる?
今までのはともかく、これからのは、ちゃんと道筋つけておいた方がいいな。一年間限定で。
そもそも今どれぐらいの量が必要なんだろうか。
「今、どれぐらいの食糧を向こうに持って行ってるの?」
「1日当たり王城近辺で20ftコンテナ換算で2本ほど。シオンへの援助でコンテナ1本ほどです。」
合計コンテナ3本か。1週間で21本、1か月で84本。うん、確かにこれはやばいな。
「その量でどれぐらいの人の食糧を賄ってるの?」
「一人当たりの量は1週間で段ボールひと箱程度。寸法でいうと30㎝角ぐらいでしょうか。これが20ftのコンテナでざっくり6m×2m×2m程度ですので、平積みで1段当たり20×6で120箱。それが6段ですので720箱となります。これで一日当たり一箱で7人分ですから約5,000人分というところですね。それが王城近辺で3つですから1万5千人程度。シオンは5,000人程度になります。」
なるほどな。全部で2万人ってことか。
「しかし、これは現在の状況で、徐々に増えていきつつあるのが現状です。」
「ん?なんで?」
「実は周辺国でも同じような飢饉が起こっており、そちらの人たちの流入が徐々に増えていっています。」
「それって、無条件で入れたらやばいよね。対策は考えられてるの?」
「はい。現在戸籍づくりを行っています。戸籍を持つ者にはカードを支給し、そのカードを持っていないと食料は配給されないようにしています。」
「う~ん。それでも、その人たちを見捨てるのも忍びないな。すべてを救えるわけじゃないけど、方法さえ整えば食料は用意できるんだろ?それってどれぐらいまで増える予測をしてるの?」
「周辺国からの流入が3万人ほどに上ると考えられます。合わせると5万人になります。」
う~ん。ヤマト王国より多くなっちゃうね。
「それに関してはヤマト王国に対処を振っちゃおうか。無理なもんは無理だろうからね。たとえ食料を供給できても、そのせいで他国の人間に乗っ取られる構図ってのは間抜けだからね。レティに連絡してその状況の対処方法の検討に入らせて。」
「わかりました。」
「そこまででなくとも、大量の食糧がいることは明らかだよね。あ、近畿圏内のヤマト王国の領土確保も指示だしちゃってたしな。それでまた国民が増えるだろうし。…日本の伏見に持ってくるから不自然なんだよな。いっそ伏見経由の食糧は無くすか。他国経由のものにすべて切り替える必要がありそうだな。これは一度渡米して弟と協議だな。今週一杯を目途に方向を切り替えるから、それまでは頑張ってください。食材の手配もそこで一旦ストップね。土地の確保に食材の確保。お金がいるな。一方的にこっちが使ってばっかりってのが痛いよな。ヤマト王国の土地を荒らさないためには必要なことではあるんだけどね。」
俺が統治しても、結果やることは変わらない。何も解決しない。かえって忙しくなるくらいだ。
そこまで考えた時にスマホが着信を知らせてきた。猫又のおばば様だ。
「もしもし。京介です。」
「話は聞いておった。一度こっちに来てくれんか。いろいろと手はありそうじゃ。」
そういって電話は切れた。
う~ん。悩んでも仕方ないし、手があるんなら教えてもらいに行こう。
とりあえずの会議はこれで解散と告げて、俺は伏見稲荷に転移した。




