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木屋町ホンキートンク Ⅰ  作者: 鴨川 京介
第3章 世界を救う?冗談でしょ?
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46 えらいさんが出てきたようだ

 矢文の文章を掲げながらまた大声で城門に話しかける。


 「先ほど、このような(ふみ)が届いた。代官がおればお目通り願おう。」


 すると今度は文官と武官が並んで現れ、高飛車に招き入れようとする。


 「俺様の取り計らいで代官様にお目通り願えるのだぞ。武装解除の上、速やかに入場するように。女たちはこちらで預かる。お前だけが代官屋敷に進め。」


 「それは承服しかねる。俺たちは全員で代官のところに向かう。」


 「いいか、俺様にその女たちをよこせ。なんならここから矢を射かけて全員殺してもいいんだぞ。」


 すると一斉に城門の上に弓を持った兵士が現れた。

 うん。すでに万眼鏡の警戒で気づいてたよ。

 俺たちは愛を通してすでに眷属たちに警戒を伝えていたので焦ることもなかった。


 「構え。放て。」と一斉に矢を放ってきた。どうやら問答無用のようだ。


 すぐさま俺は魔力で防護壁を作り結界を展開し、矢はその結界にはじかれていった。


 「うぬぬ。何をしておる。早くあいつらを射殺(いころ)してしまえ。」


 次から次へと矢が射掛けられる。俺たちは休憩とばかりに、ペットボトルでお茶を飲んでいた。

 うん。うまいね。


 「さて、これで正当防衛は成立したな。」


 「マスター、あの様子ですと、そのような法がこの国にあるようには思えませんが。」


 「まあ、そこはそれ。相手から手を出してきたって事実さえあればいいんだから。最初っからちょっと気に食わなかったんだよね。どう見ても海外から来てる蛮族が、日本の地を荒らしやがって。こういうやつらがいるから国が腐るんだ。人の話も聞かず腕力だけで解決しようとするやつら。みなさん、遠慮はいらない。やっておしまい。」


 俺が一度行ってみたかったセリフで号令をかけると、一斉に眷属たちは城門の上まで飛び上がった。あっという間に、弓はすべて弦が切られて使い物にならなくなっていた。兵士たちがあっけにとられている間に次々と昏倒させ、捕縛していった。10mはあるよね?この城壁。風魔法も使った?なるほど。


 大体相手にならないんだと思うよ。


 昏倒や睡眠の魔法が使えて、身体能力は人よりはるかにあるしね。ここに要る眷属だけでホワイトハウスぐらいなら、あっという間に無力化できるだろうな。ご苦労さん。

 城壁の上をかたづけた眷属たちは町の中に侵入し、次々に兵を無力化していく。

 はじめにできる限り殺さないように指示しておいたから死人も出ていない。

 まったく相手にならないんだもの仕方ないよね。

 10分もたたないうちに、城門が開き、眷属たちが俺たちを迎え入れた。


 そこへ町の奥から、男が慌てた様子で駆けつけてきた。

 城壁脇にずらりと並べられて、昏倒させられている兵士たち。シュールだね。

 それを見て代官はひざまずいて謝罪し始めた。


 「お待ちください。私はこの街の代官を申し付かっておる徳田平蔵と申すもの。兵たちの無礼は謝罪いたす。なにとぞ矛を収めてはもらえますまいか。」


 おっと、なんか武士っぽいのが出てきたな。しかし…このおっさん。代官といっても痩せてがりがりだな。そこそこ上背はあって鍛えてはいるんだろうけど…。さっきの兵や昨日の門番なんかは、えらくぶくぶく太ってたのに。


 これってなんかありそうだな。


 「私は鴨川京介。旅をしているものです。昨日この門前にて、代官への取次ぎを申し出て、門前払いを食い、その横の河原で一夜を明かしました。そして今朝このような矢文が届いたので、再び門まで来てみると、そこに転がってるでかい武官が女どもを置いて行けというのでそれを断ると、いきなり矢を射かけてきました。仕方なくこちらは応戦し、兵たちを無力化したばかりです。私たちは別にこの街を乗っ取ろうとか、侵略、強奪に来たわけではないのですが。一体どういうことか、説明していただけますか?」


 「こ、これは。このような書状を私は書いた覚えはない。しかもこの字は…。申し訳ございません。こちらの手違いがあったようです。すぐに屋敷の方にご案内いたす。」


 「ちょっと待ってくれていいかな。手違いってどういうこと?」


 「私にはそのようなものが来たことの報告を受けていない。これはそこにいる猫田というものの独断で行ったようだ。謝罪したいので屋敷に参られよ。」


 う~ん。ま、いいか。こいつらがこちらに剣を向けたところで、どうにもならないだろうしね。基本罠でも食いちぎるしね。このまねき猫部隊は。え?まねき猫部隊っていうネーミングがダサい?またかよ。わかったよ。また考えるよ。万眼鏡からいきなり立体ビジョンが出てきて3頭身愛ちゃんがプンスカしてる。本当にこの娘、キャラがどんどん変わっていくよ。


 それにしてもこの兵たちを放っておくのも心配だな。

 俺はレティたちに指示を出していく。


 「この拘束した兵たちの武装解除を行い、一か所に固めて鉄の檻でも作って閉じ込めといて。」


 すぐさま眷属たちは兵士に群がり、身ぐるみ剥いで裸にして1か所に集めて、あっという間に鉄格子のついた檻を作った。仕事が早いって、身ぐるみまで剥いじゃったの?こっちは追剥じゃないんだからせめて服は返してあげて。え?武器を隠し持っているかもしれないので全部一度脱がした?うん、それなら仕方ないね。しかし皆さん、容赦ないね。

 男たちの着ていたものを、檻の中に放り込んで準備は済んだ。武器や鎧は眷属たちの無限収納に入れているみたいだ。


 「さて、それじゃ案内してもらえますか?」


 再び徳田という代官に向き直り、案内をうながした。

 代官は目を見開き、眷属たちの早業に驚いていたが、すぐに我を取り戻し、先導して屋敷に向かった。


 ようやくゆっくり話が聞けそうだな。

 町を歩きながら、代官についていく。


 しかし見るからに不衛生だし、栄養失調が激しいみたいだな。

 これは早急に手を打たないと、あとひと月も持たないだろうな。


 屋敷について応接室に通され、俺はレティを伴い、ほかの眷属たちと愛は玄関で整列して待機しておくことにした。俺に何かあってもすぐに愛に伝わるし、行動に移せるからな。


 場合によっては、屋敷ごと制圧しなけりゃいけないかもしれないし。


 早速2名の眷属が姿をくらまして、屋敷の偵察に向かったようだ。あんまり多いと数もよく分かってないだろうからな。そこにいない奴がいても気づかないだろう。整列している中の人間が2人消えてもよっぽど注視してない限り、わからないだろう。


 さて、話を聞かせてもらおうか。


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