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木屋町ホンキートンク Ⅰ  作者: 鴨川 京介
第3章 世界を救う?冗談でしょ?
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35/79

35 資金の具合はいかがかな

 三条の町屋に戻ってきた。ようやく昼飯にありつける。

 奥の炊事場のほうに、これまた広い食堂が作ってあり、そこで昼食。

 今日は牛丼らしい。おいしかった。


 さて社長室に戻り、諸々を確認。

 まずは資金繰りかな。株式売買はどうなっているんだろう。ノートパソコンを開き、輝乃を呼び出し、状況を報告してもらった。


 「はい、ご報告します、ご主人様。昨日あやかしの長の皆さんとの会合で、今後潤沢な資金が必要だと伺い、さっそく投資金額、利幅金額を増額し、運用を始めております。市場予測シミュレーションにより、短期間で高値を付ける、あるいは短期間で暴落する株式を選別し、短期間のやり取りで、利益を生むよう操作しております。ご主人様からの指示通り、表立って目立つようなことはないよう工夫しております。まず10の証券会社の名義をそれぞれ架空名義としました。これは昨日すでにおばば様よりそれぞれの戸籍及び住民票を渡され、架空名義でありながら、実在する人物となっております。今後のことも考慮し、すべて女性名義になっております。ちなみに私輝乃、愛、レティもそれぞれ戸籍を取得し口座を作成しております。現時点ではいまだ3億ほどしか資金が作れておりません。今後これらの資金を引き出しながら、徐々に資産運用を行っていきたいと考えております。また、依然お考えになっていた預金限度額の上限はありませんでしたので順次加算していく方針です。いかがでしょうか。」


 おっと、もう3億になってる。一晩だけだよ?時間があったの。それに限度額って無かったのか…。あれって定期預金なんかの限度額が1,000万円とか、そういう話だったのか。うん、認識が間違ってたみたいだな。


 「その『目立たない工夫』って、どうやってるの?」


 「はい、ご主人様。値がピークに達するずいぶん前に売り抜けることで、その株式売買で儲けた額としては目立たない順位で表に上がってくることと思われます。これらを10の口座連続で仕掛けることによって、それぞれは目立っていないが順調に利益を上げている結果が出ております。」


 どういうことだ?


 100円の値がついたときに購入し、ピークが1,000円だとすると、それの売却を1,000円丁度にすると目立つから、たとえば900円や800円の時に売るってことか。その上で、これを複合的に行うことで、一度に一斉に買うという目立つことではなく、それぞれがまんべんなく利益を上げているということなんだろう。100円から900円だと利益は800円。これを100円から500円。500円から900円と分けても同じく利益は800円。元手が高い分その資金が必要になるが、確かにこれなら利益が分散される。


 「ご明察です、ご主人様。それらをもう少し細かく分割することでより分散されることとなります。当然手数料は発生しますが、それらを踏まえての利益確保となっております。また、口座に資金をとどめるということはそれだけ利益を損なう結果になりますので、できるだけ効率よく運用している結果となります。」


 うん。わかっていたけどすさまじいね。あやかしと情報電子機器の融合。


 「取り急ぎ、これらを繰り返し資金を1,000億程度まで増やすのに1週間ほどかかる見込みです。」


 うっぷ。扱ったことのない金額が出てきた。今まで仕事で扱ったのって20億が限度だったもんな。


 「わかった。ところでそれらの税金対策はどうなってるの?」


 「こちらも猫又のおばば様からのご紹介で、一人雇用しております。その税理士の手配で税務面での手続きを順次行う予定です。」


 「了解。難しいことは俺には分からないけどうまくやってね。今の収入は俺個人のものということなんだろうか?まだ会社設立登記は済んでないよね。」


 「おっしゃる通りでございます。しかし、現時点で京介様名義またはご本名である根岸波瑠名義での口座の動きはございません。すべて分散してストックしております。会社設立のための口座開設と資本金の拘束はすでに始めております。定款等の準備ができ次第、登録完了の手筈となっております。」


 「了解。そのあたりはうまくやってね。」


 「あと、後日ですが、猫又のおばば様との会合をお願いいたします。現在出席者の調整中ですが、かなり有利な取引が可能になる人材をご紹介いただけると思います。」


 「そういう話になってたんだね。わかった。スケジュールに組み込んでおいて。」


 「了解いたしました、京介様。」


 「とりあえず資金繰りは心配しないでよさそうだね。輝乃、ご苦労様。」


 「お褒めの言葉、おおきにどす。御主人様。」


 輝乃は仕事のことを話す時と個人的なことを話す時と口調が変わるな。これも調整中なんだろうか。また賑やかなのが一人増えるんだろうな。

 できれば癒し要員でいてほしい。精神的に一日何度かパンクするんだよな。常識が崩壊していって。


 …切実に癒しを求める!


 …そういえばクリスマスって今日だっけ?


 瑞月ちゃんのところによってみるか。


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